「そのくらい知ってる!」という人は多いはず。だが、それらが行える・行えない場所や状況まで正しく理解している人は意外と少ないのでは? そんなわけで、今回は“追い越し”と“追い抜き”のお話。
文/今坂純也(DIRT SKIP)、写真/国土交通省、写真AC、イラストAC、シルエットAC
あわや大惨事!! いまさらだけど… “追い越し”と“追い抜き” の違いを正しく理解できてる?
■まずは“追い越し”と“追い抜き”をおさらい
追い越しと追い抜きはなんとなく似ている。どちらも自車の前を走るクルマより前方に出る行為に違いはない。だが、道路交通法第2条において“追い越し”は次のように記されている。
「車両が他の車両等に追い付いた場合において、その進路を変えてその追い付いた車両等の側方を通過し、かつ、当該車両等の前方に出ることをいう」
つまり、「高速道路で走行車線を走行中、前車に追いついたため右側の追い越し車線に移動し、前車を越した後に元の走行車線に戻る」この行為がまさに“追い越し”。
追い越しは原則として前車の右側から行うが、例外として、前車が右折のために道路中央もしくは右側に寄っている場合にのみ左側から行うことができる。
では、追い抜きは? というと、道路交通法に特に記載はないが、一般的には自車が進路変更することなく前車の前方に進むことを指している。
■追い越しのできない場所・状況は?
道路交通法ではカーブでの追い越しについての規定はないが、「交通の方法に関する教則・第6章危険な場所などでの運転」の「曲がり角・カーブ」の項に「曲がり角やカーブでは前の車を追い越してはいけません」と定められている。先にカーブがあって見通しがきかない場所での追い越しは危険なため、標識がなくても追い越しはやめておくべき
道路交通法第30条では、以下の9つの場所で追い越しが禁止されている。
1.標識などにより追い越しが禁止されている場所
2.道路の曲がり角付近
3.上り坂の頂上付近
4.勾配の急な下り坂
5.トンネル(車両通行帯の設けられた道路は除く)
6.交差点とその手前から30m以内の場所(優先道路を通行している場合を除く)
7.踏切とその手前から30m以内の場所
8.横断歩道とその手前から30m以内の場所
9.自転車横断帯とその手前から30m以内の場所
■追い越しのルールはセンターラインによっても異なる!
センターラインの種類によっても、追い越しのルールは変わってくる。では、具体的にはどのようなルールの違いがあるのかを見ていこう。
●黄色の実線
「追い越しのために」右側へはみ出しての通行は禁止(=駐車車両などの障害物を避ける場合は、はみ出しての通行が可能)
●白色の実線(片側6m以上の道路で使用)
原則として右側へはみ出す通行は禁止。はみ出さなければ追い越し可能
●白色の破線
追い越しとはみ出しての通行が可能
(2本のラインが引かれている場合は、自車線側のルールを適用する)
また、上に挙げた追い越し禁止場所のほかにも、以下の状況での追い越しが禁止されている。
●前のクルマがその前のクルマを追い越そうとしているとき(二重追い越し)
●前のクルマが右折などのため右側に進路を変えようとしているとき
●道路の右側部分に入って追い越しをしようとする場合に、反対方向からのクルマや路面電クルマの進行を妨げるようなとき
●道路の右側部分に入って追い越しをしようとする場合に、前のクルマの進行を妨げなければ道路の左側部分に戻ることができないようなとき
●後ろのクルマが自分のクルマを追い越そうとしているとき
■実にわかりにくい!! “追い越し禁止”関連の標識をチェック
既出の1の「標識などにより追い越しが禁止されている場所」には標識が掲げられているが、それに加えて「追越し禁止」の文字や矢印マーク、「ここから」や「ここまで」などの文字の入った補助標識などによって微妙に意味が異なるので再確認しておきたい。
●補助標識なしの追越し禁止標識
補助標識なしの追越し禁止標識
補助標識なしのこの標識は「追い越しのための右側部分へのはみ出し通行禁止」の意味。つまり、追い越しを禁止しているわけではなく、右から追い越すときに車線をはみ出さなければ追い越しは可能なのだ。
とはいえ、はみ出さずに追い越しができるほど幅広い道路は意外と少ない。前車の横ギリギリを通過&車線をはみ出すことなくなんとか追い越せそうでも、実際には非常に危険なのでやめたほうがいい。
●補助標識ありの追越し禁止標識
追越し禁止の標識の下に、ダメ押しのように「追い越し禁止」という標識=補助標識が表示された標識は、文字通り、右側にはみ出してもはみ出さなくても追い越しそのものが禁止なのだ。
●追越し禁止標識に標示される補助標識
追い越し禁止の標識に付加されることがあるその他の補助標識
補助標識には「追越し禁止」以外にも、上記のような矢印や文字が表示されているものもある。右矢印と「ここから」は同じ意味で、標識の指示は「ここから追越し禁止が始まる」ということ。
左矢印と「ここまで」も同じ意味で、標識の指示は「ここまでで追越し禁止が終わる」ことを指している。
■筆者が現実に遭遇した「追い越しも追い抜きも禁止場所」での危ないシーン
筆者が経験した「危機一髪!!」のシチュエーション
「追い抜きは、道路交通法に特に記載はない」と前述したが、実は「追い越しも追い抜きも禁止されている場所」がひとつだけある。
それは、前述した道路交通法30条の8と9で示されている「横断歩道や自転車横断帯と、その手前から30m」である。イラストでいうとまさに上記のようなシーン。
筆者はある夜、郊外の道路を走っていた。前車は背の高いワンボックスカーで、自車は普通車。暗い道路で前車がゆっくりとブレーキをかけたので、「左に停車するのかな?」と右ウインカーを出して追い越そうとした。
すると、前車の前に横断歩道を示す白いラインがチラリと見えたので、即座にウインカーを戻した。
すると、私のクルマの後ろにいたクルマも右ウインカーを出していて、まさに追い越しをかけようとしていたのだった。
慌ててウィンドウを開けて右腕を真横に出して「止まれー!」と叫んでしまった。後車はそれに気づいてくれ、追い越しをやめてくれた……。
横断歩道には左の方からゆっくりと歩き出した高齢者がいたので、ゾッとしたのだった。歩行者は、横断歩道に接近するクルマが停止すればほぼ間違いなく歩行を開始するだろう。
このシーンでは、先行車の死角になって横断歩道や歩行者が見えない場合がある。
また、仮にここが2車線道路で自車が左車線であっても、右車線上に自車より少し前を走るクルマがいれば、右から歩いてくる歩行者が見えないこともある。
ここで追い越しや追い抜きが禁止されていなかったら……非常に危険なのは理解できるだろう。
だから、「横断歩道や自転車横断帯と、その手前から30m」は追い越しも追い抜きも禁止されているのだ。
特に夜間では、横断歩道や歩行者の認知は遅れがち。前車がブレーキをかけたら「何かあるのでは?」と一瞬考える余裕をもって走りたい。
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みんなのコメント
残念なことに、守っている人がとても少ないけど。
左に寄ってる、という時点で譲ってる状態なんだけど、
なんだかなぁ・・・。