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現代のCBに往年の記憶が蘇る レーシングドライバーがライダーになった日

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現代のCBに往年の記憶が蘇る レーシングドライバーがライダーになった日

■CB400FOUR(通称:ヨンフォア)から現代のCBへ

 さすがに本格的なバイクを転がすには30年ブランクのある素人ライダーにホンダ「CB125R」は身構えてしまうものですね。

BMWで一番ちいさなバイク 普通二輪免許で乗れる「G 310 R」の存在感

 冠はホンダの王道である「CB」であるわけです。僕ら「ヨンフォア世代」にはビリビリと痺れるネーミング。しかも末尾には「R」の文字が踊ります。そもそもスタイルが鼻息荒く前のめりです。バイクに対峙して、ちょっと戸惑ったのも事実です。

 というのも、「CB125R」は、とてもピンクナンバーの125cc(原付二種)には見えないのです。本格的な走りを備えたバイクが発散する攻撃的な雰囲気が僕を威圧しました。

 話を聞けばエンジンは、水冷4ストローク単気筒OHC 2バルブです。最高出力は13PS/10000rpm、最大トルクは10Nm/8000rpmと高回転気味ですが、スペックを大幅に超えるほど大きな印象だったのです。身構えたのも納得してくださいね。

 実際に、ライディング感覚は本格的でした。足つきは、けして優しくはありませんし、それなりに大きな鉄の馬に跨っている感覚があります。レーサーほどではありませんが、ガソリンタンクを抱えた前傾姿勢を強いられます。両腕で体重を支えるような姿勢なのです。

 ステップも、車体に密着しています。腿の内側の筋肉に力を入れて、バイクを包むように強くニーグリップをしなければなりません。足先を内股にするようにして変速することになります。そうです、正しいライディングフォームで乗るようにバイクが語りかけてくるのです。

■爽快な加速フィールや取り回しの良さに昔の感覚が蘇る

 124ccとは思えないのは、加速感にもありました。124ccでかつ13PSとは思えない鋭い加速フィールであることに驚かされました。ピンクナンバーですから、高速道路に乗り入れることは法規的に禁止されています。そのことが不自然に思えるほどに、走りは十分にパワフルなのです。そろそろ法規制を緩めてもいいかもしれませんね。「CB125R」を走らせると、本当にそう提案したくなるほどです。

 取り回しも、軽快です。前輪に荷重を載せている感覚が強いので、旋回性がシャープに感じられます。ある意味でヒラヒラと蝶のように舞いながら、ある意味では、バイロンを次々にクリアしていくのが楽しそうな、そんなクイックな印象が強いのも特徴でした。

 たとえばUターンする時に、一気に反動を使って倒し込み、タイミングよくスロットルを開けて復元させるような、そんな刺激的な走り方にトライしたくなります。重量級ではなかなかトライしづらいアクションですが、そもそも軽量なので、リスクを最小限に抑えたままで、そんなアクロバチックな操縦に挑めそうなのです。

 ライディングは爽快です。どこかに目的地を持って移動するツールではなく、ライディングそのものを楽しむためのバイクかもしれません。久しぶりに「ライダー」になった気持ちがしました。

■暖かい缶コーヒーはライダーのための飲み物では?

 試乗のその日は、寒気に包まれていました。ですから肌寒かったのも事実です。暖を取ろうとエンジンに手をかざしても、カバーで覆われていたためにそれは叶いませんでした。しかたなく、パーキングに到着して缶コーヒーで両手を温めたほどです。そういえば、自動販売機でホットの缶コーヒーを買ったのは何年振りでしょうか。あの甘くホットな缶コーヒーを口にすることは、クルマ乗りではあまり経験が少ないものです。

「ホットの缶コーヒーは、ライダーのための飲み物だったのではないだろうか」

 そんな不思議な感覚になったほどです。

 CB125Rは僕を、久しぶりにライダーにしてくれたようです。

「CB125R」の価格(税込)は、44万8200円です。

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