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トヨタが発表した自動運転システム・eパレットの進化版から、近未来の移動の様子が見えてくる

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トヨタが発表した自動運転システム・eパレットの進化版から、近未来の移動の様子が見えてくる

トヨタ生産方式の考え方を乗り物の管理に応用する

2018年のCES(ラスベガスで開催される世界的な家電見本市)においてトヨタが発表した自動運転車の「e-Palette(イーパレット)」は、トヨタが自動車メーカーからモビリティカンパニーへと変革する象徴といえる“乗り物”ですが、大幅な進化が発表されました。

トピックスは進化した運行管理システムにあります。その狙いは“必要な時に、必要な場所へ、時間通りに行ける”というジャスト・イン・タイムなモビリティサービスを実現するもの。ウィズコロナの今、人との接触を最小限にした移動へのニーズが高まっていますが、無人運行を可能にするe-Paletteは時代に合ったモビリティといえます。

また、e-Paletteはラストワンマイルの物流や移動販売車としての活用も想定されているので、“必要な時に、必要なサービスやモノが、時間通りに提供される”ということにもなります。「トヨタ生産方式」の思想が生み出した運行管理システムというわけです。

トヨタ生産方式について整理すると、ムダの徹底排除と合理性を追求することで確かな品質でタイムリーに作ることを目標に、何十年も進化し続けている生産思想です。そのキーワードとして「ジャスト・イン・タイム」と「自働化」(ニンベンがついているのがトヨタ流)の2つが挙げられます。「自働化」というのは、異常が発生したら機械がただちに停止する」という考え方で、無人走行の自動運転EVの運用に応用するのに、これ以上はない思想といえるかもしれません。

運行計画の自動化や、故障の見える化を実現

さて、今回発表されたe-Paletteの運行管理システムの2本柱といえるのが「Autonomous Mobility Management System(AMMS)」と「e-Palette Task Assignment Platform(e-TAP)」となります。

「AMMS」は配車をコントロールする機能で、自動的に運行計画を変更して、リアルタイムのニーズに応じて、自動で追加の車両を投入するというもの。単純に運行車両を増やすと車間が詰まるなどのバラつきから渋滞的などが起きがちですが、等間隔での運行もコントロールします。

さらに前出の「自働化」の考え方を取り入れ、車両異常を検知すると、自動的に車庫へ回送するという制御も可能になっているといいます。もちろん、車両数が減ると即座に代替車をAMMSが投入してコントロールします。

「e-TAP」は車両やスタッフの異常を(モニターなどを通じて)見える化したもので、管理スタッフが1人で複数のe-Palletを監視できるようにしています。手堅くいくのであれば、1人1台の体制で管理・監視すればいいと思いがちですが、それではいつまでも人的コストがかかりますし、こうしたモビリティのローコスト化にはつながりません。トヨタが自動車製造で示してきたように「目で見る管理」を実現することは重要です。

オリンピックやウーブンシティで実際に使われる予定

e-Paletteは2021年に開催予定の東京オリンピック・パラリンピックや、トヨタが東富士につくる実証都市「ウーブンシティ」で運用され、リアルワールドで鍛えられる予定ですが、ほかにも様々な企業や団体から引き合いがあるということも発表されました。2020年代半ばまでには、e-Paletteの無人運行バスや移動販売、宅配サービスなど、生活を大きく変える可能性を感じるモビリティが実用化されるのではないでしょうか。

こうしたプロジェクトを実用レベルに落とし込んでくるのがトヨタの凄さ。従来のクルマ的思想だけではない視点で、100年に一度といわれる自動車の大変革期に立ち向かっているというわけです。

文:山本晋也(自動車コミュニケータ・コラムニスト)

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