暴れん坊な、優等生 AMG A 45
これが新しいメルセデスAMG A 45。メルセデス製のコンパクト・メガハッチバックだ。サルーンやエステートやクロスオーバーも追って発売される。
これらに共通するのはモンスター級のエンジンだ。量産型2Lユニットとしては世界最強で、最高出力は420psに達する。上位のSモデルが設定されない地域では380psとなる。
いずれにしても非常に速いクルマだ。8速DCTを搭載し、リアに配置されたふたつのクラッチにより4WDシステムとトルクベクタリングを制御する。さらにドリフトモードも備えている。このクルマを公道とサーキットでテストしてみよう。
メルセデスAMG A 45に座ってみると
A 45の車内へようこそ。公道では普段のふるまいを確認して、後でサーキットに移ろう。ロードカーとしての出来栄えはいかがだろうか。
まず最初にこのインテリアは他のAクラスと同様、非常に美しく良くまとまっている。エルゴノミクスは、ドライビングポジションは良いが、ドライビングコントロールについてはまずまずだ。
タッチ操作を多く盛り込むメルセデスAMG A 45のインテリア。非常に多くのモードが用意され選択肢や設定項目が多すぎる。わたしはタッチスクリーンよりボタンの方が好みなので、その点は満足だが、ダンパーやギアやESCそれにダイナミックコントロールによる4WDシステムの制御設定も複雑だ。最適な設定をひとつ用意して、弄らなくても良いようにしてくれると助かる。
わたしが見つけたのはギアボックスをややスポーティにし、ダンパーは中間のモードという組み合わせだ。すると落ち着いて走りたいときにはリラックスさせてくれ、エンジンは静かでギアボックスも良くできている。
この8速ツインクラッチは上手に変速するが、自分で操作したければここのボタンを押せば素早く反応してくれる。ひと昔前のメルセデスのギアボックスはこれほど速くなかっただろう。
そしてエンジンは驚くほどスムーズで初代A 45のような荒々しさはないが、必要とあらば莫大なパワーを発生する。
後輪操舵、ドイツ勢は不要の結論?
今わたしはコーナーの連続する道にいるが、この程度のスピードでもパワーを分散させて敏捷性を高めているのがわかる。後輪操舵があるわけではない。ドイツのエンジニアはこんな短いクルマに後輪操舵なんて必要ないと考えているのだろう。
でもルノーはメガーヌ・トロフィーに採用している。もちろんルノーはFFでこれは4WDという違いはあるが、回頭性は非常に高い。コーナー脱出時にパワーを与えても姿勢が乱れることはなく、先ほどの右コーナーでさらにパワーを加えればもっと良く曲がってくれる。
メルセデスAMG A 45 Sステアリングもまずまずの重さでクイックかつとても正確だ。四輪操舵付きのハッチバックにも似た挙動を見せ、往年のランエボのようでもある。良く曲がりパワーを解放すれば鋭く加速する。
この時エンジンの回転がドライブシャフトに伝わり、前輪と同じ速度で回転する。事実上50%のトルクがリアアクスルに送られリアデフの左右に取りつけられたクラッチにより、各輪へのパワー配分が決まるのだ。したがってリアのパワーの100%を外側のタイヤに送ることもでき、実際そうしている。
理論上は意図的に前輪以上のパワーを後輪に送ることはできない。しかし前輪がスピンした時にはデフのような働きにより、グリップしている後輪が前輪よりも多くのトルクを路面に伝える。これが旋回力を高めているのだ。
ドリフトモードを選択すればおそらくすべてのパワーを外側の後輪に伝えているのだろう。これは後ほどサーキットで試してみるが、サスペンションをコンフォートにしている限りは公道では快適なクルーザーだ。アダプティブダンパーをスポーツ・プラスにすると、高速域では良いが街乗りでは少々ゴツゴツした乗り心地だ。
レーンキープアシストはオフにしたが、ナビの画面に車載カメラの映像を投影し矢印を表示して案内する機能も不要だろう。ブラインドスポット・アシストも大した役には立たず、オフにしたいところだ。こんな鬱陶しい機能が多数装備され慣れるまでは苦労しそうだ。
しかしその走りは楽しめる。WRXのように純粋な50:50の駆動配分ではないが、予測不能な動きはせず運転を楽しめ、自然なフィーリングだ。さて場所をサーキットに移そう。
A 45、舞台をサーキットに移すと……
われわれはマドリード近郊のハラマ・サーキットに来ている。素晴らしいハンドリングサーキットで、勾配も多い良いコースだ。
まずはレースモードでESCはオンにしている。あとでもうひとつのドリフトモードも試してみよう。とても良く回るエンジンだ。スムーズで音も良く、リニアな回転上昇で7000rpm近くまで回る。
メルセデスAMG A 45 Sメルセデスによれば、エグゾースト内部のセンサーにより音波を測定し増幅してキャビンに伝えているようだ。スピーカーで再生する機能と大差ないが、実際のところそうは聞こえない。
直線では安定しており、メインストレートの末端ではしっかりと減速する。ブレーキング中の挙動も予測しやすく、制動力も非常に強力だ。回頭性は良好でアンダーステアへの耐性も高い。立ち上がり加速ではよりグリップの高い方のタイヤにパワーが分配され非常に速い。
その性能のすべてを試せてはいないが、ニュートラルなバランスを持ち高速コーナーでもとても安定しており、ゆるいカーブでの走りは良好だ。ハードなブレーキングでは若干揺さぶられるが、ターンインからプッシュしても強いアンダーステアはない。たとえ発生したとしてもアクセルを開ければそれは解消するだろう。
M2コンペティションに匹敵するかと言われたら、そうとは言えない。しかしアウディRS3よりはエキサイティングだ。さらに少しだけハードに攻め込んでみると、横方向の力が増すのがわかる。コーナー中盤から出口にかけてパワーが分散されるのが感じ取れるだろう。
今はマニュアルモードだが、すべてをオフにしてみよう。スポーツハンドリングモードを切り、右のパドルを引けばドリフトモードに入る。スタビリティコントロールは完全にオフになり、シャシーを振り回すことが可能になる。
E63のそれとは異なりフロントのドライブシャフトを遮断するものではない。横置きエンジンで前輪駆動ベースだからだ。その代わり可能な限りのパワーを荷重のかかる外側の後輪に配分している。これにより簡単に振り回せるのだ。非常に楽しめ怖さはなく、わたし好みの良く動くシャシーだ。
ギアはDCTとして最高とは言えないが、まれにシフトダウン時に遅れを感じる程度だ。これはメルセデス製ギアボックスの特徴でもあり、他のクルマと比べればわかるだろう。とはいえ十分に楽しめる。
RS3にM2 ライバルに対する評価
最大のライバルはアウディRS3であり、対等に戦えるクルマだ。エンジンサウンドの個性という面ではこの4気筒ユニットは5気筒にはかなわない。しかしその回転や出力特性はまったく引けをとらない。これに組み合わされるシャシーはコミュニカティブなだけでなく、さらにアジャスタブルで小気味よく魅力的だ。
BMWのM2コンペティションとも比較しなければならない。これもおよそ5万ポンド(650万円)だが、少々異なるクルマだ。ドアは2枚しかなく4人乗りだ。一方こちらはより分別のあるハッチバックである。
メルセデスAMG A 45 Sしかしひとりで乗ることが多くスポーティなクルマをお求めなら、M2の方が少しだけ満足できるかもしれない。とはいえこのクルマは長所も多く有能で実用的なパッケージングだ。運動性能についてはグリップが豊富で制御しやすく落ち着いている。
おそらくより楽しめるのは同価格帯のスポーツカーだが、このクルマも良くできている。こんな万能性を求めるなら「買い」といえるだろう。わたしなら後席の同乗者が乗り降りに苦労しようともM2コンペティションを選ぶが、誰もがその選択をできるわけではないだろう。
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