優れた動的性能をサウンドが引き立てる
text:Greg Kable(グレッグ・ケーブル)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
ボディサイズは大きくなったが、最新のBMW 4シリーズは運転が楽しい。スポーツカーという素性どおり、走りには一体感があり、身のこなしは常に機敏。
直列6気筒エンジンの筋肉質な唸りや興奮を誘う排気音は、車内のスピーカーからの合成音で厚みを増している。しかしM4ほど、圧倒的でもメロディアスでもない。
それでも、ハーフスロットル時の好戦的な響きや、フルスロットルでの聴き応えのある音響には充足感がある。M440i xドライブの優れた動的性能を、上手に引き立ててくれる。
サスペンションは、基本的には3シリーズと同じ設計。フロントがアルミニウムを用いたマクファーソンストラット式で、リアが5リンク式。アームの動きは4シリーズ独自の設定で、前輪のキャンバー角はより寝かされている。
新4シリーズにも採用された注目の技術が、リフトリレーテッド・ダンパー。メインスプリングとサブスプリング、油圧バンプストップを組み合わせたもので、リバウンド特性を段階的に変化。圧縮下ではダンパー内の圧力が高まり、減衰力を強くする仕組みだ。
ただし最上位のM440i xドライブでは、電子制御のアダプティブ・ダンパーが組まれる、専用のMスポーツ・サスペンションが与えられる。
ホイールは17インチから、Mスポーツ・パッケージ・プロの19インチまで。試乗車は19インチで、フロントが225/40、リアが255/35というサイズのミシュラン・パイロットスポーツ4タイヤを履いていた。
ステアリングも姿勢制御も先代以上
M440i xドライブにはバリアブル・ステアリングが付き、ステアリングホイールの切り始めからダイレクト。鋭い回頭性を生んでいる。手のひらへの感触も、先代よりイイ。
スポーツ・モードでは、ステアリングの角度を増すほど手応えが増し、反応は徐々に鋭くなっていく。バランスの優れたシャシーを、チャレンジングな道でも意のままに操れるという、自信をドライバーへ与えてくれる。
姿勢制御もエクセレント。先代より落ち着きを増し、積極的に旋回していく振る舞いは、低重心化による恩恵を感じられる部分。
引き締められた足回りはしっかり路面を掴み、シャシー自体のバランスも秀逸。動的性能が、全体的に引き上げられている印象だ。
M440i xドライブは、伝達トルクが変化する四輪駆動。乾燥した路面では、明確にリアタイヤ寄りのトルク割合だということを感じ取れる。
さらに電子制御のMスポーツ・デフは、リアタイヤ左右間でも駆動力を変化させる。これらが組み合わさり、突出したグリップ力とトラクションを実現している。
濡れた路面での安定性や安心感も高い。ライバルモデルの中には後輪駆動モードを選択でき、より運転スキルを試せる例もあるが、M440i xドライブの味付けも悪くない。
スポーティさが高められた4シリーズだが、乗り心地が犠牲になっていない点も見逃せない。特にM440iのアダプティブ・ダンパーの動きは、しっかり煮詰められているようだ。
見た目を超える注目すべき新世代
街なかのツギハギの多い舗装では、少し落ち着きが足りなかったり、強めの振動が伝わることもある。それでも、よほど強い入力でない限り、不安定さを覗かせることもなく穏やかに処理してくれる。
郊外の速度域の高い道では、乗り心地はさらに良くなる。スポーティでありながら快適という、4シリーズの特長が光る。ロードノイズや風切り音は小さく、長距離クルーザーとしても好適だ。
新しい4シリーズクーペは、BMWのラインナップの中でも、特にスポーティな位置づけへとシフトした。ドライビング体験は、3シリーズとの差別化も強められている。より機敏で、反応も鋭い。
M440i xドライブの動的性能は、非常に高水準。だたし、4シリーズ全体で販売の主力となるのは、よりマイルドなグレードになるだろう。
筆者の感覚では、BMWのモデル群の中で、新しい4シリーズのスタイリングは美しい部類には入らない。しかし、進化した動的性能と高い質感という訴求力が、はるかに勝る。注目すべき新世代が誕生したといえるだろう。
BMW 4シリーズ M440i xドライブ(欧州仕様)のスペック
価格:5万3875ポンド(727万円)
全長:4768mm
全幅:1852mm
全高:1383mm
最高速度:249km/h
0-100km/h加速:4.5秒
燃費:14.7km/L
CO2排出量:155g/km
乾燥重量:1740kg
パワートレイン:直列6気筒2998ccターボチャージャー+ISG
使用燃料:ガソリン
最高出力:374ps/5500-6500rpm
最大トルク:50.9kg-m/1900-5000rpm
ギアボックス:8速オートマティック
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みんなのコメント
これはMファンの怒りだな。
BMWはどう捉えるだろうか。