現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 「エンジンのホンダ」はどこに? 軽王者N-BOX擁する「Nシリーズ」の功罪

ここから本文です

「エンジンのホンダ」はどこに? 軽王者N-BOX擁する「Nシリーズ」の功罪

掲載 94
「エンジンのホンダ」はどこに? 軽王者N-BOX擁する「Nシリーズ」の功罪

 ホンダの軽自動車「Nシリーズ」の第1弾として、2011年に登場したN-BOX。販売台数で首位を走り続け「絶対王者」の貫禄を見せつけている。Nシリーズは拡大を続け、2012年にN-ONEを発売、2013年にはN-WGNを発売させた。登場するクルマは次々にヒットし、ホンダのブランドイメージを一新している。

 Nシリーズはホンダにとっての救世主となったのか。本稿では「Nシリーズ」がホンダの販売店に与えた影響について考えていく。

「エンジンのホンダ」はどこに? 軽王者N-BOX擁する「Nシリーズ」の功罪

文/木村俊之、写真/HONDA、ベストカー編集部

Nシリーズがホンダの乗用車販売に与えた影響とは

2011年に初代モデルが登場してから、2022年で11年目を迎えながらも、好調な販売が続くN-BOX

 軽自動車販売で6年連続首位を獲得したN-BOXの存在が、ホンダのブランドイメージを「良い軽自動車を作るメーカー」にしたのは明らかだ。あとに続くNシリーズも好調で、ホンダの軽自動車人気に拍車をかけた。

 いっぽうで、ホンダを代表するオデッセイ・シビック・CR-Vは国内販売を終了せざるを得ないほどに低迷した。Nシリーズの人気は、ホンダ乗用車の存在感を薄め、登録車販売の減少に大きく影響している。

 筆者は実際に、20代~30代のユーザーから「ホンダの乗用車ってどうなの?」という声を耳にすることも多かった。なかには、軽自動車しか販売していないと思っているユーザーもいたほどだ。

 これでは、性能が良いクルマだと熱弁しても、ユーザーに興味すら持ってもらえない。登録車を「欲しい」と言ってくれるユーザーがいなければ、売ることは難しく、営業マンも頭を抱えることになる。

 しかし、悪い影響ばかりではない。Nシリーズが成功したことで、ホンダのコンパクトカーに箔がついた。「ホンダはコンパクトカーが強い」と印象付けたことは、Nシリーズがホンダに与えた良い影響である。

時代に合わせた販売がホンダの特徴? ホンダのブランドイメージの変化

 かつては「エンジンのホンダ」と言われ、CR-XやS2000、NSXなどのスポーツカー(登録車)が印象的だった。しかし現在では、ブランドイメージが「コンパクトカー」に傾いている。N-BOXやフリードなど、コンパクトなクルマが主力車種になったことで「ホンダの持ち味はなくなってしまったのか?」と心配する声も聞こえてくる。しかし、その心配には及ばないと筆者は思うのだ。

 ホンダは、時代に合わせたクルマ作りをしている。今の主流はスポーツよりコンパクトだ。ユーザー思うブランドイメージが主流のクルマと合っていることは、時代に合わせたクルマ作りが成功している証である。

 これまで、ホンダのブランドイメージは、「スポーツ」そして「ミニバン」へと移り変わってきた。

 50代以上の中高年層が思い描くホンダのブランドイメージはスポーツカーだろう。「クルマは人生のステータス」といわれてきたこともあり、走りの良いホンダのクルマに憧れた人も多いはずだ。

 30代から40代では、ミニバンやSUVが脚光を浴びる。走りに期待ができないと思われていたミニバンに、これまでのブランドイメージであるスポーツを組み合わせて登場したオデッセイは、大ヒットを記録する。ミニバンブームをけん引する1台となった。

 そして現代、維持費が低減でき実用性の高いコンパクトカーが求められるようになった。フリードやヴェゼルでコンパクトなミニバン・SUVをヒットさせ、時代を牽引している。

 ホンダの持ち味はエンジンによる、運転の楽しさや走りのよさがあげられる。しかし最大の良さは、ブランドイメージの変化にとらわれずに、時代のニーズに合わせた「ユーザーファースト」なクルマを作りができることにほかならない。

救世主Nシリーズが担う今後の役割

 クルマの良さは、走りの良さや運転の楽しさだといわれることが多い。だが、営業マン目線で考えると、良いクルマ=売れるクルマなのである。「そんなの当たり前」と思われるかもしれないが、クルマの良さを話さなくても売れるクルマは、滅多にない。

 Nシリーズでは、この「滅多にない」がよく起こる。販売店にとってこれほど良いクルマは、ほかにはないだろう。だからこそ、Nシリーズの最大の功績は、長期にわたって売れ続けていることだといえる。

 しかし、近年ホンダはコンパクトカーばかりが生き残り、ミドルラージサイズ以上のクルマは数を減らしている。時代の流れといえばそれまでだが、低床技術による居住空間の広さでアドバンテージがあるホンダなだけに、もったいない。

 ホンダは限られた空間の中で実用性が求められるスモールカーで、成功を収めてきた。この技術や発想は、登録車にも活用してほしい。ホンダの強みを活かしきれば、高級ミニバンやSUVでも、Nシリーズのようなヒットを作り出せるのではないだろうか。

 Nシリーズは自らが売れるだけでなく、ホンダのコンパクトカーの注目を高めた救世主だ。そしてNシリーズは、ホンダのクルマを発展させ、未来を切り開くきっかけとなる。Nシリーズのさらなる活躍に期待したい。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

あれぇぇ!? [ノートオーラNISMO]と[シビックRS]を比較してみると意外な結果
あれぇぇ!? [ノートオーラNISMO]と[シビックRS]を比較してみると意外な結果
ベストカーWeb
レゴ、F1全チームをテーマにした製品を2025年1月1日から販売開始。往年の名車ウイリアムズFW14Bなど“オトナ向け”製品も3月に発売
レゴ、F1全チームをテーマにした製品を2025年1月1日から販売開始。往年の名車ウイリアムズFW14Bなど“オトナ向け”製品も3月に発売
motorsport.com 日本版
ホンダが「凄い施設」を初公開! 夢の「全固体電池」実現に一歩前進!? パイロットラインを栃木で披露
ホンダが「凄い施設」を初公開! 夢の「全固体電池」実現に一歩前進!? パイロットラインを栃木で披露
くるまのニュース
ラリージャパン2024がついに走行開始。シェイクダウン1走目の最速はヌービル/WRC日本
ラリージャパン2024がついに走行開始。シェイクダウン1走目の最速はヌービル/WRC日本
AUTOSPORT web
MotoGPマシンデビューの小椋藍選手 初走行の印象は……【MotoGPバルセロナ公式テスト】
MotoGPマシンデビューの小椋藍選手 初走行の印象は……【MotoGPバルセロナ公式テスト】
バイクのニュース
ダイハツが新型「軽SUV」発表! 打倒「ジムニー!?」な“5ドア”モデル登場! タフすぎる「ゴツ顔×カクカクボディ」採用した“新型タフト”138万円から発売!
ダイハツが新型「軽SUV」発表! 打倒「ジムニー!?」な“5ドア”モデル登場! タフすぎる「ゴツ顔×カクカクボディ」採用した“新型タフト”138万円から発売!
くるまのニュース
ゼンリン、パナソニックのカーナビ「Strada」向け最新地図データ発売へ…12月2日
ゼンリン、パナソニックのカーナビ「Strada」向け最新地図データ発売へ…12月2日
レスポンス
下取り額爆上がり? アルヴェルのドアの速さまで変えられるトヨタの[KINTO FACTORY(キントファクトリー)]がすごい!
下取り額爆上がり? アルヴェルのドアの速さまで変えられるトヨタの[KINTO FACTORY(キントファクトリー)]がすごい!
ベストカーWeb
チャンピオン争いで明暗を分けた要因と変化がもたらす2025シーズンへの期待/MotoGPの御意見番に聞くソリダリティGP
チャンピオン争いで明暗を分けた要因と変化がもたらす2025シーズンへの期待/MotoGPの御意見番に聞くソリダリティGP
AUTOSPORT web
メルセデスが好発進、ハミルトンがトップタイム。RB勢は下位に沈み角田裕毅19番手|ラスベガスGP FP1
メルセデスが好発進、ハミルトンがトップタイム。RB勢は下位に沈み角田裕毅19番手|ラスベガスGP FP1
motorsport.com 日本版
ヤマハとホンダがコラボ展示! バイクSFアニメ『Tokyo Override』劇中車の『YZF-R1』&『CB1300』が渋谷に登場
ヤマハとホンダがコラボ展示! バイクSFアニメ『Tokyo Override』劇中車の『YZF-R1』&『CB1300』が渋谷に登場
レスポンス
6速MTあり! 日産が「“新”フェアレディZ」を発表! GT-Rの「湾岸ブルー」と「“伝説”のパープル」設定! “改良型”登場も「また抽選」? 受注再開で販売店にも反響
6速MTあり! 日産が「“新”フェアレディZ」を発表! GT-Rの「湾岸ブルー」と「“伝説”のパープル」設定! “改良型”登場も「また抽選」? 受注再開で販売店にも反響
くるまのニュース
ダイハツ SUVタイプのタフトの一部仕様変更して発売
ダイハツ SUVタイプのタフトの一部仕様変更して発売
Auto Prove
バスがズラ リ並ぶ「壮観すぎる光景」今年も再び!? ピーク時は“1時間あたり50便”運行へ 人気の航空祭輸送で
バスがズラ リ並ぶ「壮観すぎる光景」今年も再び!? ピーク時は“1時間あたり50便”運行へ 人気の航空祭輸送で
乗りものニュース
なぜか自販機になると買いたくなる不思議! 24時間365日買えるソフト99の「洗車用品自販機」が便利な上にファンキー!!
なぜか自販機になると買いたくなる不思議! 24時間365日買えるソフト99の「洗車用品自販機」が便利な上にファンキー!!
WEB CARTOP
F1ラスベガスFP1速報|ルイス・ハミルトンがトップタイム記録。角田裕毅は19番手
F1ラスベガスFP1速報|ルイス・ハミルトンがトップタイム記録。角田裕毅は19番手
motorsport.com 日本版
「めっちゃカッコいい」新型レクサス『ES』のデザインにSNSで反響
「めっちゃカッコいい」新型レクサス『ES』のデザインにSNSで反響
レスポンス
藤原とうふ店がWRCラリージャパン参戦!? WRC2グリアジン、愛する『頭文字D』フルカラーリングは「僕の夢だった」
藤原とうふ店がWRCラリージャパン参戦!? WRC2グリアジン、愛する『頭文字D』フルカラーリングは「僕の夢だった」
motorsport.com 日本版

みんなのコメント

94件
  • Nシリーズの罪ねぇ…

    利益率が低過ぎる事かな。
    あれだけ売れてるのに経営が苦しいなんておかしい。

    つまり、安売りし過ぎたのだ…
  • 回るエンジンだけがいいエンジンじゃあない。
    トルクフルで燃費がいいエンジンもいいエンジン。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

169.0192.2万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

0.0288.4万円

中古車を検索
N-BOXの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

169.0192.2万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

0.0288.4万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村