■4年に満たなかった4代目「クラウン」のモデルライフを振り返る
1971年2月に発売された4代目クラウンは、愛好家の間では「クジラクラウン」の名でも知られています。
【画像】「いま見るとオシャレ!?」トヨタ 4代目クラウンと、3代目・5代目の写真を見比べてみる(25枚)
しかしこのクジラクラウンは、歴代クラウンの中でも失敗作との声も聞かれます。なぜでしょうか。
クラウンは1955年登場の初代を皮切りに、2018年に登場した現行型で15代目となるトヨタの伝統的高級車ブランドです。
モデルチェンジのたびに話題を呼ぶビッグネームですが、4代目クラウンについては、あまりありがたくない評判もあります。
歴代モデルで唯一、クラス首位をライバル車の日産「セドリック/グロリア」に奪われた、というものです。
けっして販売台数が極端に振るわなかったわけではないのですが、その後、尾ひれがついたように「販売不振」「不人気車」などと不名誉な称号が少しおおげさに残ってしまった感はあります。
そして4代目クラウンが不人気とされる大きな理由として挙げられていたのが、外観のデザインにあります。
1971年当時のカタログを見てみると「エレガンツ・クラウン」のキャッチコピーとともに、新型クラウンのデザインについても以下のように記されています。
「要請される最高級車としての実力と風格を十二分にそなえた新しい車です。高速性と安全性の追求から生まれた壮麗なスピンドルシェープ(紡錘形)。これからのスタイリングの主流となるにちがいありません」
3代目クラウンの直線基調によるフォルムから一転、曲線を多用した先進的なデザインとした意欲作だったことがわかります。
いまあらためて見てみると、同時期にセンセーショナルなデビューを果たしたスペシャリティクーペ「セリカ」(初代:1970年12月発売)との共通性も感じられ、当時としてはかなり斬新なデザインだったといえるでしょう。
SNSでも「失敗作といわれるがカッコいいと思う」「いま見ても斬新」など、クジラクラウンに対しポジティブな声も散見されます。
とはいえ、当時高級車を求める保守層には受けが悪かった点に加え、デザイン性を重視し車内からの視界が劣った点などが、タクシーなどの法人ユーザーからも不評だったと伝えられています。
クジラの愛称も、けっしてポジティブなイメージではなかったのです。
デビューから2年半後の1973年10月には、デザインを刷新する大規模なマイナーチェンジを実施しました。
バンパーまわりなどのメッキパーツを大幅に増やしたほか、グリルデザインなどの意匠を変更することで外観上の高級感を高め、保守層のニーズに応えています。
しかし翌1974年10月には、より保守層へアピールする直線基調のデザインに戻された5代目クラウンにスイッチされ、4年に満たないモデルライフを終えることになるのでした。
※ ※ ※
4代目の騒動がきっかけとなり、その後のクラウンは、直線基調で大型グリルを備える保守的なデザインの時代が長く続くことになります。
しかし2003年登場の12代目「ゼロクラウン」以降、トヨタは保守的に過ぎたクラウンの変革を模索し、輸入高級車を購入する層などにもアピールしています。
斬新すぎるデザインゆえ、不人気車と語られる4代目クジラクラウンですが、その先見性についてもここで改めて振り返ってみたいところです。
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みんなのコメント
作ることと売ることって、つくづく難しいバランスなんだな て思います。