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【ヒットの法則418】2代目シトロエンC5は独特の走りの質感を持つプレミアムサルーンに変身

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【ヒットの法則418】2代目シトロエンC5は独特の走りの質感を持つプレミアムサルーンに変身

2008年、シトロエンC5がフルモデルチェンジされ、2代目となってデビューした。2007年のフランクフルトショーでクーぺカブリオレのコンセプトカー「C5 Airscape」を公開し、翌2008年のブリュッセルモーターショーでセダンを、ジュネーブオートサロンでツアラーをワールドプレミアした。周到な計画の下に登場した2代目シトロエンC5はどんなモデルだったのか。ここではポルトガル・リスボンで行われた国際試乗会の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2008年5月号より)

シトロエンらしい独創性とふつうに使える普遍性の微妙なさじ加減
幅広いユーザー層に受け入れられることを意識した普遍的なクルマづくりをすると「らしくない」というコメントの集中砲火を浴びることとなり、ならば気合いを入れてそうした「らしさ」の強い演出を狙おうとすれば自らの手でユーザー層を狭める結果になりかねない。そんな難しいさじ加減の中で舵取りを要求されているのが、現在のシトロエンというブランドだろう。

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しかし、C4、C6、C4ピカソなど、最近のシトロエン車にはその「微妙なさじ加減」がうかがえるし、7年ぶりのフルモデルチェンジを受けた新型C5にも、そんなさじ加減を見ることができる。

「このクラスで最も大きい」と自ら語るボディサイズは全長×全幅×全高が4780×1860×1450mm。センターに置かれたダブルシェブロンから左右のヘッドライトへと広がるワイドなグリルは、新世代シトロエン車に共通の顔つきとしてそろそろ見慣れてきた一方、トランクリッド後端を軽くつまみ上げ、その垂直面はインバース(逆反り)形状としたリアエンド部分には少しばかりBMWとアウディ風味が入っているようにも見える。

もっとも、従来型に比べればそんな全体的な雰囲気は遥かにモダンであることは疑いない。フロントの長いオーバーハングとリアの短いオーバーハングという組み合わせも、無言の内にシトロエン車らしい佇まいを演出する。

そんなモダンな雰囲気は、インテリアにも反復されている。途中で折れ線の入った横長のクロームラインや、やはり横型基調の空調ベントなどでワイド感が強調されたダッシュボードのデザインは、視覚系と操作系が完全に分離されたもの。ナビゲーションシステムのディスプレイをダッシュアッパーの中央部という特等席にレイアウトしたのも、いかにも最新のモデルらしい。

ステアリングパッドはC4シリーズと同様の「回らないデザイン」を採用。ただし、ナビゲーションの操作系も置かれたセンターパネル部分は、小さなスイッチ類が多数存在して実際の使い勝手も少々煩雑。ナビ画面はドライバーからもさほど遠くないので、むしろ最新のタッチパネル式汎用ユニットを組み込んでもらった方が有り難いかもしれない。

C6にも通じる独特の走り味を持つ
ポルトガルで開催された国際試乗会では、日本導入が予想されるトップグレードの「3.0i V6」と「2.0i 16V」をそれぞれAT仕様でテストドライブ。欧州でのベーシックグレードにはコンベンショナルなサスペンションも用意される新しいC5だが、日本導入仕様は全車に例の油圧式ハイドラクティブサスペンションを採用するという。

3Lモデルが18インチ、2Lモデルは17インチのタイヤを装着、という違いはあったものの、基本的なフットワークのテイストはどちらも「ふんわり系」だ。2815mmという「クラス最長」のホイールベースを採用したこともあり、そのフラット感の高さ、ボディコントロール能力の高さは素晴らしい。

C6と同様のハイドラクティブサスペンションは、敢えてスポーツモードを選ぶまでもなく、優れた姿勢保持性を実現してくれる。微低速域ではその威力が落ちる傾向はあるものの、この足まわりにはやはり今でも「普通ではできないことをやっている」という実感がある。

後席足下スペースはさすがにC6ほどではないが、それでも大人2人が長時間をくつろぐことができる。静粛性に関しては、18インチタイヤを履いた3Lモデルが路面状況の変化に対してロードノイズがやや敏感、2Lモデルは後席で排気音がこもりがちと、それぞれウイークポイントを持つものの、総じて「優れている」と評価できる。

ちなみに、ゆとりの動力性能を求めたいのであれば、やはり選ぶべきは6速ATとの組み合わせを実現させた3Lモデル。4速ATとの組み合わせになる2Lモデルは、より軽快なハンドリング感覚を入手というプレゼントがある一方、動力性能面では時にやや辛い局面もあった。緩やかな加速時でも70km/hにまで達しないと4速ギアへとアップシフトせず、逆に減速時には35km/hまで落ちると早くも2速にダウンシフトしてしまうという高速型のシフトプログラミングは、日本の街中ではうっかりすると大部分を2速あるいは3速ギアで走らざるを得ないのもちょっと辛いところではある。

見るからに新しくなったC5の大きな魅力は、やはり独特の走りの質感にあると言えそう。ちょっと没個性なルックスに「どうしてもシトロエンらしい魅力に欠ける」という声の聞かれた従来型に比べれば、その商品力のアップは歴然だ。(文:河村康彦/Motor Magazine 2008年5月号より)



シトロエン C5 3.0i V6 主要諸元
●全長×全幅×全高:4779×1860×1451mm
●ホイールベース:2815mm
●車両重量:1725kg
●エンジン:V6DOHC
●排気量:2946cc
●最高出力:215ps/6000rpm
●最大トルク:290Nm/3750rpm
●駆動方式:FF
●トランスミッション:6速AT
※欧州仕様

[ アルバム : 2代目シトロエンC5 はオリジナルサイトでご覧ください ]

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