現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 極太タイヤが地球とドライバーを救う:ミシュランX one

ここから本文です

極太タイヤが地球とドライバーを救う:ミシュランX one

掲載 更新
極太タイヤが地球とドライバーを救う:ミシュランX one

日本ミシュランタイヤが「2019NEW環境展メディアセミナー」を開催した。NEW環境展にはトラック/バス用のタイヤを展示、本セミナーでもトラック/バス分野における現状の課題と同社における解決策が示された。

 運送業界における喫緊の課題は人手不足と長時間労働。前者についてはさらに従事者の高齢化と男性偏在というおまけがつく。人手不足に陥る理由のひとつに長時間労働が挙げられるのはご想像のとおりで、対価としての収入も他業種に比べておよそ3割低いという。

知られざる最先端の自動車事故損害調査がここに。EDRデータ抽出が技能コンテストの新競技に! …あいおいニッセイ同和損害調査

 この課題をタイヤで解決すると、B2B事業部の尾根山純一氏は言う。いったいどういうカラクリだろうか。

 解決策となるのはX oneと称するタイヤ。大型トラックで一般的なダブルタイヤをこのX oneでシングル化するというコンセプトだ。タイヤ単体では著しくワイド化することになるが、2本同サイズのタイヤ/ホイールを1本にまとめることで、軽量化と燃費の良化をもたらす。ミシュランの調査によれば、X oneに換装したことで以下のようなユーザーからのレポートが得られているという。

 ・燃費が5%向上(最大積載量15100kgのフルトレーラー)
 ・最大積載量が30%向上(工場出荷状態で7900kgのダンプ)
 ・200kgの車両軽量化(工場出荷状態で9000kgのダンプ)
 ・最大積載量が26%向上(工場出荷状態で8400kgのダンプ)

 5%の燃費向上という数字はいまや尋常ではない。クルマが軽くなることで最大積載量における積荷量を増やすことができ、そのおかげでダンプの場合は1日の往復数を著しく減らすことができたという。ばね下200kgの軽量化がドライバビリティに大きな影響があるのも容易に想像できる。こうした効果の数々がドライバーへの負担を軽減させ、業界全体の高効率化に結びつくとミシュランは説明する。

 

デメリットはないのか

 いいことづくめに思えるX oneへの換装だが、デメリットはないのだろうか。ひとつ挙げられるのが初期コストの高さである。具体的な数字は得られなかったが、タイヤに加えてホイールも交換しなければならず、その費用と得られるメリットを天秤にかけるときに事業者が不安を覚えれば導入は見送られる。後述するが、X oneを効果的かつ安全に運用するために、ミシュランは「TPMSクラウドサービス」との組み合わせを推奨していて、そちらの費用もかさんでしまうからだ。

 その不安を払拭するためのユニークな取り組みが「X one レンタルプログラム」である。無料でX oneを履いたホイール(アルミホイール:22.5×14.00)を無料で2週間装着し、実際の効果を確かめる。2018年の開催時には30のユーザーが体験、8割がポジティブな感想、さらにそのうちの1割は即時の導入を決めたという。
 ネガティブな反応だったユーザーの声は「燃費の結果が期待通りではない」「導入価格が高価」「装着期間が短い」というのが主。そこでミシュランは2019年5月よりプログラムの内容を刷新し、さらに長期間でX oneを試せるようにしていくという。

TPMSクラウドサービスとは

 導入に二の足を踏む事業者の言い分のひとつに、「新しいものだから」という意見がある。仕事で用いるツールだけに当然だろう。上述のように「導入価格が高価」というのもご覧いただいたとおりだ。

 それらに対するミシュランの回答が「TPMSクラウドサービス」である。タイヤ内に温度/圧力センサを仕込み、リアルタイムでタイヤの状態を把握できるサービスで、オレンジジャパンおよびソフトバンクとの協業で実現した。

 なぜTPMSがこれらの不安を払拭できるのか。2018年のデータによれば、大型トラックのパンク/バースト事例でもっとも高価だったのが191,654円。そこから17万、15万、12万……と続く。これらのトラブルから解放されるのなら、X one+TPMSの導入にもメリットはあるのではないかというのがミシュランからの提案だ。

 大型トラックのパンク/バーストの原因はスローパンクによる「気が付かないうちに空気圧が下がっていた」というトラブルと、ブレーキ引きずり傾向にあるドラムブレーキから与えられるタイヤの高温化~破裂という事例。いずれもタイヤの状態をTPMSで把握しておけば防げる事故である。実はX oneを採用することでスペアタイヤを用いることができないため、TPMSが必要になったという。しかしそれを補って余りあるメリットが認められるなら、システム一式を導入する理由にはなるだろう。

関連タグ

【キャンペーン】マイカー・車検月の登録でガソリン・軽油7円/L引きクーポンが全員貰える!

こんな記事も読まれています

レース終盤に突然荒れ出したGT500クラス決勝。トラブル、ハプニングまとめ/第2戦富士
レース終盤に突然荒れ出したGT500クラス決勝。トラブル、ハプニングまとめ/第2戦富士
AUTOSPORT web
小暮卓史「ホッとしています」。元嶋佑弥「タイヤがプッシュに応えてくれた」【第2戦GT300決勝会見】
小暮卓史「ホッとしています」。元嶋佑弥「タイヤがプッシュに応えてくれた」【第2戦GT300決勝会見】
AUTOSPORT web
うおおお魂動デザインのピックアップ! トライトンがありならマツダBT-50も入れてくれ!
うおおお魂動デザインのピックアップ! トライトンがありならマツダBT-50も入れてくれ!
ベストカーWeb
高星明誠「これで満足しない」。三宅淳詞「流れを崩さず準備していきたい」【第2戦GT500決勝会見】
高星明誠「これで満足しない」。三宅淳詞「流れを崩さず準備していきたい」【第2戦GT500決勝会見】
AUTOSPORT web
ベントレー・ベンテイガ 詳細データテスト 上質で広い 動力性能も操縦性もハイレベル 文句なく快適
ベントレー・ベンテイガ 詳細データテスト 上質で広い 動力性能も操縦性もハイレベル 文句なく快適
AUTOCAR JAPAN
初開催「RALLY三河湾2024」は大苦戦! それでも完走できたのは「OZホイール」のおかげでした【ゴスラリ参戦記】
初開催「RALLY三河湾2024」は大苦戦! それでも完走できたのは「OZホイール」のおかげでした【ゴスラリ参戦記】
Auto Messe Web
ニスモが1-2で富士を制圧。Niterra MOTUL Zの三宅淳詞がデビュー2戦目で初優勝【第2戦GT500決勝レポート】
ニスモが1-2で富士を制圧。Niterra MOTUL Zの三宅淳詞がデビュー2戦目で初優勝【第2戦GT500決勝レポート】
AUTOSPORT web
逆襲のヨコハマがワン・ツー。JLOCランボルギーニが独走ポール・トゥ・ウイン【第2戦GT300決勝レポート】
逆襲のヨコハマがワン・ツー。JLOCランボルギーニが独走ポール・トゥ・ウイン【第2戦GT300決勝レポート】
AUTOSPORT web
前年比10パーセント増。ゴールデンウイークの富士スピードウェイ、スーパーGT第2戦に8万8000人が来場
前年比10パーセント増。ゴールデンウイークの富士スピードウェイ、スーパーGT第2戦に8万8000人が来場
AUTOSPORT web
オススメできない理由がない! 新型フォルクスワーゲン・ティグアンへ試乗 アウディに見劣りしない車内
オススメできない理由がない! 新型フォルクスワーゲン・ティグアンへ試乗 アウディに見劣りしない車内
AUTOCAR JAPAN
「プロテクションフィルム」を貼ると査定は下がる!? プロショップに聞く最新フィルム事情とは
「プロテクションフィルム」を貼ると査定は下がる!? プロショップに聞く最新フィルム事情とは
Auto Messe Web
【正式結果】2024年スーパーGT第2戦富士 決勝3時間後
【正式結果】2024年スーパーGT第2戦富士 決勝3時間後
AUTOSPORT web
アルピーヌF1、予選Q2ダブル進出。ガスリーが進歩実感の一方でオコンにエンジントラブル発生「決勝は大丈夫なはず」
アルピーヌF1、予選Q2ダブル進出。ガスリーが進歩実感の一方でオコンにエンジントラブル発生「決勝は大丈夫なはず」
motorsport.com 日本版
メルセデス、2台がSQ2で敗退「実験のせいでなくこれが実力」「アップデートが機能していない」F1第6戦スプリント予選
メルセデス、2台がSQ2で敗退「実験のせいでなくこれが実力」「アップデートが機能していない」F1第6戦スプリント予選
AUTOSPORT web
【速報!マイアミGP予選 】F1第6戦、角田裕毅は10番グリッドから決勝にのぞむ、ポールポジションはフェルスタッペン
【速報!マイアミGP予選 】F1第6戦、角田裕毅は10番グリッドから決勝にのぞむ、ポールポジションはフェルスタッペン
Webモーターマガジン
FP1をスピンで失ったルクレールがスプリント予選2番手「シングルラップ改善の努力が報われた」フェラーリ/F1第6戦
FP1をスピンで失ったルクレールがスプリント予選2番手「シングルラップ改善の努力が報われた」フェラーリ/F1第6戦
AUTOSPORT web
「異端児」の有終の美 TVR T 400R トップギアの映像で内装を再現 ナンバー付きGT1ル・マン・マシン(2)
「異端児」の有終の美 TVR T 400R トップギアの映像で内装を再現 ナンバー付きGT1ル・マン・マシン(2)
AUTOCAR JAPAN
ちょっと「度を超えた」挑戦? TVR T 400R 346km/hのタスカン ナンバー付きGT1マシン(1)
ちょっと「度を超えた」挑戦? TVR T 400R 346km/hのタスカン ナンバー付きGT1マシン(1)
AUTOCAR JAPAN

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村