メーカー公認の高品質なチューニングモデル
メーカー自らが手を入れたカスタマイズモデルは非常に多く存在していて、中には純正のオプションパーツを標準装備しただけというお手軽なものから、メーカー(もしくは直系ブランド)だからこそ造れたと言えるスペシャルなモデルまで幅広い。
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そこで今回は、メーカーが本気を出して作り上げたチューニングモデルを紹介。なかには採算度外視と思えるものや、個人が同じ仕様を作ったらいくらかかるか分からないといったものまでさまざまだ。
1)NISMO 400R
R33型スカイラインGT-Rをベースに、モータースポーツ専門会社であるNISMOがレース経験、スポーツオプション開発経験をフルに注ぎ込んで作り上げたのがNISMO 400Rである。
GT-Rよりもさらに拡大されたフェンダーに専用の足まわりやホイールを組み込んだ見た目にも圧倒されるが、特筆すべきはやはり心臓部。RB-X GT2と名付けられたエンジンは、RB26DETTをベースに2771ccまで排気量を拡大。N1タービンや強化アクチュエーター、大型インタークーラーなどを備え、最大出力は400PS/47.8kgf・mを叩き出すチューンドマシンだった。
変更点を上げればキリがないほど手が加えられたこのモデルは、1995年に限定99台が1200万円という価格で販売され、実際には55台が生産されただけという幻のロードゴーイングチューニングカーなのだ。
2)86 TRD 14R-60
2014年にTRDブランドでもお馴染みのトヨタテクノクラフト(現:トヨタカスタマイジング&ディベロップメント)の創立60周年を記念して100台限定で販売されたコンプリートモデルが14R-60だ。
このモデルはやみくもにパワーを求めるチューニングではなく、空力と軽量化に主眼を置いたものとなっており、エンジンはノーマルと同じものが搭載されている(スポーツエアフィルターや専用マフラーは備わるが)。
その代わり、専用のエアロパーツやカーボンに置き換えられたルーフパネル、マグネシウム鍛造ホイールなどを備え、リアシートは取り払われて2シーター化。フロントシートもフルバケットシートが2脚で遮音材も省略されるなど、さながらレーシングカーの様相。
さらにボディ補強に機械式のLSD、専用車高調整式のサスペンションはもちろん、アーム類からブッシュまで強化品がおごられていた。ここまで手が加えられていながら630万円という車両価格は決して高いものではないだろう。
3)スバル インプレッサ 22B STI version
当時、世界ラリー選手権(WRC)で3連覇を成し遂げたインプレッサWRC97のイメージをロードカーに落とし込んだスペシャルモデルがインプレッサ 22B STI versionだ。
WRカー譲りの大きく張り出した前後ブリスターフェンダーや、エアロパーツはまさに本物を思わせるもの。それだけにラリー用のホモロゲーションモデルと思われるかもしれないが、このモデルはあくまでラリーカーをイメージしたカスタマイズカーとなっている。
搭載されるエンジンは実際のラリーカーとは異なり、2212ccにボアアップされたEJ22改と呼ばれるものが搭載され、パワーこそ当時の自主規制値である280PSのままだったが、フラットかつ高トルクを実現。それに合わせて駆動系も強化されたものが搭載されていた。
このモデルは400台限定で、価格は500万円となっていたが、あっという間に完売。現在はそのときの2倍以上の価格で取引されるプレミアムカーとなっている。
4)ホンダ シビック MUGEN RR
2007年9月に限定300台でリリースされたシビック MUGEN RRは、FD2型シビックタイプRをベースに究極のFFスポーツパフォーマンスを目標として作られたモデル。専用パーツは1台1台手作業で架装される本格的なチューニングカーだ。
エンジンは専用カムシャフトと吸排気系などでNAながら+15PSの向上を実施。カーボン製のフロントバンパーやリアウイング、レカロ社製のカーボンシェルバケットシート、アルミボンネットなどで15kgの軽量化を果たしている。
さらに大型ディフューザーやフロントアンダーパネル、可変リアウイングを装着し、レーシングカー並みのマイナスリフトを実現しているのだ。
価格は455万円(税抜)とベース車よりも200万円近く高額となっているが、これも同様の仕様を作ろうとすれば200万円では到底実現不可能な内容と言える。
5)ダイハツ ブーンシルクスポルザリミテッドパッケージ D-tune edition
最後は番外編となるが、現在ダイハツの普通車のボトムラインを担っているブーンに設定されていたD-tune editionをご紹介しよう。
これは、東京オートサロンなどで参考出品されて話題を集め、市販されたスポルザリミテッドパッケージにプラスされたもので、CVTのファイナルギヤを約20%ローギヤ化し、街乗り速度域での加速性能を向上させたもの。これにより、0~40km/hの発進加速を時間で約8%、40~80km/hの加速を時間で約10%短縮しているのだ。
X4があった初代に比べ、地味な印象のあるブーンではあるが、ファイナルギヤに手を加えるというのはまさにメーカーならでは。ハードなチューニングではないが、こういったものも存在していたのである。
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