日本での発表発売が待たれるマツダ3。北米仕様のSKYACTIV-G2.5と欧州仕様のSKYACTIV-G2.0+M-Hybridのセダン/ハッチバックをジャーナリストの松田秀士がロサンゼルスで試乗。サスペンションの構造や動きもじっくり解説する。マツダ3、果たしてその実力は? TEXT◎松田秀士(MATSUDA Hideshi)
昨年のLAショーでワールドプレミアされたMAZDA3にいよいよ試乗だ。試乗会場はワールドプレミアされた場所と同じロサンゼルス。しかもウェストハリウッドのちょっとセレブなホテルだった。
その日は土曜日とあって、ウェストハリウッド周辺はなかなかの渋滞模様。そのなかに5ドアハッチのMAZDA3で飛び込んでみる。搭載エンジンは自然吸気直4 2.0ℓマイルドハイブリッド仕様+6速MT。欧州仕様ローパワーモデルとのことだが、欧州販売はこちらがベースとなるらしい。今回試乗できたのは後述する4ドアセダンに搭載された自然吸気直4 2.5ℓエンジンとの2種。
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期待された、ガソリンエンジンをディーゼルエンジンのように燃焼させる世界初のSPCCI技術によるスカイアクティブXエンジンに関しては、今回はお預け。出し惜しみしているわけではないだろうが、投入は夏ごろになるとのこと。こちらもマイルドハイブリッドとの組み合わせになるらしい。ところで今回試乗する2.0ℓマイルドハイブリッドは24Vのベルト駆動B-ISG。クランクシャフトから出力したベルト駆動によるオルタネーター(発電機)を、駆動も回生(発電)も行なうモーターに置き換えたものだ。もちろん、ただ置き換えただけでなく、状況によって細かくマネージメントされるし、アイドリングストップ時の始動はスターターモーターの代役を務めスムーズな始動を行う。減速時の回生(発電)により得られた電力はリチウムイオン電池に充電される。世界的にはメルセデスやアウディが48Vのものを試乗投入しているが、これとの差はモーターそのもののパワーフィールだ。ストップ&ゴーでのモーターアシストによる加速感は、やはり48Vのものほどではないが、渋滞のなか6速MTでの頻繁なクラッチミートや加速に関してはストレスを感じなかった。
ウェストハリウッドの混んだ市街地を抜け高速道路に乗る。パワーは122ps/213Nmなので、それほど加速に力強さは感じないのだが、6000rpmを超える高回転域まで引っ張っても加速のテンションは一定でスムーズ。エンジンの振動感やメカニカルノイズが小さく、高回転域での悲鳴感はない。扱いやすいエンジンだ。米国の高速道路は日本では考えられないほど路面が悪い。しかしタダだ。タダになるなら日本もこれで我慢したい。そんな路面で多少の突き上げ感はあるものの、上下動の収まりが早いのと、突き上げが内臓に響くタイプのものではないので、ワリと快適。またロードノイズを含めた室内静粛性が高い。荒れた路面でも自立直進性はかなり高いレベルだ。ステアリングのセンターがピシッと座っている、というタイプではないが外乱に惑わされることなく直進する。
高速を降りるといよいよワインディング。アンジェリス・クレストという箱根のようなワインディングだ。ただし山の雰囲気は緑が茂る感じではなく、どちらかというとグランドキャニオンを思わせる異国情緒。じつはこのコース、毎年開催されるWCOTY(ワールドカーオブザイヤー)選考委員の試乗会ルートにもなっている。つまり、ワインディングの一部は勝手知ったる道。WCOTY試乗会では韓国車を含めたさまざまなクルマに試乗するので良い比較になる。
山の登りではパワーはないがコーナリングはかなり速い。よくあるスポーティーなガチガチなサスペンションフィールではなく、足のフィーリングやハンドリングの特性はとても自然。新型MAZDA3ではリヤサスがマルチリンク式からトーションビーム式へと、いわばレベルダウンしたかのような変更がなされた。このため乗り心地やハンドリングに疑問を投げかけたくなるのだが、実際はレベルアップしている。コーナリングでタイヤの限界まで攻め込んだところでロール角は小さい。しかし、硬さは感じない。ステアリングを操舵した瞬間にフロントタイヤをしっかり潰して、初期からフルロールするまでのタイヤ干渉を極力なくして、可能な限りサスペンションそのもののストローク感を出す。このためにフロントストラットのロワーアームは若干垂れ下がり、ダンパーは極低速域でしっかり減衰が立ち上がるようにセット。逆に高速域ではオイルをキレイに流すようにブローオフしている、とのこと。確かに言われたらその通り。このためにフロントストラット式サスも一から作り直している。
もうひとつ、リヤサスのトーションビームは横方向のステア変化を75%低減。そう左右が繋がったトーションビームは、バンプ時のトーイン変化が少ない。するとリヤの安定性が落ちるものだが、そんな感じは全くなくしっかりグリップしている。狙ったのは、ステアリングを切り込んだときにスムーズにノーズが切れ込むよう、リヤサスの初期のトーイン変化でリヤが過剰にグリップすることを嫌っているらしい。確かにリヤがグリップしすぎると、エイヤァ!と一気にステアリングを切らないと、気持ちよく曲がらない。試乗後のミーティングで、このような突っ込んだ話をしたのだが、マツダのエンジニアはなんだか宗教とでもいうくらい走りにこだわり、誰もが気持ちよく幸せになれる自然なハンドリングを目指している。
個人的には、フロントサスのバンプストッピングラバーのセットアップがスゴイ!だったが、これも説明すると長くなるので、この辺にしておく。
ワインディングでもうひとつ気持ち良かったのはシフトワーク。MTのストロークは短めでスコスコ入るものだが、シフトアップの瞬間にマイルドハイブリッドの回生をかけエンジン回転を強制的に落とすコントロールを行なっている。だからクイックシフトをしてもフライホイールのオーバーランによるミート時の加速感がなく、気持ちの良いシフトが可能なのだ。
マツダ3 ハッチバック SKYACTIV-G 2.0(マイルドハイブリッド)
全長×全幅×全高:4460×1795×1435mm ホイールベース:2725mm フロントトレッド:1570mm リヤトレッド:1580mm エンジン形式:直列4気筒DOHC 総排気量:1998cc 圧縮比:13.0 最高出力:90kW(122ps)/6000rpm 最大トルク:213Nm/4000rpm トランスミッション:6速MT ガソリンタンク容量:51L フロントサスペンション形式:マクファーソンストラット リヤサスペンション形式:トーションビーム タイヤサイズ:215/45R18 ホイールサイズ:18×7.0J フロントブレーキ:ベンチレーテッドディスク リヤブレーキ:ディスク
さて、セダンに乗り換えよう。5ドアハッチはサマータイヤを装着していたが、こちらセダンはオールシーズンタイヤを履いている。そのせいか、走行中の上下動がワインディングでも高速道でも若干大きい。3ボックスのセダンゆえにリヤにもバルクヘッドが存在する。それゆえ剛性面では強いはず。6速ATであることからも車重が増え、もちろんタイヤの剛性(柔らかい)も加わりマイルドなハンドリングと乗り心地になっている。エンジンはやはりトルクが大きく加速に不満は持たないが、2.0ℓエンジンの静けさが印象に残っているがゆえに2.5ℓは多少爆発音が大きく感じる。ただし、こちらは完全な米国仕様。地消地産というか、米国人好みに仕上がっている。とはいえ静粛性は高い。
この静粛性はボディの接合部にある減衰節と呼ばれる個所に樹脂を使い、ボディの振動エネルギーを熱エネルギーに変換する、という技術が投入されたことも一助になっているという。このあたりはかなり奥が深い。また乗り心地は、フロントロワーアームの前後のコンプライアンスを少なくして、つまり突起を通過した時の前後の動きを小さくして一度で衝撃を受けるようにしている。乗り心地重視で柔らかくすると2次のゆれ戻しがあり、かえってそれが不快なのだという。その乗り心地は、骨盤を立てるという新シートも貢献している。このシートはべつにサイドの張り出しも小さいのに、ホールド性がバツグンだった。
まだまだ書き足りないが、次は北海道テストコースの雪上でも試乗できるらしく、開発者に質問攻めを行う予定。機会があればノーマルオーディオの抜群の音質にも触れたいと思う。
マツダ3 セダン SKYACTIV-G 2.5
全長×全幅×全高:4662×1797×1445mm ホイールベース:2725mm フロントトレッド:1570mm リヤトレッド:1580mm エンジン形式:直列4気筒DOHC 総排気量:2448cc 圧縮比:13.0 最高出力:139kW(186ps)/6000rpm 最大トルク:252Nm/4000rpm トランスミッション:6速AT ガソリンタンク容量:50L フロントサスペンション形式:マクファーソンストラット リヤサスペンション形式:トーションビーム タイヤサイズ:215/45R18 ホイールサイズ:18×7.0J フロントブレーキ:ベンチレーテッドディスク リヤブレーキ:ディスク
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