数々の歴史的モデルが語るフェラーリの技術進化
F1とスポーツカーを語る時に欠かせない名門フェラーリは今年、創立90年の節目を迎える。それを記念してイタリア・マラネロのフェラーリミュージアムでは、「90周年展」と「ハイパーカー展」というふたつの企画展を2020年の5月まで開催している。
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創業者エンツォ・フェラーリがモデナの地でスクーデリア・フェラーリを創設したのは1929年11月16日。もともとはアルファロメオで戦うレーシングチームだった。その後、1947年には自動車メーカーに発展し、今や唯一と言っていいスポーツカー専業メーカーとして今日に至る。「90周年展」は歴代のレースで活躍したマシン展示が中心だが、時代を彩った市販スポーツカーをプレイバックする「ハイパーカー展」も同時開催される。
アルファロメオのレーシングドライバーだったエンツォは、創業前からアルファロメオのディーラーを経営。そして才能あふれると同時に裕福なモータースポーツ愛好家を集めて、スクーデリア・フェラーリを創設した。まさに今のフェラーリF1チームのルーツだ。
当時はミッレミリアやタルガ・フローリオ、タツィオ・ヌヴォラーリなどに参戦。「90周年展」の冒頭を飾るのは、1932年のル・マンにPrancing Horse(跳ね馬)のバッジを掲げて初参戦した「アルファロメオ8C 2300」である。
1950年に始まったF1にはオリジナルで参戦。1952年と53年にアルベルト・アスカリが2年連続でシリーズを制した「500F2」や、チャンピオンになること5回のファン・マヌエル・ファンジオが1956年にドライブした「D50」は、初期の代表的なマシンだろう。
そしてジョン・サーティースが1963年に初めてF1で勝利した「156F1」、先日に亡くなったニキ・ラウダがタイトルを獲得した「312T」はオールドファンには垂涎の的。さらにミハエル・シューマッハが最後に輝いた「F2004」はまだ記憶に新しく、最後を飾るのは昨シーズン、セバスチャン・ベッテルとキミ・ライコネンがドライブした「SF71H」となる。
追悼の市販スポーツカー「Ferrari Enzo」
一方、画期的な進展を果たしたモダン・フェラーリの市販車を選りすぐった「ハイパーカー展」にも注目。まず、1984年の「GTO」を最初に紹介したい。伝説となったグラン・ツーリスモ・オモロガートの名前を「250GTO」から受け継ぎ、復活させるためにデザインされたアイコニックなモデルだ。
さらに3年後の1987年、現代のスーパーカーすべての元祖となる「F40」を発表。創業40周年記念として造られた真のサーキットモデルで、ターボエンジンの搭載と、当時F1で主流となっていた複合素材の採用で、猛烈なパワーとパフォーマンスを発揮した。
さらに1995年の「F50」はGTの衣こそ纏ってはいるものの、本質的にはF1カー。F1マシンに由来するエンジンが、ストレスメンバーとして初めてモノコックシャーシにダイレクトマウントされている。
そして2002年、1988年に亡くなった創業者に捧げられたハイパーカー「Ferrari Enzo」の開発にはミハエル・シューマッハも参加。ミハエルの発案で一連のスイッチをステアリングホイールに集約するという、革新的なインターフェイスを備えた。
最新モデルは2013年に発表されたクーペの「La Ferrari」と、2016年デビューのタルガトップ「La Ferrari Aperta」。いずれも新世代のF1にインスパイアされた、ハイブリッドのHY-KERSパワーユニットを搭載している。
最後に、オーナー自身が既存の車両をカスタマイズできる「P80/C」のコンセプトモデルも展示。昨年4月に発表された「P80/C」は「488 GT3」をベースにしたフェラーリ史上唯一のワンオフモデルだが、このテーラーメイドプログラムをミュージアム内に再現している。
来場者はカラーパレットやファブリック、レザーのサンプル、その他多数の素材を選ぶことで、文字通り無限の組み合わせがイメージできるようになっている。
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