日本での呼び名をヒュンダイから「ヒョンデ(Hyndai)」へと変更し、約12年ぶりに再上陸を果たしたコリアンメーカーが携えてきたのは、電気自動車(以下、BEV)の「アイオニック5」。昨年末に発表された日本カー・オブ・ザ・イヤーで、輸入車の中でもっとも高く評価され「インポート・カー・オブ・ザ・イヤー」を獲得している。その後、ヒョンデからはひとクラス下の「コナEV」という電動車が追いかけて上陸してきた。より充実してきたヒョンデのラインナップだが、だからこそ話題をリードしているアイオニック5をもう一度走らせてみた。そこにはこれまで我々日本人には見えなかった魅力がたっぷりと詰まっていたのである。
ボディサイドに走るZ型のエッジラインと薄いヘッドライトとフロントマスクがSUVに有りがちな厚ぼったさを中和したデザインとなっている。タイヤは19インチの大径で、安定感のある佇まい。
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ブランド再上陸の強力な隠し球の自慢とは?
12年前、ヒョンデの上級サルーンとして世界で販売されていた「グレンジャー」は、日本にも輸入され、販売が行われていた。しかし、失礼を承知で言えば「敢えて進んで試乗しなければ」と思うほどの存在ではなかった。職業柄マズいとは思ったが「輸入車に乗ることは、その国の文化に乗ること」などと考えているだけに、韓国車に進んで乗る意味を感じてはいなかった。そんなグレンジャーに、初めて触れたのは、日本輸入車組合(JAIA)主催の輸入試乗会において。
あまり期待せずに乗り込み、走り出してみると「まぁ、乗り心地も悪くないし、スタイルも……。でも敢えて輸入車として買うまではないかもしれない」という感想を抱いた。ごくごく普通のサルーンだった。日本で、というかほぼ都内だったが、個人タクシー仕様のグレンジャーだった。ドッライバーに話を聞くと「安く売っていたし、その割には乗り心地もまぁまぁ。韓国のクルマだから動のということもそれほど多くないし」ということだった。言わば安い割に大きくて多久市で使いやすかった、と言うことだったんである。当然のことながら、ヒョンデはこうしたこともあり、販売台数を伸ばす湖が出来ずに日本市場から撤退したのだ。
そしていま、再上陸を果たすことになって、どんな作戦で来るのだろうか? と日本の自動車や経済メディアでは話題になった。「またどうせ」などと言った意地の悪い味方をするものもあった。一方で個人的には日本には入っていないが海外で販売台数を伸ばし、ヒョンデ自動車グループの2022年の世界新車販売台数は684万8000台。これはトヨタ自動車グループ(10,483,000台)とドイツのフォルクスワーゲン(VW)グループ(826万2800台)に次いで3位にまで躍進している。この急伸の要因といえば、日本には上陸していないものの、ヒョンデが現在ラインナップしているモデルには、当時と比べようもないほど魅力的なクルマが揃っているからである。海外のモーターショーの情報などを見ると、ハード面での向上はもちろんのこと、デザインが刺激的で、説明の必要なく魅力的だということが理解できるのだ。ある意味、エモーショナルと呼んでいい見た目と、メカニカルな部分での自信を付けたメーカーが、再上陸してくるのであるから、生半可な意気込みではないはず。こうした下地があってのアイオニック5ということになるのだが、とくに写真で確認するよりもさらに魅力的なデザインは、未来的でエモーショナルで、そしてその仕上がりは魅力的だった。
日本車の上から目線はもう通じない
太陽の元で見るアイオニック5は写真で見るより、さらに存在感を放っていた。全体のフォルムは、最近のBEVで主流とも言えるSUV的なものではない。本来なら一番人気のこのセグメントに投入してくるのは悪くないはずだが、アイオニック5のそれは、ゴルフなどに属するハッチバック的に見える。だが、その全高を見てみると1645mm(ゴルフ8の全高は1,475mm)であり、全高 1,655~1,665 mmある日産アリアとほぼ同じであり、クロスオーバーSUVと呼んでいい高さである。
自分の中で何か尺度に対する感覚がおかしくなったのではと、と一瞬思うのだが、少しすると敢えてセグメント分けしなくても「これはこれでいいよな」と納得出来るようになる。実はフェンダーアーチやボディの下部分にブラックのパーツがなく、ボディと同色。これによってSUV感が希薄になり、ボディサイドのZ型のラインを始めとした幾何学的なデザインとが融合して、独特の存在感を演出していたのだ。
グッと睨みのきいたフロントフェイス、エッジが何本も走るボディサイド、横方向にスクエアなラインが走るリアスタイル。ヘッドライトもリアライトも共通のデザインテイストで貫かれている。ある人は「ガンダム的」という表現を使ってはいるが、そんな表現を使わなくてもこのデザインによって日本の道路では確実に視線を集める。
ドアを開け、シートに腰を下ろす。外観の高質感から一転、非常に柔和な雰囲気を感じさせるインテリアである。全体的には「日だまりデザイン」とでも言おうか、ソフトで居心地のいいキャビンを演出している。外観デザインとの整合性や連続感をよく議論の俎上に載せることがあるが、「中はこれでいいじゃないか」と納得させてしまうのである。これがコリアンカー、いやヒョンデのクルマなのだ、と強烈な主張を感じさせてくれるのだ。
実は日本に未導入だったが、6代目のグレンジャーの後期型デザインや、昨年の11月にグローバルデビューした8代目グレンジャーを見るに付け「ヒョンデ、なかなかやるなぁ」と、そのデザインに監視した覚えがある。そして実際に目の当たりにしたアイオニック5によって「日本車のデザインもボヤッとはしていられない」と強烈の感じたのである。
一方、走りだが「良くも悪くもBEV的」。強烈なトルクを感じながら、スムーズに低重心の安定感を持って走ることにおいて、ライバルのBEVが持っている味わいと大きくは変わらない。あのポルシェ・タイカンが経験させてくれた「ポルシェならではのBEVの味」みたいなものを感じさせてくれるところにはないと思った。
だが、みんなBEVとしての走りのフィールにおいては、圧倒的な差を未設受ける事が出来ないのであれば、現状は「デザインで選ぶ」となれる。つまり、ヒョンデ・アイオニック5は、デザインでかなりのアドバンテージを持って登場したことになる。そして国産のBEVも、日産のアリアを除いてと言っておくが、もう少し頑張って欲しいと願うばかりである。
小さな正方形のピクセルピクセルをモチーフにしたLEDの四角いヘッドランプ、そしてフロントグリルなどにより、印象的な表情を完成させている。
リヤコンビランプ、ハイマウントストップランプなどにもピクセルをモチーフにしたデザインが散りばめられている。小さな正方形を並べたデザイン。
エッジの効いた外見から一転、ソフトで柔らかなラインで構成されているインテリア。12.3インチのTFT液晶を2個並べたディスプレイ。ほとんどの情報をこのパネルに表示する。
ドライブモードはスノーモードも含め4つ。日本語表示にも対応している。万が一の災害に備え電気自動車に蓄えた電気を家庭へ供給するシステム「V2H(Vehicle to Home)」に対応。
包まれ感の強いフロントシート。ロングドライブへの体力は未知数だが座り心地は良かった。
ホイールベースが3000mmもあり、前後方向のゆとりは十分に確保されている。
上がライトスイッチとウインカーのレバーはステアリングの右側にある(下のレバーはオートクルーズ用)。左ハンドルの国からの輸入車ではあるが日本のユーザーが使いやすいように輸入車であっても日本向けのローカライズが行われている。
前後方向にリアシートの背もたれを前方に倒すと床の奥行き161cm、左右幅104cmの広くスクエアな荷室が出現。
(価格)
5,990,000円~(ヒョンデ・アイオニック5 ラウンジAWD/税込み)
(スペック)
全長×全幅×全高=4,635×1,890×1,645mm
ホイールベース:3,000mm
車重:2,100kg
最小回転半径:5.99m
最低地上高:160mm
トランスミッション:
駆動方式:4WD
モーター:交流同期電動機
最高出力:225kW(305PS)/2,800~8,600rpm
最大トルク:605N・m(61.7kgf・m)/0~4,000rpm
一充電辺り走行距離:577km(WLTCモード)
問い合わせ先:ヒョンデカスタマーセンター電話:0120-600-066
TEXT:佐藤篤司
男性週刊誌、ライフスタイル誌、夕刊紙など一般誌を中心に、2輪から4輪まで“いかに乗り物のある生活を楽しむか”をテーマに、多くの情報を発信・提案を行う自動車ライター。著書「クルマ界歴史の証人」(講談社刊)。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。
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上記は記事の引用だが日本語の間違いが3箇所もある。
ただ、筆者は外国人にしては日本語が大変お上手な部類だと感じる。
自称ライターさん、まずは誤字脱字に注意しようよ。
話はそれからだ。