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国内試乗 アウディA6アバント ​洗練と人工美を称賛 ただしディーゼル求む

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国内試乗 アウディA6アバント ​洗練と人工美を称賛 ただしディーゼル求む

もくじ

ー 「二枚目ワゴン」ジャンルの先駆
ー A6アバント 軽やかさの秘密はどこにある?
ー ひとつの頂上を極めているからこその悩み
ー 立ち位置を考えるとディーゼルに興味
ー アウディA6アバント55 TFSIクワトロSラインのスペック

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「二枚目ワゴン」ジャンルの先駆

5m近い4950mmの全長に、全幅は1.9mにまで迫る1885mm、そして3mの大台に遠からぬ2925mmものロングホイールベース。

それでいて全高は1465mmのロープロファイルなのだから、そのプロポーションの伸びやかさといったらない。

ただし深々とエッジの効いた前後フェンダーやボディサイドにかけてのショルダーラインや、内側が抉れた先代以来のひとクセある目つきを受け継いだLEDマトリックスライト、リアランプ上に水平に走る横一文字のクロームガーニッシュなど、お馴染みシングルフレーム以外にも造形は凝ったものをシンプルに見せる雰囲気で、相変わらず好悪を分けるというか他のプレミアムブランドがお好きならどうぞ的な唯我独尊ぶりも感じられる。

先頃、日本市場でリリースされた新型のアウディA6アバントのことだ。サイズ的にはひと昔前のA8相当の巨躯を、しなやかなグラフィックとボリュームの抑揚でスッキリ見せている点では、かなりの力業デザインといえる。

A6アバントはアウディ100から代替わりしたC4世代から数えて今回のC8が5世代目、Eセグメントのツアラー的ワゴンのリーダー的存在であり続けてきた。

それは飛行機でいうビジネスクラスにあってエコノミークラスにはない「欠けることのない必要クオリティの高さ」を、地上を走るツールであるドライバーズカーへと、プライベート目線で置換した、そんな世界観といえる。

平たくいえば近頃はボルボV90も絡んできた「二枚目ワゴン」というジャンルの先駆で、単に荷室容量を競うような大盛り上等のステーションワゴンやエステートとは一線を画す。

アウディ独自の高貴なるAWDスポーツワゴンであることを思えば、このぐらいのパーソナリティの強さはあって然るべきだろう。

より正確には日本導入仕様は「A6アバント55 TFSIクワトロSライン」で、「ダイナミックオールホイールステアリング」という長い名称の四輪操舵システムをも標準装備する。

A6アバント 軽やかさの秘密はどこにある?

この四輪操舵の効果か、いざ走り出すと、静的状態での主張の強さと裏腹に、身体に染み入ってくるような優しい乗り味に驚かされる。

シートも今どき珍しいほど分厚い造りで、やや固めの感触に包まれる感覚は、伝統的なドイツ車のそれと感じられる。

主要な操作コマンド類は、ダッシュボード中央とセンターコンソール上という上下2段のワイドスクリーンに配され、上が車両情報とインフォテイメント関連、下がエアコンなどコンフォート関連となる。

とはいえアダプティブシャシーの切り替えを司るドライブモードは物理的ボタンで左端に設けられ、一度覚えてしまえばスクリーン上で探す必要はない。

しかもエフィシェンシー/コンフォート/オート/ダイナミック/インディヴィジュアルと、5つの設定の中にあえて「ノーマル」を設けないところも小気味いい。

オートがそれに近いのだろうが、市街地をエフィシェンシーとコンフォートで走っている限り、アイドリングストップから加速に移るまでの上質なスムーズさと力強さに舌を巻く。7速Sトロニックの変速ステップもマナーも適切だ。

後から知ったことだが、2994ccのV6ターボは、1370rpmというアイドリングに近い領域から51.0kg-mもの最大トルクを発生する。

そもそもアイドリングストップの静止状態から、ベルト駆動式オルタネータースターター(BAS)を備える48Vマイルドハイブリッドシステムが、V6ターボが仕事し出すまでの刹那、見事な繋ぎ役ぶりを発揮する。

55km/h以上での走行中に生じるコースティングへ切り替えも自然で素早く、トルクマネージメントの巧みさとインテリジェント化が著しい。車重が1930kgもあることがにわかに信じられないほどの軽快さだ。

だがこの軽快さを醸し出すのは、パワートレインだけではない。

ひとつの頂上を極めているからこその悩み

フロント、リアともサスペンションはダブルウィッシュボーン形式だが、とくにフロントダンパーのストローク長を稼ぐためだろう、縦置きV6ターボのスペース的制約の中で、アッパーマウントがかなり内側に傾けられている。

加えて四輪操舵によるリアステア制御もごく自然なので、当初は大きいと思わされたボディが意外なほど軽やかに動く。ステアリングも中立付近が敏感に過ぎず、だが切り増せばれば素直にゲインを得られる手応え。強いていえば路面フィールは乏しいが、振動や雑味は伝わってこない。

先進運転支援システムはレベル2に留まるとはいえ、レーンキープアシストやアダプティブクルーズコントロールなどの制御の完成度は高い。修正舵の介入も煩わしい感じでなく、バックグラウンドで使うのに問題がない。

ちなみに渋滞時に前走車について再発進可能な数秒間は、「Automatic go」とデジタルメーター内にインジケーター表示されるので、わかりやすい。

A8やA7スポーツバックほど後席やクーペ感重視でないA6、しかもアバントは、スポ―ティな走りと室内の居住性、荷室を含めた実用性の三位一体バランスという意味で、ベントレーのような雲上クラスを除いた、ドライバーズカーとしてひとつのピークを形成しているし、それこそ国産車には求めても存在しない何かだ。

ただし55 TFSIクワトロSラインの完成度の高さを見てしまうと、このクラスとジャンルなら、ディーゼルはどうなのか? そう気になるのが、輸入車SUVでディーゼルが定番になりつつある昨今の、偽らざる心境と気分でもある。

具体的には欧州でトップ・オブ・ディーゼルとなる286ps/63.2kg-mのA6アバント50 TDIだ。

立ち位置を考えるとディーゼルに興味

今回は正確な燃費はとれなかったが55 TFSIクワトロSラインは、街中で瞬間燃費をモニターしている限り、おもに4~5km/ℓ、7km/ℓより上に行くことはほとんどなかった。

「直進安定性の怪物」と化す長距離巡航でコースティングを多用すれば、もっと伸びるはずとはいえ、軽量化技術に再び力点を置くべきだったとも感じさせる。

48Vマイルドハイブリッドや四輪操舵は驚くほどの効果を生み出してはいるが、カーボンオフセットの免罪符にはならないし、ディーゼルと組み合わせる方がよりロジックと見えてしまうのだ。

アウディA6アバント55 TFSIクワトロSラインのスペック

価格:1041万円
全長×全幅×全高:4950×1885×1465mm
最高速度:-
0-100km/h加速:-
燃費:12.3km/ℓ
CO2排出量:189g/km
車両重量:1930kg
パワートレイン:V型6気筒2994ccターボ
使用燃料:ガソリン
最高出力:340ps/5200-6400rpm
最大トルク:51.0kg-m/1370-4500rpm
ギアボックス:7速オートマティック

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