渦中の2022年王者ジョーイ・ロガーノ(チーム・ペンスキー/フォード・マスタング)が、開幕以降の3戦中2戦でポールウイナーを奪ったNASCARカップシリーズ第3戦『ペンズオイル400・プレゼンテッド・バイ・ジフィー・ルーブ』は、最後の10周でタイラー・レディック(23XIレーシング・/トヨタ・カムリXSE)との“デュエル”を制したカイル・ラーソン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)が今季初優勝。自身ラスベガス・モータースピードウェイでの通算3勝目を飾っている。
前戦で左手ドライビンググローブの違法改造が発覚し、最後尾スタートを強いられていたロガーノだったが、迎えた3月1~3日のラスベガスでも好調さを維持し、自身に吹き荒む逆風を跳ね除けての3戦連続フロントロウを手にした。
決着は0.003秒フォトフィニッシュ! ダニエル・スアレスが3ワイドで王者を撃破/NASCAR第2戦
「ポール(・ウルフ/クルーチーフ)は僕のために彼女(22号車)をかなりうまく微調整してくれた。それでも予選のセカンドランでは違和感があって、これで充分だとは感じていなかった。クルマに乗っているときはいつだって『これで大丈夫、イケる』なんて思わないものだからね」と笑顔を見せたロガーノ。
日曜も定位置から267周のスタートを切った現行Next-Gen規定の初代チャンピオンだったが、そのリードはわずか2周で終焉を迎え、すぐ隣に並んでいたラーソンが序盤から隊列を率いる展開となる。
さらに10周目には最初のコーションが発生し、右リヤタイヤをパンクさせたクリストファー・ベル(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)の鮮烈な“Interstate”グリーンのマシンが白煙を上げてスピンアウト。そのベルはステージ2終盤の156周目にも同じトラブルに見舞われてしまう。
27周目にはクリス・ブッシャー(RFKレーシング/フォード・マスタング)の右フロントにも異変が生じ、リムごとタイヤが脱落した17号車のマスタング“Dark Horse(ダークホース)”は、そのまま成す術なくターン1のウォールに激突。その衝撃からNASCARスチュワードはバリア修復のため、赤旗中断の判断を強いられる。
その後も15名のドライバーにより24回のリードチェンジが発生したレースは、ラーソンにとって支配的な展開のまま267周中181周で首位のラップを刻んでいく。残り33周でコリー・ラジョイ(スパイア・モータースポーツ/シボレー・カマロ)が単独スピンを喫して最後のコーションが発生すると、首位ラーソンと1.4秒差の2番手レディックに対し、ピット作業で2タイヤ交換を選択したFP最速ロス・チャスティン(トラックハウス・レーシングチーム/シボレー・カマロ)が割り込むかたちで、残り27周のリスタートを迎える。
「最初のステージからタイラーが勝てる男だということは分かっていた」と、この時点で標的はレディックだと認識していたと明かすラーソン。
「彼とバッバ(・ウォレスJr.)はふたたび協力してランを築くつもりだったと思うから、それが起こらなかったことが幸いした」と、中盤からプッシュドラフトの助けを得て僚友と共闘しつつも、最後はラグナットの破損でサポート役が消えたJGR陣営の不運を指摘したレースウイナー。
■ラーソンが見せた効果的なブロック走行
再開後、すぐさまチャスティンを逆転したラーソンに続き、残り21周で2番手に浮上したレディックの45号車カムリXSEは、後続をみるみる引き離して“一騎打ち”の態勢に持ち込むと、残り10周で5号車カマロZL1に対してテール・トゥ・ノーズ状態となる。
ターン1とターン2ではクリーンエアを求め、ターン3と4ではボトムラインでみるみるギャップを詰めた45号車は、明らかにレース終盤で最速マシンの地位にあったものの、ホワイトフラッグでも冷静にミラーを観察し続けた2021年チャンピオンは、新型モデルを前に出すことを許さぬ鉄壁のドライブを見せつけた。
「リードを奪ってみせるか、それを守り切ることができるか。まさに“Next-Gen”レーシングゲームだね!」と、2位惜敗ながら明るい表情でレースを振り返ったレディック。
「カイルはそこで本当に良い仕事をして、差を縮めるために僕が持っていたほぼすべての選択肢を奪い去った。彼はミドルでかなり速く見えたし、僕は明らかに一番ボトムで速かった。そして彼は僕に前に出ることを決して許してはくれなかったんだ」と続けたレディック。
「最後はハイラインのクリーンなラインで車速を得ようとしたが、彼はレーストラックの真ん中を走っているような感じで、両方の車線をブロックするのに非常に効果的な位置取りだった。ターン1-2でもワイドオープンになり、かなりうまくディフェンスできるからね。それにしても悔しいね、でも今日はチームにとって良いリバウンドになったよ」
一方の勝者ラーソンも「僕が最後に彼を牽引して、こちらを捕まえたところでタイムアウトになりそうな気がしていた」と薄氷の勝利であったことを強調した。
「でもありがたいことに、数周の間彼をエアブロックして、しっかりと締めることができた。全体としてヘンドリックによる素晴らしい、素晴らしい仕事、そしてまさにその実行力が示せた。ピットロード、リスタート、すべてが素晴らしかったよ。ラスベガスでふたたび勝利を収めることができてうれしいし、立て続けにすべてのステージを制覇したから、これ以上望むことはできないね」
金曜に併催されたNASCARクラフツマン・トラック・シリーズ第3戦『ビクトリアズ・ボイス・ファウンデーション200』は、NASCARの“ドライブ・フォー・ダイバーシティ・プログラム”卒業生でもあるアフリカ系アメリカ人のラジャ・カルース(スパイア・モータースポーツ/シボレー・シルバラードRST)が、ポール・トゥ・ウインでシリーズ初優勝を達成。
同じく併催されたNASCARエクスフィニティ・シリーズ第3戦『ザ・リウナ! 300』は、レース全域でJGR陣営内でのバトルを展開したジョン・ハンター・ネメチェク(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタGRスープラ)が、チャンドラー・スミスを降してトップチェッカーを受ける結果となった。
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