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【VWの本気が見える】フォルクスワーゲンID. 4 1stマックスへ試乗 5シーター・クロスオーバー 前編

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【VWの本気が見える】フォルクスワーゲンID. 4 1stマックスへ試乗 5シーター・クロスオーバー 前編

3大陸の4工場で生産されるグローバルEV

text:Greg Kable(グレッグ・ケーブル)

【画像】VW ID. 4と3 競合クロスオーバー純EVと比較 全111枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


フォルクスワーゲンからID.ブランド2台目の「4」が登場する。純EVの販売において、世界規模でリーダーに躍り出ようという野望を実現する、具体的なモデルの1つとなる。

このID. 4は、地球上の3つの大陸に用意された、4か所の工場で製造される。クロスオーバーのボディが与えられ、初代ビートルやゴルフのように、グローバルカーとしてフォルクスワーゲンの期待値も高い。早速詳しく見ていこう。

フォルクスワーゲンが純EVのために用意したサブブランド、ID.の2番目のモデルとして、英国では2021年2月から販売がスタートする。当初はシングルモーターの後輪駆動のみになる。

MEBと呼ばれるプラットフォームは、ID. 3と共有。強力なツインモニターの四輪駆動版も、2021年4月には追加される。ID.ラインナップの高性能モデルに与えられる、GTXという3文字を初めて名乗ることになる。

フロントとリアには、車幅いっぱいにライトの帯が伸び、スタイリングはモダン。電気自動車へ参入するに当たり、フォルクスワーゲンは慎重にデザインを練ってきた。

オリジナルのデザインは、2017年の上海モーターショーで発表された、IDクロス・コンセプト。滑らかな表面処理を、小さな変更を加えて量産モデルへ反映させている。

既存のフォルクスワーゲン製SUVとは異なり、ボンネットは短い。ホイールハウスは際立って大きく、18インチから21インチまでのタイヤを包む。全長は4584mmだから、写真を見ていただければアーチの大きさがわかる。

77kWhのバッテリーで521kmの航続距離

全幅は1852mm、全高は1612mmあり、SUVのティグアンと比べると75mm長く、13mm広く、63mm高い。ホイールベースはID. 3と同じ2766mm。ティグアンより88mm長い。

ボディサイズはティグアン以上だが、空気抵抗はID. 4の方が小さい。滑らかなフロントエンドやボディサイドと、空力性能を重視したホイールなどが功を奏し、Cd値は0.28に収まっている。

ドイツ・カッセルのフォルクスワーゲン工場で製造されるAPP 310と呼ばれるAC同期モーターは、リアに搭載。こちらもID. 3と基本的に同じものだ。148psと170ps、今回試乗したマックスに搭載される203psまで、3段階の馬力設定がある。

最大トルクは、馬力に関係なく31.4kg-mで共通。ちなみに後輪駆動のBMW iX3の場合は286psと40.7kg-m、ヒュンダイ・コナ・エレクトリックでは203psと40.7kg-mが与えられ、さらにパワフルな設定となる。

シングルモーターの場合、シングルスピードのトランスミッションを介して、後輪を駆動。電子制御デフを備え、左右リアタイヤへ伝達されるトルク量を制御することで、トラクションを向上。コーナーでは、自然な操縦性に寄与する。

リチウムイオン・バッテリーの容量は2種類。148psと170psの電気モーターには、344kgある52kWhのバッテリーが組み合わされる。203psの場合は、より大容量の77kWhとペアが組まれる。こちらの重量は、493kgもある。

フォルクスワーゲンによれば、77kWhのバッテリーで521kmの航続距離が得られるという。11kWの充電器が標準だが、最大125kWの急速充電器まで対応。最短30分で、320kmぶんの電気を蓄えられる。

コンパクトモデルのような取り回しと軽快感

車重は、試乗車のID. 4で2124kgもある。だが、電気モーターの瞬発的に発生するトルクで、発進加速は充分活発。ドライブモードはエコ、コンフォート、スポーツの3種類が基本設定で用意されるが、どれを選んでも80km/hくらいまでは元気が良い。

そこから上の速度域は、電気モーターの余力と大きくなる空気抵抗とのせめぎ合い。0-100km/h加速時間は8.5秒と公表されているが、実際に運転してみると数字以上に加速感は鋭い。

高速道路の速度以上になると、加速力の陰りは明らか。そこから上は、ツインモニターのID. 4 GTXの出番となるだろう。

アクセルペダルを緩めた時の回生ブレーキの強さは、メーターパネル端から飛び出た、アームのようなスイッチを回して調整できる。これもID. 3と同じ仕組み。

Dレンジは回生ブレーキの効きが弱く、惰性走行も可能な状態。Bレンジは強力な回生ブレーキで、ワンペダル・ドライブも許す状態。ブレーキペダルを踏まずに停止までできる。一部のライバルのように、パドルでの調整はできない。

サスペンションは、フロントがマクファーソンストラット式で、リアがマルチリンク式。ダンパーは通常のものが標準だが、オプションで可変レートのアダプティブ・ダンパーも選べる。筆者は選択をお勧めする。

ID. 4の走りは、心地よい滑らかさで反応も良く、とても好印象。最小回転直径は10.2mと、5シーターのクロスオーバーとしては小回りも効く方。市街地での取り回しも、驚くほど良い。コンパクトモデルのような軽快感もある。

この続きは後編にて。

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