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ヴェゼルと全然違う!? グリルレス顔のホンダ「コンパクトSUV」が凄い! 謎の「e:NP1/e:NS1」特徴は?

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ヴェゼルと全然違う!? グリルレス顔のホンダ「コンパクトSUV」が凄い! 謎の「e:NP1/e:NS1」特徴は?

■ホンダが中国で販売しているSUV「e:NP1」とは

 ホンダは日本市場において「ヴェゼル」と「ZR-V」という2台のSUVを展開しています。
 
 その一方で中国にはヴェゼルサイズのSUVが複数展開されていますが、どのような特徴があるのでしょうか。

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■ホンダが中国で販売しているSUV「e:NP1」とは

 e:NP1は2021年に中国で発表されたBEVブランド「e:N」シリーズの第1弾となるSUVで、姉妹車種の「e:NS1」と同時にお披露目されました。

 ホンダは広州汽車との「広汽ホンダ」と、東風汽車との「東風ホンダ」という2つの合弁会社を中国で有していますが、そのうちe:NP1が広汽ホンダ、e:S1が東風ホンダから製造・販売されるモデルとなります。

 中国にて複数の合弁会社を有するメーカーは、一つのモデルをデザインと車名が異なる姉妹車としてそれぞれの合弁会社からリリースする傾向にあります。

 ホンダはe:NP1/e:NS1以外にも、中国市場で「フィット/ライフ」、「クライダー/エンヴィクス」、「インテグラ/シビック」、「アコード/インスパイア」、「ヴェゼル/X-RV」、「アヴァンシア/UR-V」、「ブリーズ/CR-V」、「オデッセイ/エリシオン」などをそれぞれ広汽ホンダ/東風ホンダで展開しています。

 e:NP1/e:NS1は日本でも販売されている「ヴェゼル」ベースのEVプラットフォーム「e:N Architecture F」を採用しているため、ボディ形状もヴェゼルとほぼ同一になります。

 ヴェゼルベースの中国向けBEVは初代ヴェゼルより存在しており、広汽ホンダからは「エヴェルス(理念)」ブランドの「VE-1」。

 東風ホンダからは「シーモ(思銘)」ブランドの「X-NV」「M-NV」がそれぞれリリースされていました。

 2代目へと移行したヴェゼルもその例に漏れず、BEVのベース車両となった形です。

 ボディサイズは全長4388mm×全幅1790mm×全高1560mm、ホイールベース2610mmとなっており、ヴェゼル(中国仕様)の全長4380mm×全幅1790mm×全高1590mm、ホイールベース2610mmと大差ないことがわかります。

 一方で車両重量はベースグレードで1296kgから1652kg(68.8kWhモデルは1683kg)へと増加しているため、駆動用バッテリー搭載分として350kgから390kgほど重くなる形です。

 搭載される駆動用バッテリーは三元系リチウムイオン電池、容量53.6kWhと68.8kWhの2種類を用意。

 航続距離は中国独自のCLTC方式でそれぞれ420kmと510kmとなります。

 エクステリアデザインはヴェゼルをベースにしてるだけあって、まさに「グリルレスなヴェゼル」といった印象です。

 ヴェゼルの特徴のひとつである横に伸びたシンプルなグリルは埋められ、代わりに充電口が配置されています。

 また、フロントバンパー両端には空気抵抗を向上させるためのダクトが存在するのもヴェゼルと異なる点です。

 e:NP1/e:NS1での違いではフロントマスクやフロントリップ、フェンダーアーチ、リアバンパーの塗り分けを変えることでデザインの差別化を図っています。

 一般的に、ガソリン車をベースにしたEVは駆動用バッテリーを床下に搭載する関係でかなり厚ぼったくなり、不恰好で崩れがちなシルエットになります。

 対してe:NP1/e:NS1は元のヴェゼルが持つシルエットをほとんど崩していませんが、これは駆動用バッテリーをフロアよりも下がった位置に配置しているからであると感じました。

 これにより最低地上高は下がりますが、横から見たボディ下半分の印象を美しいまま保つことができます。

 インテリアでまず目につくのが15.1インチの縦型ディスプレイです。

 ここがヴェゼルとの大きな違いのひとつであり、このディスプレイでナビやインフォテインメント、エアコン、各種アプリケーションの操作をおこないます。

 巨大なタッチパネルではあるもののレスポンスに不満はなく、サクサクと軽快に操作できる点は評価できます。

 また、ディスプレイ直下に位置するセレクターもヴェゼルとは違い、すべてボタン式です。

 メーターはBEV専用車「ホンダe」で見られる液晶ディスプレイへと置き換えられており、先進性と高い視認性を感じられます。

 これら以外は基本的にヴェゼルと同一の内装となっており、エアコンの吹き出し口からもそれが見受けられます。

 実際に運転してみると、駆動用バッテリーで重量が増加していることあってヴェゼルよりも安定した乗り味であると感じました。

 足回りも若干硬めといった印象で、フロントに配置された出力201hp(下位グレードは179hp)のモータも気持ちよく加速してくれます。

 ブレーキやアクセルのフィーリングはホンダe譲りの扱いやすさで、総じてとても運転のしやすい純電動SUVでした。

 中国では先進性に今ひとつ欠けるとして苦戦しているとの声も聞かれますが、持っているポテンシャルから考えて日本でも十分に受け入れられるはずです。

■ホンダが展開するBEV戦略は? 「e:N」シリーズが軸になる?

 また、ホンダはe:NP1/e:NS1の欧州向けモデル「e:Ny1」を2023年秋より販売予定なので、中国ほど競争が激しくない欧州市場でどのような反応で迎えられるかもとても気になります。

 ホンダ車を求める消費者層は、ディスプレイだらけのけばけばしい内装に歌舞伎役者のようなフロントマスクを好むよりも、「使いやすさ」と「壊れにくさ」を求めていると個人的に思うので、まさにそういった層に寄り添った「ホンダらしいBEV」が完成されたと感じました。

 市場に出回るすべてのBEVが先進性しか取り柄が無いようでは、万人のための多様な自動車社会は形成できないのです。

 中国では2種類のバッテリーにそれぞれ2グレードの形式で展開されています。

 メーカー希望価格は53.6kWhモデルが17万5000元(邦貨換算:約338万3000円)/18万9000元(約365万3000円)。

 68.8kWhモデルが20万7000元(約400万1000円)/21万8000元(約421万4000円)となります。

 実際の乗り出し価格は中国の各地方によって異なる補助金やディーラーごとの値引きもあるのでさらに安くなります。

 ホンダは2023年4月の上海モーターショーでe:NP1/e:NS1に続く「e:N」第2弾車種として「e:NP2 Prototype/e:NS2 Prototype」を発表しました。

 e:NP1/e:NS1のようにガソリン車の兄弟が存在するBEVではなく、完全新規設計のBEVとなる予定なので、2024年内の発売を目指す量産モデルがどのように中国で受け入れられるか注目です。

 これ以外にも、新たなプラットフォーム「e:N Architecture W」を採用する大型SUV「e:N SUV 序」や、クーペスタイルのBEVなども同様にお披露目しています。

 これらのモデルを中国市場へと投入することで、2035年までにEVの販売比率を100%にする目標の達成へと加速していく形になります。

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