この記事をまとめると
■プジョーのSUVのラインアップを紹介
MX-30・UX・アリア! 新規導入のEVが「SUVばかり」な「合理的」理由とは
■日本では2008の売れ行きが良い
■パワートレインの選択肢も豊富
プジョーのSUVラインナップの概要
長年、プジョーを支えた2、3、(4)、5シリーズ。現在もそのラインナップは健在ですが、本国や欧州、また日本市場で近年人気を集めるのがSUVシリーズです。世界的なSUVブームにやや乗り遅れた感があるプジョーですが、2009年にシリーズ初となる初代3008がデビュー。その後、208をベースとした2008、さらに初代はミニバンとしてデビューした5008が2代目となるタイミングで3列シートを備えたSUVシリーズとして生まれ変わりました。現在、日本での売れ筋は2008で、販売比率は208とほぼ同じだといいます。プジョーのSUVシリーズの特徴としてボディサイズがそこまで大きくないことで日本での使い勝手が良いことが挙げられます。どのモデルもダイナミックな内外装を備えるなど、今後、日本でますます人気になるのではないでしょうか。そんなプジョーのSUVを紹介していきましょう。
クラスを超えたコンパクトSUV プジョー2008
プジョーの基幹モデル「208」のSUV版ともいえる2008。2013年にデビューした初代は「208」をベースに開発されましたが、2代目となる現行モデルは「208」と比べて全長が210mm、ホイールベースが70mm長い専用のボディを備えています。
そのボディサイズですが全長4305mm、全幅1770mm、全高1550mm、ホイールベースは2610mmと国内でも使い勝手が良いコンパクトなサイズなのは嬉しいポイントです。
2008に用意されたパワーユニットは最高出力130psを発揮する1.2L直3ガソリンターボエンジンと、1.5L直4ディーゼルターボエンジン(最高出力130ps)、さらに後程詳しく説明しますがEV仕様もラインナップ。幅広いユーザーが選択できる多彩なユニットを用意しました。どのパワーユニットも魅力がありますが、エントリーモデルに搭載される1.2Lターボは組み合わされる8速ATとの相性が良くスムーズな走りを実現しています。ただ、トルクあふれる1.5Lディーゼルエンジン搭載車の走りも魅力的。どちらのパワーユニットを選択してもファンがイメージする“プジョーらしい”しなやかな走りやフットワーク、また気持ち良い乗り心地を楽しむことができます。
また走りだけでなくインパクトがある内外装デザインも魅力大。今風のプジョーだと判別できる力強いフロントマスクや、強く寝かされたCピラーなどエクステリアは躍動感あふれるものに仕立てられました。
インテリアは208と同様に3D I-Cockpitと呼ばれる個性的なインパネを採用。メーターなどの視認性を高める小径ステアリングも同じく装備するなど、とにかく個性が強い仕上がりです。また、208よりボディを延長したことで後席のスペースは、とくに足元スペースの余裕が生まれました。
ラゲッジルームも最大434Lと同じBセグメントに属するSUVと比べゆとりがあるスペースとなっています。
2008にラインアップされているのはEVのe-2008を含めて5グレード。
エントリーモデルとなる1.2Lガソリンターボエンジンを搭載する「2008 Allure」(324万9000円)、同じく1.2Lガソリンエンジン搭載の「2008 GT」(367万円)、1.5Lディーゼルエンジン搭載の「2008 GT BlueHDi」(390万円)、同じくディーゼルエンジン搭載の「2008 GT Pack BlueHDi」(421万5000円)、以上がエンジン搭載車のラインナップとなります。
グレードによる装備の差は少ないのですが、個人的に各「GT」に装備されるアルカンタラ&テップレザーのシートに魅力を感じます。シート表皮はもちろん2色のステッチが配されたシートはフランス車らしいセンスの良さとおしゃれさが目を惹くこと間違いなしの一押し装備です!
その他、EVの「e-2008 Allure」(467万9000円)、「e-2008 GT」(509万8000円)が用意されました。
e2008とは2008のEV仕様。2008のデビューとともにラインナップされました。
50kWの大容量バッテリーを搭載したことで一充電あたりの最大走行距離が380km(WLTCモード)、最高出力は136psを誇ります。
エンジン搭載の2008と同時に開発したことで室内スペースを犠牲にすることなく駆動用バッテリーを配置したことは特筆すべきポイント。ちなみにバッテリーは後席足元スペースに干渉しない、前後席下に搭載しました。
最高出力こそ驚く数値ではないでのすが、実際に走らせてみるとモーター独自のトルクやパワーでけして軽くはないボディを軽快に走らせます。とくに「スポーツモード」に切り替えると0発進からの加速は並のスポーツカーに引けを取らない圧倒的な瞬発力を誇ります。
パワートレインのラインナップも充実 プジョー3008
現在、多くのSUVモデルを揃えるプジョーが最初に送り出したのが初代3008。居住空間の広さを売りにした初代の後を受け国内で2017年から販売を開始したのが現行モデルとなる2代目3008です。
2代目3008は2017年にヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞するなど欧州市場での評価が高く、日本市場でもミニバンテイストが強かった初代と比べSUVぽくなったと好評を博しています。
ボディサイズは全長4450mm、全幅1840mm、全高1630mm、ホイールベースが2675mm。全幅が2m超えもある欧州SUVにしてはサイズがそこまで大きくないことで、多くのタワーパーキングに駐車できることでしょう。
パワーユニットは3種類が用意されています。最高出力180psを発揮する1.6L直4ターボエンジンをはじめ、最高出力177psを発揮する2L直4ディーゼルターボエンジン、さらに1.6L直4ターボエンジン+モーターのプラグインハイブリッド仕様も加わりました。
プラグインハイブリッド仕様のモーターはフロントのみならずリヤにも搭載され、利用シーンに応じてエンジンと電気モーターがうまく制御され適切なパワーを路面に伝えます。
また大容量のリチウムイオンを搭載したことで最大64km(WLTCモード)のEV走行が可能。充電状況にもよりますが、EV走行が主となるセッティングとなっています。
ただ、燃費気にせず走りたいというシーンにはリヤモーターのアシストを積極的に使用する「スポーツモード」も用意。このモードについてはエンジン走行にリヤモーターアシストとなり、エンジンのパワーとモーターの力強いトルクを存分に味わうことができます。
2021年にはフロントマスクを一新するマイナーチェンジを実施。今どきのプジョー顔にお色直ししたフロントはシンプルながらもより精悍に進化しました。デビュー時から好評の迫力あるフェンダーラインやキャビンとの繋がりもバッチリ。新時代のプジョーらしいスタイリングはとても魅力的です。
インテリアデザインはデビュー時から変更されていません。メーターは12インチのモニターに表示され、メーターなどの視認性を高めるため小径ステアリングが装着されています。
このモニターは4パターンの表示スタイルを選択可能。スピードメーターはもちろん、クルーズコントロールやドライブ情報などを表示することが可能です。インパネ中央部にはタッチ機能がついた8インチスクリーンを配置。一部グレード以外はワイヤレススマートフォンチャージャーを装備しました。センタークラスターにはピアノタッチ式スイッチが配置され各種機能の操作を行います。このスイッチの配置が非常に美しく、かつ機能的であることも魅力を感じます。また、オーバーヘッドコンソールが配置されルームランプやシートベルトの作動状態を表示。このデザインがまたカッコいいんです! 一時期、らしさがないとファンが嘆いていたプジョーですが、3008のインテリアはプジョーらしさが満載です。見た目のカッコ良さだけでなく、3008のユーティリティは非常に優れています。前席はもちろん、後席も足元や頭上空間など十分なゆとりを確保。シートの良さも相まって快適にロングドライブを楽しめます。一部グレードには運転席マッサージ機能を装備。おまけ的な装備かと思いきや、しっかりと身体をほぐしてくれる優れものであることにびっくり!
また、居住空間だけでなくラゲッジルームのゆとりも特徴です。後席を倒さない状態でも520Lの容量を実現。後席を格納した際は広大でフラットな空間が登場します。車中泊も可能なスペースといえば、その広さがイメージできるでしょう。
3列シートの大型SUV プジョー5008
プジョーのSUVラインナップ中、唯一3列シートを備えたSUVの5008。クルマの成り立ちを簡単に表すると「3008のボディを延長し3列シートに仕立てたモデル」となりますが、もちろん独自の魅力も数多く備えています。2021年にマイナーチェンジが施され顔つきが変わりましたがフロントマスクは3008とほぼ同じ。サイドビューを見ないままだと、その違いを判別するのは難しいかも……。
ボディサイズは全長4640mm、全幅1840mm、全高1650mm、ホイールベース2840mmと3008と比較して全長は190mm、ホイールベースは165mm伸ばされました。ボディが延長された分、サイドビューは3008とは別物。3008よりCピラーが立てられキャビンの存在が目立つデザインとなっています。
3008との違いはボディサイズのみならず、パワーユニットのラインナップも異なっています。
5008に用意されるのは、1.6L直4ターボエンジン(ガソリン)と2L直4ディーゼルターボエンジンの2種類。3008に用意されるプラグインハイブリッドは用意されていませんが、これは3列シートにしたことで走行用バッテリーを搭載できなくなったことが要因のようです。
2つのパワーユニットのうち、ユーザーから支持を集めているのがディーゼルエンジン。最高出力177psを発揮するこのエンジンは高回転時こそディーゼルエンジンらしいノイズを発しますが、全体的には“いまどき”のディーゼルらしくスムーズで静か。大柄なボディを最大400Nmの大トルクで引っ張ります。
意外なことに、このエンジン搭載車は上りのワインディングロードを走らせたくなる楽しさを備えていました。エンジントルクだけでなく、軽やかに車両を操ることができるハンドリングも備えているからです。3008もそうですが、最新のプジョーSUVはシャシーが優れていることも特徴。走行中の安定感やスムーズなハンドリングを楽しめることは、ぜひお伝えしたいポイントです。
先ほどからお伝えしているように、5008の売りは3列シートを備えていること。しかし、その3列目のシートは大人がロングドライブを楽しめるほどのスペースを有してはいません。ただ、3列目シートを緊急時とわりきり「5人乗り+広大なラゲッジスペース」のSUVとして捉えると、非常に優れたユーティリティを備えた1台といえます。3列目シートの格納はベルトを引っ張るだけの簡単な操作。また、取り外すことが可能となっています。また3008からボディが延長されたことで2列目シートのスライド量も拡大。3008とは違い2列目は独立した3座シートとなっています。また、これら3つのシートはそれぞれ前後スライドとリクライニングも可能としました。
ラゲッジルームですが、3列目シートを使用した場合はけして広くはありませんが、シートを収納することで広大なスペースが現れます。また3列目シート格納時に2列目シートとの隙間を塞ぐことができる専用カバーが装備されているもの特徴的。3列目に加え2列目シートを格納すると奥行きは約1.9mのスペースが登場。フルフラットにはなりませんが、マットなどを用いることで大人が楽々と車中泊を楽しめます。
プジョーのSUVシリーズを紹介していきましたが、各車とも大きな魅力を備えていることがわかったのではないでしょうか。従来からのプジョーファンはもちろん、スタイリッシュな内外装デザインや優れたユーティリティ性能を有していながら取り回しが良いサイズであることなど、今後、ますます人気が高まる予感がします。ラグジュアリー感はメルセデスベンツやBMWがラインナップするSUVには及びませんが、フランス車らしいセンスの良さ満載のプジョーSUVシリーズはいま一押しのモデルたちだと断言します。
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