ゴールデンウィーク恒例だが、2年ぶりの開催となった富士のGT500km。GT500と同様に最後の最後にどんでん返しも待っていたが、GT500と同等、いやそれ以上にタフな戦いが演じられたGT300では60号車SYNTIUM LMcorsa GR Supra GT(吉本大樹/河野駿佑)が優勝。今季から採用したGRスープラ+ダンロップタイヤのパッケージではもちろん、エースを務める吉本のパートナーとして昨年から起用されている河野にとっても嬉しい初優勝となった。クーリングラップを終えてパルクフェルメに戻ってきた河野が、目を潤ませながら、半分涙声でヒーローインタビューに応えるシーンはとても印象的だったが、暫定表彰を終え会見場に現れた時には、普段の“育ちの好い”若者に戻っていた。
会見では、まずは先輩の吉本が「今回は、正直言って自身が全くない状況でサーキット入りしました」と話し始めた。そして「でも今回は駿祐が『Q1行きます! スタートやります!』と凄いヤル気を見せていたので、もう彼に任せることにしました」と続けた。これに対して当の河野は「それはちょっと違っていて、吉本さんから『Q1行くでしょ、スタート行くよね』と言われてハイと答えただけです」と苦笑い。そして「でも任せてもらってプレッシャーもありましたが、ちゃんと仕事ができてよかった」と笑顔で続けた。
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クルマの状況について吉本は「走り出しからクルマの状況は悪くなかったんですが、少しずつアジャストして行って、Q1では(河野選手が)素晴らしいタイムをマークしてくれました」と予選を振り返ると「僕たちは今年からダンロップ(陣営)に戻ることになったのですが、これが2戦目でまだまだいろんなデータを確認している最中です。でも今回はダンロップタイヤが各スティントで十分に機能してくれました」とタイヤのパフォーマンスを讃え、続いては「スタート前に駿祐が、ヘアピンまでに55号車(#55 ARTA NSX GT3)を抜いてきます、と宣言して、それを言葉通り実践してきた。あれも大きかったですね。あれがなければ52号車(#52 埼玉トヨペットGB GR Supra GT)についていくことはできなかった」とスタートを担当した若いパートナーを讃えている。
これについて当の河野は「55号車はストレートが速いので、ストレートで離される前に抜きたいと思っていて、幸いにダンロップタイヤの方が温まりが速いので、もう1周目のヘアピンで抜くしかない、と思っていました」とオープニングラップを振り返ると「そこからスバル(#61 SUBARU BRZ R&D SPORT)について行って、確か同時のピットインになりましたが、先にピットアウトできました。チームが完璧な仕事をしてくれました」とスタッフのサポートに感謝。「チームとしての実力も大きくアップしています」と全幅の信頼を語った。
ただし浮かれてばかりもいられない。「今回は52号車がトラブルで後退しましたが、それがなければ追いつけなかった。もっと速く、もっと強く。ガチンコで52号車と戦えるよう、クルマを速くしていきます」と吉本。
次戦の鈴鹿について問われると、まずは吉本が「僕たちのチームは大阪トヨペットが母体で、言ってみれば鈴鹿はホームコース。まだ(GRスープラでは)走ったことはないのですが、クルマ的にも合っていると思うので、実は鈴鹿で優勝したいと照準を合わせていたんです」と告白。「今回の優勝でサクセスウェイトが増えて厳しくなるけど粘り強いレースをしたい」と続けた。それを受けて河野は「開幕戦のポイントと合わせて(サクセスウェイトは)70kgくらいになると思います。でも鈴鹿と相性が悪いとは思ってないので、シングル(入賞)を狙いたい……いや好い結果を残したいです」と表情を引き締めてコメントを締めくくった。
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