2020年12月6日(日本時間7日)に行われたF1第16戦サヒールGPは、レーシングポイント・メルセデスのセルジオ・ペレスが優勝、2位にルノーのエステバン・オコン、3位にレーシングポイントのランス・ストロールが入る大波乱となったが、どうしてこんな結果になったのだろう。表彰台の常連であるメルセデスAMG勢、マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)はどうしたのか。ホンダ勢のコメントをまじえながら、検証してみよう。
ラップタイム1分を切る展開で一瞬の判断ミスが大きく影響
決勝スタートの混乱で一時最後尾まで後退したペレス(予選5位)がそこから実質1ストップで上位に進出してきたのは見事だったが、優勝を実現できた裏には、メルセデス勢とフェルスタッペンの失敗があったのは間違いない。
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メルセデス勢の誤算は62周目のセーフティカー導入時のタイヤ交換にあった。そこまでジョージ・ラッセル(予選2位)とバルテリ・ボッタス(予選1位)が盤石の1-2体制を築きあげ、残り25周、もう楽勝ムードが漂っていた。
ところが、チームはセーフティカー導入時、後方と大きなギャップがあったため、安全のため(念のため)タイヤ交換をすることにした。ここでチームは、先にピットインしたラッセルのマシンにボッタスのタイヤを装着するという、とんでもないミスを犯してしまう。続いてピットに入ったボッタスのタイヤ交換を始めたところでミスに気づき、ボッタスは再びそれまで使用していたタイヤを装着することになってしまう。
チームは慌ててラッセルを再びピットに入れてタイヤ交換、そのせいでラッセルは5番手まで落ちたが、それでもそこから追い上げて再びトップを奪い返そうかという時に、今度はリアタイヤがパンク。これで再び15番手まで後退しては、ラッセルにもう挽回する周回数は残っていなかった。
ほかのドライバーのタイヤを装着するのは重大な違反だが、今回はその状況を考慮し、チームに罰金が科せられるにとどまった。
マックス・フェルスタッペン(予選3位)はさらに不運だった。3番グリッドからスタートしたフェルスタッペンは、ミディアムタイヤを履いたメルセデス勢に対して、発進加速では有利なソフトタイヤを履いていたので、そのスタートに集中していた。
フェルスタッペンは狙い通りに好スタートを決めてメルセデス勢を抜きにかかったが、ターン1で2台に挟まれて行き場をなくし、ペレスとシャルル・ルクレール(フェラーリ)との接触を避けるために早めにブレーキング。しかし、イン側にいたルクレールはペースを緩めずにペレスにヒットし、それを回避するためにフェルスタッペンはコースアウト、そのままウォールにヒットしてリタイアとなってしまった。
フェルスタッペンのチームメイトのアレクサンダー・アルボン、アルファタウリ・ホンダの2台も運に振り回される結果となった。
ミディアムタイヤを選択したアレクサンダー・アルボン(予選12位)は12番手をキープしてミディアムタイヤでロングスティントを走行した後、ハードタイヤに交換して1ストップ作戦に挑むが、ジャック・エイトケン(ウイリアムズ)のクラッシュによって再びセーフティカーが出動したタイミングで、チームはソフトタイヤに交換する2ストップへの作戦変更を決断。ただ、この戦略はうまく機能せず、DRSトレインの中から抜け出せなまま6番手でチェッカーフラッグを受けた。
アルファタウリ・ホンダのダニール・クビアト(予選6位)とピエール・ガスリー(予選9位)はともにソフトタイヤでスタート。オープニングラップの混乱に巻き込まれず、それぞれ5番手と7番手に順位を上げるが、セーフティカーが解除されるとDRSトレイン状態となり、オーバーテイクが難しい状況になる。クビアトは27周目にピットインしてミディアムタイヤに履き替えると、ダニエル・リカルド(ルノー)に対するアンダーカットを成功させるが、その1周後にピットインしたガスリーは、逆に差を広げられる形となる。
クビアトは53周目に2度目のピットストップを行いハードタイヤに交換するが、この直後にバーチャルセーフティカーが導入されたことでポジション回復ができず、7位でフィニッシュとなった。51周目にピットインしたガスリーも同様で、バーチャルセーフティカーの恩恵を受けたライバルを抜けず、11位まで順位を落としてレースを終えた。
ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターは、レースを終えて「波乱含みとなったサヒールGP決勝は、レッドブルのフェルスタッペン選手がオープニングラップでクラッシュに巻き込まれてリタイアとなるなど、全体として悔しいレースになりました。アルボン選手は12番グリッドから6位まで順位を上げましたが、本人も満足いくレースではなかったと思います。また、アルファタウリのクビアト選手は、金曜から速さを見せていただけにセーフティカーの影響などもあっての7位フィニッシュは、残念な結果だと感じています。ガスリー選手にとっても難しいレースとなり、なかなかペースが上がらず入賞を逃して11位でレースを終えました。来週はいよいよシーズン最終戦です。気持ちを切り替え、いい結果とともにシーズンを締めくくれるよう、最後まで全力で臨みます」とコメント。ドライバーは次のように語っている。
マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
「いいスタートを切れたのですが、周りを他のマシンに囲まれてしまいました。トラブルを避けようとしましたが、周りのドライバーがとてもアグレッシブで、まるで最終ラップかのようにリスクを冒して攻めていました。特に、シャルル(ルクレール)は4コーナーでイン側に迫って来て、路面が汚れているのにブレーキングをかなり遅らせました。彼が他のマシンを抜きたかったのは分かりますが、楽観的過ぎたと思います。シャルルのことは尊敬していますし、彼は素晴らしいドライバーですが、少しやり過ぎたと思います。チェコ(セルジオ・ペレス)は、イン側で何が起きているのか分からなかったはずで、シャルルが彼にヒットして後ろ向きにスピンしてしまいました。僕はマシンにダメージを受けないよう、アウト側に回避しようとしましたが、グラベルまで出てしまい、バリアにヒットしてしまいました。今回は戦えるマシンでしたし、好結果を出すチャンスだったので、こんなに早くリタイアするのはフラストレーションが溜まります」
アレクサンダー・アルボン(レッドブル)
「波乱の展開になりました。何が起こっていたのかよく分かりませんが、12番グリッドから6位まで上がれたことは悪くないと思っています。ただ、もう少し上に行きたかったという気持ちもあります。僕のマシンはストレートでのスピードが足りず、DRSトレインにいるときには他のマシンに対してポジションを守るのが精いっぱいでした。ストレートでのオーバーテイクが難しいので、思い切って1コーナーに飛び込んでいくしか手がありませんでした。ダウンフォースの設定が、オーバーテイクのできない第2セクターで速いものになっており、そのようなセッティングでこのレースを戦うのは難しかったです。ここからは気持ちを切り替えて、数日後にやってくるアブダビGPにフォーカスしていきます」
ピエール・ガスリー(アルファタウリ)
「とてもタフなレースでした。ペースが足りず、自分が考えていたようなレースができませんでした。リアに苦しみ、かなりのアンダーステアが出ていました。さらに、バーチャルセーフティカーのタイミングも、僕らにとっては不運でした。大波乱のレースになり、表彰台の顔ぶれを見ると、僕らにも大きなチャンスがあったと思いますし、そこに加われなかったことが残念です。データをよく確認し、なぜ金曜に比べてレースでこんなに苦しくなったのかを理解する必要があります。そして、うまくいった部分も振り返り、アブダビで好結果を出してシーズンを締めくくれるように挑んでいきます」
ダニール・クビアト(アルファタウリ)
「今週は非常にいい流れで来ていたので、もっといい結果で終わりたかったと思っています。ただ、セーフティカーが出たときは、これはあんまりいいタイミングじゃないなと思ったので、その上での7位は悪くない順位です。チームの戦略もうまくいきましたし、予選も完璧でした。レースもほとんど完璧に走れたと思うので、自分のパフォーマンスには満足しています。よく戦えた週末ですし、今年の中で一番いいレースウイークでした。ペースはよかったですし、中団のトップまではあと少しのポジションで、僕とカルロス(サインツ)、リカルドが0.2秒差ほどで並んでいたときもあり、とても楽しかったです。今回のような形でポイントをとれたことをうれしく思っています」
タイヤを供給するピレリは「レース開始時の路面温度は23度と比較的低く、突風が周囲の砂漠から路面に砂を吹き付け、グリップに影響を与えていました。涼しいコンディションはタイヤに優しく、スタート後のセーフティカー導入により、ピットストップウィンドウが長くなり、ソフトタイヤでスタートしたドライバーにも可能性が出てきました。 1周目にクラッシュに巻き込まれたレーシングポイントのセルジオ・ペレスは、1周目直後のセーフティカー中にピットインした唯一のドライバーであり、チームメイトのストロールはソフトタイヤで42周も走っています。レースでは、1ストップ、2ストップ、3ストップのさまざまな戦略が見られました。ルノーのエステバン・オコンとレーシングポイントのストロールのふたりは1ストップ、優勝したペレスも実質1ストップでした。ハードタイヤが1ストッパーを可能にするレースの重要な要素となりました」と分析している。
次戦第17戦アブダビGPは12月11日から13日、アブダビ・ヤスマリーナ・サーキットで行われる。このアブダビGPが2020年F1グランプリの最終戦となる。
2020年F1第16戦サヒールGP 決勝 結果
優勝 11 S.ペレス (レーシングポイント・メルセデス)87周
2位 31 E.オコン(ルノー) +10.518s
3位 18 L.ストロール (レーシングポイント・メルセデス) +11.869s
4位 55 C.サインツ(マクラーレン・ルノー)+12.580s
5位 3 D.リカルド(ルノー)+13.330s
6位23 A.アルボン (レッドブル・ホンダ) +13.842s
7位 26 D.クビアト(アルファタウリ・ホンダ) +14.534s
8位 77 V.ボッタス(メルセデスAMG)+15.389
9位 63 G.ラッセル(メルセデスAMG)+18.556s
10位 4 L.ノリス(マクラーレン・ルノー)+19.541s
11位 10 P.ガスリー (アルファタウリ・ホンダ) +20.527s
リタイア 33 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
2020年F1ドライバーズランキング(第16戦終了時)
1位 L.ハミルトン(メルセデスAMG)332
2位 V.ボッタス(メルセデスAMG)205
3位 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)189
4位 S.ペレス (レーシングポイント・メルセデス)125
5位 D.リカルド(ルノー)112
6位 C.ルクレール(フェラーリ)98
7位 C.サインツ(マクラーレン・ルノー)97
8位 A.アルボン (レッドブル・ホンダ)93
9位 L.ノリス(マクラーレン・ルノー)87
10位 L.ストロール (レーシングポイント・メルセデス)74
11位 P.ガスリー (アルファタウリ・ホンダ)71
2020年F1コンストラクターズランキング(第16戦終了時)
1位 メルセデスAMG 540
2位 レッドブル・ホンダ 282
3位 レーシングポイント・メルセデス194
4位 マクラーレン・ルノー 184
5位 ルノー 172
6位 フェラーリ 131
7位 アルファタウリ・ホンダ 103
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