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【厳選】コロナ禍で注目集まるボート業界 ブガッティやレクサスが手掛けたラグジュアリー・クルーザーとは

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【厳選】コロナ禍で注目集まるボート業界 ブガッティやレクサスが手掛けたラグジュアリー・クルーザーとは

■高級カーブランドが、どうしてボートを手掛けるのか?

 スーパーカーおよび超高級プレステージカーと、高級モーターボート&ヨットの親和性の高さは、ここで改めて述べるまでもあるまい。洋の東西を問わず高級艇の並ぶマリーナの駐車場を見まわせば、スーパーカーや超高級サルーン、近年では超高級SUVなどがズラリと並ぶさまに目を見張ることになるだろう。

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 とくに2010年代を迎えると、スーパーカーやプレミアムカーをつくる自動車メーカーと、高級ボート/ヨットをつくる造船メーカーのコラボレーション企画として、驚くほどにゴージャスなモーターボート/モーターヨットが続々と誕生しているのだ。

 スーパーカーやプレミアムカーが自らのブランド名を掲げ、高級モーターボート/モーターヨットを製作するという事例は、20世紀から21世紀に時代が進んだのちにも散発していたといわれるが、そのムーブメントがはっきりとしたものとなってきたのは、2010年代も中盤を迎えた時期と思われる。その転機となったのは、2016年9月の「モナコ・ヨットショー」に参考出品された、2隻の超高級ボートだろう。

●Sクラスクーペを想起させるデザイン

 まずは、メルセデス・ベンツを擁するダイムラーから発表されたのが「アロー460グラントゥリズモ(Arrow460 Granturismo)」というモーターヨットである。

 ダイムラー・グループに属する「シルヴァーアロー・マリーン(Silver Arrows Marine)」と「メルセデス・ベンツ・スタイル」のコラボによるもので、全長は約14.2m。なだらかなラインを描くキャビンのデザインは、明らかにSクラス・クーペを想起させるものとなっていた。

 パワーユニットは日本の「ヤンマー6LY440」型4.4リッター直列6気筒440psのディーゼルエンジンを2基搭載する。

●アストンマーティンのスポーティな世界観

 一方、英国のアストンマーティンも、オランダのヨットブランド「クインテッセンス・ヨット」との共同開発による「AM37」を、同じモナコのショーにて初お披露目した。

 AM37はその名のとおり全長37フィート(約11.3m)、リアシートに最大8人が乗船可能な「デイクルーザー」タイプで、速度別にふたつのバージョンが設定されるという。

 スタンダードのAM37は370psのディーゼルエンジン、ないしは430psのガソリンエンジンを搭載し、設計上の最高速度はともに45ノット(約83km/h)。一方、高性能バージョンの「AM37S」は520psのガソリンエンジンを搭載し、最高速度は50ノット(約93km/h)に達すると謳われた。

 いずれのAM37も、内外装はカーボンファイバーをふんだんに使用し、アストンマーティンのイメージを完全に投影したものとなっている。

■陸の王者たる「ブガッティ」は、海でも王者になりうるのか?

 高級ボート市場への参入を果たした高級車ブランドといえば、日本のレクサスも忘れてはなるまい。

 まずは2017年、マイアミで開催されたブランドイベントにて「レクサス・スポーツヨット・コンセプト」と名づけた、オープンクルーザー型のコンセプトスタディが発表された。

 これはトヨタのマリン事業参入20周年を記念したものとのことで、レクサスのデザインフィロソフィにしたがって設計された全長12.7mの船体に、現在ではレクサス「LC500」や「IS500F」に搭載されている5リッターV型8気筒ガソリンエンジンを2基掛けすると謳われていた。

 さらに2019年になると、20m級/乗員14名というミドルクラスの本格派モーターヨット「レクサスLY650」を正式にリリースした。

 LY650のインテリアは、日本の「おもてなし」思想を体現したもの。イタリアのヨットデザイン会社「ヌヴォラーリ・レオナルド(Nuvolari Lenard)」とのコラボにより、先進的なデザインに加えて細部まで入念に仕立てた快適な居住空間を実現したという。

●ブガッティの世界観で生まれた超豪華ヨット

 しかし、これら自動車ブランド主導によるボート&ヨットのなかでも圧巻というべきは、2017年春にブガッティから発表された「ニネット66(Niniette 66)」であろう。

 いわゆる「メガヨット」の分野でその名を知られる「パーマージョンソン(Palmer Johnson)」社のコラボレーションによって生まれたモーターヨットで、ニネットの名はブガッティの開祖エットレの末娘、リディアのニックネームから採られたという。

 そんな可愛らしいネーミングにもかかわらず、船体の全長は66フィート。つまり約20メートルという堂々たるサイズながら、乗船定員は操船クルーが1名にゲストが2名。つまり、わずか3名でこの巨大なヨットを独占する贅沢なつくりとなっている。

 エンジンは、ブガッティと同じくVWグループに属するドイツの船舶・大型商用車用エンジンメーカー「MAN」社製の16.2リッターV型8気筒ディーゼル。最高速度44ノット(約81km/h)の1000ps版と、最高速度48ノット(約89km/h)の1200ps版から選択可能とされる。

 そのスタイリングは、時を同じくしてデビューしたブガッティのハイパーカー「シロン」と共通のイメージ。インテリアもシロンをはじめとする現代ブガッティのイメージで設えられ、シロンの購入者のみにオーダーする権利を授与するシステムであった。

* * *

 ここで紹介したボート&ヨットたちは、いずれも内燃機関を搭載するものだったが、自動車の電動化が進む現代にあって、今後SDGsを尊重するエコロジーオリエンテッドな自動車メーカーからは、電動の補助モーターを搭載するセーリングヨットなども誕生してくるかもしれない。

 今後もスーパーカー/プレミアムカー・メーカーが生み出すであろうボートやヨットには、要注目なのである。

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