アメリカトヨタはこのほど、主に北米向けのフルサイズピックアップトラックとなるタンドラをフルモデルチェンジし、12月からデリバリーを開始することを発表した。ここでは14年ぶりにフルモデルチェンジされたタンドラと、魅力的なものが多い海外専売となる日本メーカーのピックアップトラックを紹介していく。
文/永田恵一、写真/トヨタ、日産、ホンダ、三菱、マツダ、いすゞ
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■タンドラはランクルのピックアップ版モデル!
タンドラは2000年登場の初代モデル、2007年登場の2代目モデルともに100系と200系のランドクルーザーのピックアップトラック版となる存在で、この点はフルモデルチェンジされた今回の3代目モデルも同様である。そのため新型タンドラのプラットフォームは、ラダーフレーム構造となる登場したばかりのランドクルーザー300系と同じTNGA-Fを使う。
3代目となる新型タンドラ。フレームはランクル300と共通ながら、よりアメリカンな迫力のあるエクステリアデザインとなっている
まず、新型タンドラを内外装から見ていくと、エクステリアはさらに大きさを増したグリルなど、より押し出しの強いものとなった。
インテリアは12.3インチの液晶メーターや14インチのディスプレイが目を引き、その雰囲気はピックアップトラックの紹介時には毎回書いているように乗用車的で、タンドラはフルサイズのピックアップトラックだけに高級車のようである。また、タンドラは大型サンルーフやリアウィンドウの電動開閉機能を持つ点も大きな特徴だ。
機能面に関しては、TNGA-Fプラットフォームはランドクルーザー300系同様に大幅にボディ剛性を向上しながら、薄くて硬い高張力鋼板やアルミの多用により、テールゲートが20%軽量化されている点を一例に、劇的に軽量化されている。
■注目のパワートレーンにはハイブリッドモデルも追加!!
パワートレーンは各々10速ATと組み合わされる、ランドクルーザー300系と同じ3.5LV6ツインターボ(394ps&66.3kgm)と、i-FORCE MAXと呼ばれる3.5LV6ツインターボ+1モーターとなるハイブリッド(フルパワーとなるシステム出力は443ps&80.6kgm)のふたつで、いかにもフルサイズピックアップトラックらしいV8エンジンは廃止された。
3.5LV6ツインターボはランドクルーザー300系の415psから394psとなっていることから、ピックアップトラックの使われ方を想定した中低速トルク重視のセッティングとなっているようだ。
ランクル300系と同様、V6の3.5Lツインターボエンジンを搭載。ランクルと異なるのは1モーターハイブリッド仕様が用意され、443ps&80.6kgmの圧倒的パワーを有する
ハイブリッドは10速ATのなかにモーターを組み込んだ日産のFR系などと同様のもののようで、加速時のアシストや回生制動に加え、モーターだけでの発進も可能となっており、駆動用バッテリーはリアシート下に配置される。
ピックアップトラックのハイブリッドはあまりないだけに、動力性能と燃費の向上、価格といった商品としてのバランスにも注目したいところだ。
サスペンションはピックアップトラックとしてはオーソドックスなものながら、リアのスプリングがリーフからコイルに代わり、グレードによっては車高調整機能を持つリアのエアサスや、AVS(減衰力切替え式ダンパー)が装備される。
安全装備も停止まで対応する先行車追従型のアダプティブクルーズコントロール、車線中央をキープしようとするLTA(レーン・トレーシング・アシスト)、夜間の歩行者や昼間の自転車、左折の際の対向車との衝突(右側通行のアメリカのため)にも対応する自動ブレーキなどから構成されるトヨタセーフティセンス2.5が全グレードに標準装備されるなど、乗用車と遜色ない。
■グレードも多彩なうえ、スポーティなTRDのパッケージオプションも用意!
グレード構成は標準系が下からSR、SR5、リミテッド、プラチナ、1794の5つ、ボディタイプは先代同様4ドアのクルーマックスと、荷台が長くなる代わりにドアがRX-8のような観音開きとなりリアシートも小さいダブルキャブが設定され、ハイブリッドはリミテッド、プラチナ、1794の上位3グレードで選択できる。
また、SR5、リミテッド、プラチナにはTRDオフロードパッケージ、SR5にはTRDスポーツパッケージというパッケージオプションも用意される。その内容はTRDオフロードパッケージがTRDのアルミホイール、ダンパーがビルシュタインとなるTRDオフロードサスペンション、TRDのグリル、スキッドプレート、マッドガード、4WDでは電子制御リアデフロックなども装備される。
TRDスポーツパッケージは20インチとなるTRDのホイール、TRDのグリル、車高が下げられたTRDのスポーツサスペンションと、オンロードでのスポーツ性を高めた仕様となる。
タンドラのNASCAR仕様。巨大なボディは極限まで低められているが、荷台は存在し、どこから見てもタンドラに見えるから不思議だ
さらにオフロードでの性能を高めたグレードとなるTRDプロも設定され、TRDプロには約3cm車高を高め、別タンクの追加や径の大型化が施されたFOX製のダンパーが付くサスペンション、TRDのフロントスタビライザー、アンダーガード、ファルケンのオールテレーンタイヤなどが装備される。
市販車とNASCAR仕様の比較。圧倒的に車高が異なる。ただし、全体的なフォルムは同じクルマとわかるところがすごい。タンドラさえレースに参戦可能なのはいかにもアメリカらしい
なお、新型タンドラでもアメリカで人気の市販車をベースとしたレースとなるNASCARへの参戦は継続され、参戦車両のタンドラも来シーズンから新型モデルにスイッチされる。
■海外専売日本製ピックアップトラックはこれだ!
●日産フロンティア&ナバラ、タイタン
北米で販売されるフロンティア、東南アジアなどで販売されるナバラはトヨタではハイラックスに相当するミドルクラス、タイタンはタンドラに相当するフルサイズのピックアップトラックである。それぞれに前述したタンドラのTRDプロのような存在となるプロX系が設定され、プロX系はワイルドなエクステリアなどがピックアップトラックらしく魅力的だ。
日産のフルサイズピックアップのタイタン。タンドラ同様に北米で人気モデルだ。2021年モデルより新世代フェイス「インターロックグリル」を採用
こちらはミドルサイズとなる日産フロンティア。角ばったボディはダットサン以来の伝統を引き継いだものと言える
●ホンダリッジライン
北米向けのミドルクラスのピックアップトラックとなるリッジラインは、ホンダが商用車を持たないこともありモノコックボディにFFベースのエンジン横置きのパワートレーンという点など、乗用車に近いキャラクターを持つ。
ホンダも北米ではフルサイズピックアップをラインナップ。それがこの「リッジライン」だ。以前のSUVライクなエクステリアからより乗用車っぽく進化している
乗用車に近いキャラクターだけに荷台下の大きな収納スペースや荷台に電源コンセントを持つ点、荷台にホイールハウスの張り出しがないことなども特徴となっている。
●三菱トライトン
日本でも販売されたことがあるトライトンは、東南アジア、ヨーロッパ、オセアニアで販売されるミドルクラスのピックアップトラックである。トライトンは全体的にオーソドックスで堅実な仕上がりで、三菱自動車にとっては重要なモデルの1台となっている。
三菱トライトン。ダイナミックシールドの顔つきで、ひと目で三菱のクルマであることが分かる。タイで生産、欧州・豪州などに輸出され人気を博している
●いすゞD-MAX&マツダBT-50
この2台は主に東南アジアとオセアニア向けとなるミドルクラスのピックアップトラックで、マツダは自社でのピックアップトラックの開発から手を引いため、現在BT-50はいすゞからのOEMとなっている。
いすゞの世界戦略車「D-MAX」生産国であるタイではトヨタハイラックスと常にトップセールスを争う人気車だ。豪州や欧州でも好調なセールスを記録し、なんと専門のチューナーまで存在する
BT-50はOEMながらみごとにマツダ顔にフェイスリフトされ、各々3Lディーゼルターボに加え、ピックアップトラックとしては小排気量となる1.9Lディーゼルターボを設定する点も大きな特徴だ。
マツダ「BT-50」どこから見てもマツダのクルマだが、実は上記の「D-MAX」の兄弟車(OEM車)であるから驚きだ。ワイルドなD-MAXとは違ったエレガントさを感じる
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みんなのコメント
ベストカー、ほんとバカ。
ここに紹介されている5車、全てが北米、東南アジア、中国、南米での現地生産オンリー。
ニッポン製なんてひとつもない。