人気のCセグハッチバックトヨタ プリウスとスバル インプレッサ、2台の使い勝手をチェック!! 燃費性能ではプリウスがダブルスコアを叩き出すものの、コスパではインプレッサが最強だった!
※本稿は2023年7月のものです
文/鈴木直也、渡辺陽一郎、写真/SUBARU、TOYOTA、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2023年8月26日号
プリウスはさすがの燃費性能!! インプレッサはコスパの鬼! 人気Cセグ使い勝手比較
■人気Cセグハッチで日常使いを考える
インプレッサは「新型の派手さ」はないものの、地道な進化を感じる走り味
日常の使い勝手で何が最も重要かといえば、そりゃコストパフォーマンス。道具としての使い勝手を考えるなら、趣味と実益をきっちり分けて考える必要がある。
そういう視点でプリウスとインプレッサを比較すると、まずイニシャル価格ではインプレッサが優位だ。
エントリー価格約230万円のSTグレードFF仕様は、装備はざっくり削られているもののアイサイトなど重要な安全装備は標準。価格設定がバグってるんじゃないかと思えるくらいコスパがいい。
さすがにSTグレードでは殺風景すぎるという人でも、ST-G(AWDで約300万円)なら文句なし。このへんが実質的な主力モデルということになる。
インプレッサに乗って好感が持てるのは、走りの質感が廉価グレードでも上級グレードでもほぼ変わらないこと。走りの基本性能を重視する人にとって、そこは大いに魅力といっていい。
一方プリウスでコスパ勝負をするなら、KINTO専用のUグレードが最強だ。プリウスUにはいちおう299万円という価格がついているが、たとえば定額5年契約で月4万6530円(支払い合計約279万円)というプランで利用する。
リースだから最後にクルマを返却することになるが、道具ならクルマに思い入れなく使い倒すのもアリ。この価格に保険や税金などすべての諸経費が含まれるから、考えようによってはお得といえる。
■インプレッサは総合力は高いのだが……
2Lエンジンを採用したプリウスのTHSは動力性能の高さを感じる。インプレッサの水平対向4気筒はCVTのレスポンスがイマイチだ
さて、具体的この両車はどういう使い方が得意なのかというと、人の移動が中心で長距離走行が多いならプリウス、荷物も運ぶ多目的用途がメインで走行距離短めならインプレッサがオススメだ。
ひとめ見ればわかるとおり、新型プリウスは「はじめにスポーティなデザインありき」というクルマ。目指したのはスタイリッシュな4ドアクーペ。だから、多目的用途ならインプレッサ一択。プリウスは最初からそういう使い方は狙っていない。
そのかわり、本誌のテストで明らかになったとおり、プリウスUは燃費性能が抜群。対インプレッサならダブルスコアで圧勝する。
諸経費は全部リース料に含まれているから、日常出費するランニングコストは実質ガソリン代のみというのがKINTO。燃費のよさがランニングコストに効いてくるというわけだ。
とはいえ、今回テストに持っていった2.0Zだと燃費はやや落ちることもあり、プリウスの圧倒的優位性は若干低下するものの、やはりインプレッサの泣き所は燃費の悪さだ。
■トヨタ プリウス&スバル インプレッサ各テスト結果
●プリウス燃費テスト結果
・WLTCモード燃費:28.6km/L
・燃費・編集部→三鷹:22.2km/L(23.5km)
・燃費・区間1(都市部一般道):17.3km/L(25.7km)
・燃費・区間2(高速道路):21.4km/L(29.3km)
・燃費・区間3(郊外一般道):18.1km/L(26.8km)
・燃費・WLTC準拠総合:18.7km(81.8km)
●インプレッサ燃費テスト
・WLTCモード燃費:16.0km/L
・燃費・編集部→三鷹:10.0km/L(24.0km)
・燃費・区間1(都市部一般道):8.1km/L(26.3km)
・燃費・区間2(高速道路):16.6km/L(30.0km)
・燃費・区間3(郊外一般道):10.9km/L(27.4km)
・燃費・WLTC準拠総合:11.1km/L(83.7km)
●小回り性能テスト:プリウス=11.65m、インプレッサ=11.90m
パイロンを設置して小回り性能をテスト。写真のインプレッサは11.90m、プリウスは11.65mだった
横幅が広い水平対向エンジンを縦置きするインプレッサは、前輪の切れ角が小さくなってしまい回転直径が大きくなる。
●駐車のしやすさテスト:プリウス=75点、インプレッサ=95点
インプレッサは2世代前に比べると後方視界を悪化させたが、それでもプリウスをはじめとするライバル車よりは優れている。
●0→50km/h加速タイム:プリウス=3秒63、インプレッサ=5秒11
0→50km/h加速タイム。4名乗車時のタイムと80→100km/h加速タイムはご覧のとおり
インプレッサはCVTが発進時にもワンテンポ遅れてトルクを伝達する印象で、それが発進加速タイムを落とした要因だ。
●前方視界テスト:プリウス=78点、インプレッサ=98点
おなじみ「飛び出し坊や」で前方視界をチェック。ちなみにこの飛び出し注意の看板、「坊や」だけではないのだ。詳しくは画像ギャラリーで
プリウスはドライバーから見て、正面1m先に置いた「飛び出し坊や」の右手のコブシまで見えた。インプレッサはさらに低い右手の脇まで見えて視界良好。
左前方の視界は坊やをボディの左側方から50cmに置いて確認。プリウスは帽子の「飛び出し注意」の文字が見えたが、インプレッサはさらに低い右目の眉毛まで視認可。
プリウスは、ドライバーの視線に対してボンネットやサイドウィンドウの下端が高く、坊やが隠れやすい。インプレッサは、視線に対してボンネットやサイドウィンドウの下端が低く、可視範囲が広がって死角は小さい。
坊やが左側のAピラーに隠れる位置は、プリウスではボディの左側方から135cmだが、インプレッサは185cmまで離れる。ボディから遠い場所で隠れると衝突の危険も下がる。Aピラーが視界を邪魔しない度数は、プリウスは78点で、インプレッサは98点だ。
●室内空間ドラポジチェック(プリウス)
外観デザインを優先した結果なのか、プリウスの室内空間の使い勝手はいまひとつ
高い位置に装着されたメーターの視認性を確保するため、ハンドルの角度が抑制されて運転姿勢はいま一歩。シフトの操作性もよくない。ハンドルのオーディオスイッチも全般的に直感的操作が難しい。後席は床から座面上面までの高さが28cmと狭く、腰が落ち込んで膝が持ち上がる。
・ドラポジの評価:70点
・ペダル配置の評価:80点
・シフトの操作性:60点
・エアコン温度調節の操作性:88点
・オーディオの操作性:65点
●室内空間ドラポジチェック(インプレッサ)
ほとんどの項目でプリウスを上回る結果となった
運転姿勢は最適に調節できて、腰の支え方もいい。エアコンの操作はタッチパネルで違和感を覚える人もいる。オーディオも操作プロセスが多くやや扱いにくい。後席は床から座面上面までの高さが34cmで最適。身長170cmの大人4名が乗車して後席乗員の膝先空間はコブシ2つ半と広い。
・ドラポジの評価:85点
・ペダル配置の評価:80点
・シフトの操作性:80点
・エアコン温度調節の操作性:75点
・オーディオの操作性:70点
■Cセグハッチバック2車のスペック比較
●プリウス2.0Z
・価格:370万円
・WLTCモード燃費:28.6km/L
・全長:4600mm
・全幅:1780mm
・全高:1430mm
・ホイールベース:2750mm
・車両重量:1420kg
・最小回転半径:5.4m
・最低地上高:150mm
・エンジン:直列4気筒DOHC、1986cc
・最高出力:152ps/6000rpm
・最大トルク:19.2kgm/4400-5200rpm
・モーター出力/トルク:113ps/21.0kgm
・サスペンション:ストラット/ダブルウイッシュボーン
・タイヤサイズ:195/50R19
●インプレッサST-H AWD
・価格:338万2500円
・WLTCモード燃費:16.0km/L
・全長:4475mm
・全幅:1780mm
・全高:1515mm
・ホイールベース:2670mm
・車両重量:1580kg
・最小回転半径:5.3m
・最低地上高:135mm
・エンジン:水平対向4気筒DOHC、1995cc
・最高出力:145ps/6000rpm
・最大トルク:19.2kgm/4000rpm
・モーター出力/トルク:13.6ps/6.6kgm
・サスペンション:ストラット/ダブルウイッシュボーン
・タイヤサイズ:215/50R17
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みんなのコメント
非常に興味があるのだが、いかんせん燃費が良くない。
スバルの水平対向エンジンは燃費向上が難しいからなあ。
結構走行距離が多いので、ガソリン高は辛い。