現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > ボンネットに穴が開いたターボ車が減少! なぜスバルはわざわざ大きな穴を開けているのか?

ここから本文です

ボンネットに穴が開いたターボ車が減少! なぜスバルはわざわざ大きな穴を開けているのか?

掲載 更新
ボンネットに穴が開いたターボ車が減少! なぜスバルはわざわざ大きな穴を開けているのか?

 かつて、ターボ車の特徴として、ボンネット上に大きく開いたエアインテークがありました。

2リッターターボエンジンを搭載するスバル「WRX STI」 1980年代に日本車でターボブームが起き、ハイパワーなターボ車のボンネットにエアインテークが設けられていました。

ドッカンターボのじゃじゃ馬ばかり 高性能コンパクトカー5選

 古くは日産「ブルーバード SSS-R」やトヨタ「セリカ GT-FOUR」、三菱「ランサーエボリューション」といった、ラリーで戦うことを想定したターボ車の多くに採用され、外観デザインのポイントにもなっていましたが、最近では減少傾向にあります。

 一方、スバルは、いまでもターボ車のボンネットにエアインテークを設けています。現在のラインナップでは、「WRX」と「レヴォーグ」がターボエンジンを搭載しており、高性能ターボ車の証ともいえるボンネットの「穴」が特徴にもなっています。

 なぜスバルのターボ車は、ボンネットに大きな穴があいているのでしょうか。

 ターボチャージャーなどの過給器で加圧した空気は高温になり密度が小さくなります。その空気をエンジンの燃焼室に入れる前に冷却しないと、ターボの効果が減少してしまいます。

 そこで、吸気温度を下げて空気の密度を高め、ターボの効果を向上させていますが、その役目を担うのがインタークーラーです。

 インタークーラーはターボとエンジンの吸気系の間に設置されますが、実際はエンジンの前のバンパー付近に置かれるのが一般的です。

 これは、インタークーラーは走行風をあてて冷やす「空冷式」が多く採用され、効率よく冷やすための措置です。

 スバルのターボ車も空冷式のインタークーラーを採用していますが、他車とは違いエンジン上部に置かれています。

 これは、スバルが水平対向エンジンを採用しているためなのですが、水平対向エンジンは、シリンダーとシリンダーが水平に向かい合って配置され、ピストンが左右から向き合うように運動します。

 このため構造も左右対称(シンメトリカル)となり、エンジンの横幅は広くなるものの、高さや全長が抑えられ、その上にインタークーラーを置いてもボンネットに干渉しません。

 一般的な直列エンジンは全高が高いため、インタークーラーをエンジン上部に配置すると、ボンネットの高さを高くしなければならなかったり、スペースの関係からインタークーラーの大きさも制限されてしまいます。

 スバルの場合はエンジン上部のインタークーラーに空気を導入するため、ボンネットにエアインテークを設置する必要があるというのが、穴が開いている真相です。

※ ※ ※

 スバルのターボ車なのに、ボンネットにエアインテークがない車種も存在しました。それは、先代の「フォレスター」です。

 これは、フォレスターがモデルチェンジの度に本格SUVとして車高が上がりエンジンルームに余裕が生まれ、フロントグリルから十分な空気が取り入れられるようになったためといわれています。

インタークーラーの設置場所がハンドリング性能にも影響 スバルのターボ車がインタークーラーをエンジン上部に設置する理由は、ほかにもあります。現在、スバルのモータースポーツを担うSTI総監督の辰己英治氏が、1990年代に富士重工群馬製作所で実験部を統括していたときに、次のように説明しています。

スバル「レヴォーグ」のエンジンルーム「スバルがターボ車のインタークーラーをエンジンの前に搭載せず、わざわざボンネットフードに穴を空けてまで、あの位置に置くのは、フロントオーバーハング荷重が増加する重量物をフロントに載せたくないからです。

 数kgとはいえ前輪よりも前のオーバーハングに重たい装置を搭載すると、ハンドリングや回頭性に明らかに悪影響がでます。

 また、タービンやインタークーラー、スロットルの配管が短ければ短いほどターボラグが少なく、レスポンスが良くなるため、なるべくタービンの近くにインタークーラーを置きたいのです。そのためエンジン上部にインタークーラーを置き、そこに空気をとりこむためにボンネットにエアインテークが必要になります」

※ ※ ※

 近年、欧州車から普及した「ダウンサイジングターボ」というエンジンがあります。これは、排気量を小さくし、ターボでパワーを補うことで、さまざまな使用状況でエンジンの効率を高め、燃費向上を狙うという考え方で誕生しました。

 国産車ではトヨタ「クラウン」や「カローラスポーツ」がダウンサイジングターボを採用していますが、ボンネットフードにエアインテークはなく、エンジン前部にインタークーラーがありません。

 なぜなら、トヨタは「水冷式」のインタークーラーを採用しているためで、インタークーラー用のラジエーターをエンジン前部に置き、インタークーラー本体はエンジン上部にあります。

 トヨタは、空気の配管を短くする目的で水冷式インタークーラーを採用したということです。

 また、ホンダ「シビックタイプR」は空冷式インタークーラーをエンジン前部のバンパー内に配置していますが、ボンネットにエアインテークを設けています。

 これはエンジンルーム内に走行風を取り込むことで、エンジンルームそのものの冷却を目的としているためで、エアインテークの大きさも小ぶりになっています。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油7円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

サイバートラックが異次元カスタムで覚醒!? ドイツのチューニングメーカー“マンソリー”が手がけた「イーロンゲーション」とは
サイバートラックが異次元カスタムで覚醒!? ドイツのチューニングメーカー“マンソリー”が手がけた「イーロンゲーション」とは
VAGUE
外装のアクセントカラーは460億通り! 「ベントレー・コンチネンタルGT」オプションの無限の可能性
外装のアクセントカラーは460億通り! 「ベントレー・コンチネンタルGT」オプションの無限の可能性
LE VOLANT CARSMEET WEB
日産「崖っぷち」からの大逆転なるか? 800億円赤字、工場閉鎖…「技術の日産」再興でスバル化戦略? e-Powerの未来どうなる
日産「崖っぷち」からの大逆転なるか? 800億円赤字、工場閉鎖…「技術の日産」再興でスバル化戦略? e-Powerの未来どうなる
Merkmal
東京ガス、EV充電サービス「EVrest」に新料金メニュー…充電器ごとの柔軟な設定が可能に
東京ガス、EV充電サービス「EVrest」に新料金メニュー…充電器ごとの柔軟な設定が可能に
レスポンス
【RQ決定情報2025】スーパーフォーミュラの新チームをサポートする『KDDIレースアンバサダー』のメンバーが発表
【RQ決定情報2025】スーパーフォーミュラの新チームをサポートする『KDDIレースアンバサダー』のメンバーが発表
AUTOSPORT web
ホンダe:HEVと日産e-POWER 元エンジニアが判定「長所」と「短所」をガチで比べるとどっちがいいの?
ホンダe:HEVと日産e-POWER 元エンジニアが判定「長所」と「短所」をガチで比べるとどっちがいいの?
ベストカーWeb
「マイクロバス」はトヨタの商品名だと知ってた? 60年以上むかしのトラック「ダイナ」ベースのバスがとってもおしゃれ! 昭和懐かしのクルマを紹介します
「マイクロバス」はトヨタの商品名だと知ってた? 60年以上むかしのトラック「ダイナ」ベースのバスがとってもおしゃれ! 昭和懐かしのクルマを紹介します
Auto Messe Web
ユーザーがクルマの「リコール」を放置すると車検に通らない場合も! そもそも「リコール」ってどんな場合に出されるもの?
ユーザーがクルマの「リコール」を放置すると車検に通らない場合も! そもそも「リコール」ってどんな場合に出されるもの?
WEB CARTOP
ママチャリとロードバイクが合体!? トップチューブレス設計のスポーツバイク「ママチャリロード2」発売
ママチャリとロードバイクが合体!? トップチューブレス設計のスポーツバイク「ママチャリロード2」発売
バイクのニュース
ホンダ「WR-V」一部改良! 高級インテリア採用&精悍すぎる「ブラックスタイル」登場! 値上げ実施も“全車250万円台以下”をキープ!
ホンダ「WR-V」一部改良! 高級インテリア採用&精悍すぎる「ブラックスタイル」登場! 値上げ実施も“全車250万円台以下”をキープ!
くるまのニュース
2025年2月の新車販売ランキング、スペーシアが2位浮上 N-BOXはトップ変わらず
2025年2月の新車販売ランキング、スペーシアが2位浮上 N-BOXはトップ変わらず
日刊自動車新聞
テストでは最多周回を走り込んだメルセデス。弱点の克服を実感「開幕戦には完全な準備ができたマシンを持ち込む」
テストでは最多周回を走り込んだメルセデス。弱点の克服を実感「開幕戦には完全な準備ができたマシンを持ち込む」
AUTOSPORT web
ジャガーは何をやろうとしているのか 1900万円の新型EV、狙いは? 独占インタビュー
ジャガーは何をやろうとしているのか 1900万円の新型EV、狙いは? 独占インタビュー
AUTOCAR JAPAN
レクサス最新「“5人乗り”コンパクトSUV」に注目! リッター「28キロ」走る“最安&最小”な「LBX エレガント」がスゴイ! “豪華内装×特別カラー”など気になる仕様とは?
レクサス最新「“5人乗り”コンパクトSUV」に注目! リッター「28キロ」走る“最安&最小”な「LBX エレガント」がスゴイ! “豪華内装×特別カラー”など気になる仕様とは?
くるまのニュース
タカラトミーが Juju 選手とパートナー契約…スーパーフォーミュラマシンに「TOMICA」のロゴ
タカラトミーが Juju 選手とパートナー契約…スーパーフォーミュラマシンに「TOMICA」のロゴ
レスポンス
2025年2月の外国メーカー車販売、前年比3.6%増の1万8601台 2カ月連続プラス VW増加で底上げ
2025年2月の外国メーカー車販売、前年比3.6%増の1万8601台 2カ月連続プラス VW増加で底上げ
日刊自動車新聞
【中国】約200万円! トヨタ新型「bZ3X」25年3月発売に反響多数! 「RAV4より広くて快適そう」「価格安すぎ」「先進運転支援システムが気になる」の声も! 新たな「bZシリーズ」登場!
【中国】約200万円! トヨタ新型「bZ3X」25年3月発売に反響多数! 「RAV4より広くて快適そう」「価格安すぎ」「先進運転支援システムが気になる」の声も! 新たな「bZシリーズ」登場!
くるまのニュース
トヨタ「アルファード」でスポーツVIPを表現! 愛車に「リンファード」と名付けた理由は給油口を見れば納得…実は家族愛あふれる1台でした
トヨタ「アルファード」でスポーツVIPを表現! 愛車に「リンファード」と名付けた理由は給油口を見れば納得…実は家族愛あふれる1台でした
Auto Messe Web

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

346 . 5万円 390 . 5万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

29 . 9万円 418 . 9万円

中古車を検索
スバル フォレスターの買取価格・査定相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

346 . 5万円 390 . 5万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

29 . 9万円 418 . 9万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村