先進・安全。そして日本で使いやすいこと、それが個性
トヨタ、ホンダ、日産の3メーカーが世界中で生産した乗用車のうち、日本で販売されるのはわずか15%ほど。日本が「地元」であっても、ビジネス面で見れば決して重要な拠点とはいえない。日本市場にマッチしているとは思えないグローバルモデルを国内で販売するのは、こうした背景が関係している。
SUBARUレヴォーグが一部改良でヘッドランプ/室内灯消し忘れ時の自動消灯機能を追加
それはSUBARU(スバル)にとっても同じこと。いや、米国市場を販売上の明確な主軸に据えている彼らは、「日本市場に向けたクルマ作り」の優先度がさらに低くなるのは致し方ない。ちなみに、スバルの国内販売比率は前出の3メーカーよりさらに低く、14%弱となっている(2021年のデータ)。
ところが、新型レヴォーグは「国内専用モデル」として誕生した。それは、米国主体のレガシィが大きくなりすぎた「埋め合わせ」という側面もあったけれど、それにしても、たった14%にも満たない国内市場(2021年の国内年間販売台数は10万台強)のために専用モデルを作り上げたのだ。スバルの心意気をまずは称賛したい。
しなやかな足に感銘。レヴォーグはスバルの良心である!
多くのパーツを新開発した点も注目に値する。たとえば、レヴォーグにはスバルグローバルプラットフォームをベースとしつつ、フルインナーフレーム構造を初採用。これはボディ全体の骨格構造を連続的な形状とすることで高剛性化と軽量化を実現する技術。構造用接着剤と組み合わせた結果、正確なハンドリングの実現とともに振動や騒音の低減に役立つという。
高度運転支援システムのアイサイトXを搭載したのも、レヴォーグが最初だった。位置情報の検出には、日本独自の衛星測位システム「みちびき」を活用。ここでも日本市場を重視する姿勢を鮮明にしたのである。
1.8リッターボクサーターボ(177ps/300Nm)を搭載したレヴォーグSTIスポーツに乗ると、静粛性の高さと乗り心地の快適性がまず印象に残る。いずれもフルインナーフレーム構造が貢献しているのは間違いない。とりわけ印象的なのが乗り心地のよさだ。この点ではダンパーのスムーズなストローク感が大きく役立っているはず。デビュー当初に「ネコ足」で有名なフランス車と比較試乗した経験があるが、足回りのしなやかさではレヴォーグが断然勝っていた。これは日本車の歴史を考えると、常識を覆すような出来事だった。
こうした滑らかな乗り味は標準モデルのGT系でも満喫できるが、ZF製の電子制御ダンパーを備えたSTIスポーツであれば、ドライブモードセレクトの操作で快適性重視にもハンドリング重視にも変更は自在。より幅広いシーンでレヴォーグの進化を味わうことができる。
しかもボディサイズは日本の道路環境にピッタリ。全幅を1.8m未満に抑えることで市街地での使い勝手も良好だ。まさに、日本の道を走るために誕生した「スバルの良心」ともいうべきモデルに仕上がっている。
SUBARUレヴォーグ主要諸元
グレード=STIスポーツEX
価格=8CVT 414万7000円
全長×全幅×全高=4755×1795×1500mm
ホイールベース=2670mm
トレッド=フロント:1550/リア:1545mm
車重=1580kg
エンジン=1795cc水平対向4DOHC16Vターボ(レギュラー仕様)
最高出力=130kW(177ps)/5200~5600rpm
最大トルク=300Nm(30.6kgm)/1600~3600rpm
WLTCモード燃費=13.6km/リッター(燃料タンク容量63リッター)
(市街地/郊外/高速道路:10.0/14.5/15.3km/リッター)
サスペンション=スフロント:トラット/リア:ダブルウィッシュボーン
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール=225/45R18+アルミ
駆動方式=4WD
乗車定員=5名
最小回転半径=5.5m
※撮影協力/小田急・箱根レイクホテル
フォトギャラリー
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みんなのコメント
アイサイトだって自動運転は日産のプロパイロットに抜かれちゃったし、安全性についても他社が追いついてきた上、若い人は安全性よりカッコよさや燃費重視だからね。
スバルだけ持ち上げるなよ