■ドライブすること自体が楽しくなる「ややホットハッチ」を振り返る
1974年に、優れたパッケージングとデザインのコンパクトカー、フォルクスワーゲン初代「ゴルフ」が誕生し、1976年には、強力なエンジンと強化されたサスペンションの高性能モデル「ゴルフGTI」が欧州で発売され、元祖「ホットハッチ」として人気を博しました。
さすがにエンジンがデカすぎでしょ!? 大排気量コンパクトカー5選
国内でも1980年代になると、ターボエンジンの普及によって、コンパクトカーでも高性能なモデルが次々と誕生し、若い世代から絶大な人気を誇りました。
その後も、ハイパワーな1.6リッターの自然吸気エンジンを搭載したモデルも登場するなど、コンパクトカーの高性能化が一気に進みます。
現在では、さらに高出力のホットハッチもありますが、一方で「やりすぎ」感がなく、ドライブすること自体が楽しくなる「ややホットハッチ」も存在。
そこで、少し前に登場した、ちょっとホットなコンパクトカーを5車種ピックアップして紹介します。
●ホンダ「フィット ハイブリッド RS」
2001年にホンダ「ロゴ」の後継として登場したベーシックコンパクトカー「フィット」は、優れた走行性能と低燃費を両立し、シンプルで洗練されたスタイルと低価格を実現したことで大ヒットしました。
2007年にモデルチェンジされた2代目は、2010年のマイナーチェンジで88馬力の1.3リッター直列4気筒i-VTECエンジンに14馬力の軽量・小型なIMA(インテグレーテッド・モーター・アシスト)を組み合わせた「フィットハイブリッド」が登場。
さらに最高出力114馬力を誇る1.5リッター直列4気筒i-VTECエンジン+IMAを搭載した、「ハイブリッド RS」がラインナップされました。なお、ガソリン車にもRSは設定されています。
ハイブリッド RSはマイルドハイブリッドのため、6速MT車が選べたことも特徴で、ベース車の素性の良さを生かしながら、スタビライザーやダンパーなどが専用チューニングされたサスペンションと強化されたブレーキを採用。
車重も1140kg(6速MT車)/1160kg(CVT車)と、比較的軽量に抑えられていたことから、キビキビと走れるのはもちろん、JC08モード燃費は22.2km/L(CVT車)と良好です。
狙ったラインをトレースでき、運転の愉しさを味わえるハイブリッド・コンパクトハッチでした。
●マツダ「デミオ スポルト」
ミニバンブームの渦中だった1996年にデビューしたマツダ「デミオ」は、車検証上もステーションワゴンというコンパクトワゴンとして誕生。
小さなボディながら室内空間やラゲッジスペースは広く、日常での使い勝手の良さや低価格だったこともあり、ベーシックモデルとしてヒットしました。
2007年に登場した3代目では、欧州市場を意識したハッチバックスタイルとなり、2代目より全長を40mm短くする異例のダウンサイジングをおこなったことで、よりスポーティなモデルに変貌。
新開発のプラットフォームにより約100kgの軽量化が図られ、1.3リッターと1.5リッター直列4気筒エンジンが設定されました。
なかでも1.5リッター車では、専用チューンドサスペンション、大径ブレーキディスク、専用16インチアルミホイール、専用フロントグリルとフロントエアロバンパー、サイドステップ、リアスポイラーなどのエアロパーツを備えた、「デミオ スポルト」をラインナップ。
エンジンは最高出力113馬力を発揮し、5速MTに加え、7速マニュアルモード付CVTが設定されました。
車重も1000kg(5速MT車)/1020kg(CVT車)と軽量で、特別なパワフルさはありませんでしたが、欧州仕込みの足まわりによって、高速コーナーリング時にも安定した姿勢を保ち、心地良いドライブフィーリングは高く評価されました。
●日産「マーチ 12SR」
1982年にデビューしたコンパクトカー日産初代「マーチ」は、600kg台前半の軽量なボディに、シティユースには十分な1リッター直列4気筒SOHCエンジンを搭載し、日本だけでなく欧州でも人気となりました。
1985年のマイナーチェンジでは最高出力85馬力を発揮するターボエンジンを搭載した「マーチ ターボ」がラインナップ。「ベビーギャング」とも呼ばれるほどの加速性能は1.6リッタークラスと互角に走ることが可能でした。
2002年に登場した3代目はルノーと共同開発した新たなプラットフォームを採用し、68馬力の1リッター/90馬力の1.2リッター/98馬力の1.4リッター直列4気筒エンジンを搭載し、高性能なモデルは設定されませんでした。
しかし、2005年のマイナーチェンジで「マーチ 12SR」が登場。開発はオーテックジャパンの手によるもので、スタンダードグレードの1.2リッターエンジンをベースに、シリンダーヘッド周りのチューニングやプレミアムガソリン仕様とすることで、最高出力は110馬力まで向上し、5速MTのみの設定となっています。
車重は960kgと軽量で、自然吸気エンジンながらも胸のすく加速感が味わえました。ほかにも足まわりの強化やシャシの剛性アップがおこなわれ、コーナリング性能も向上。
この12SRのコンセプトは現行型マーチにも継承され、1.5リッターエンジンを搭載する「マーチ NISMO S」がラインナップされています。
■現行モデルでは「モンスター」になってしまったベーシックカーとは!?
●スズキ「スイフトRS」
スズキの登録車のなかでも、エントリーモデルとして登場した「スイフト」は、2代目から世界に通用するコンパクトカーを目指して開発が行われました。
現在では世界8拠点で生産するスズキの世界戦略車にまで成長し、和製ホットハッチの代表的存在である「スイフトスポーツ」もラインナップされています。
2010年に登場した3代目は、軽量化と高剛性を両立した新しいプラットフォームに、吸排気VVTを採用した最高出力91馬力の1.2リッター直列4気筒エンジンを搭載。さらに2012年には特別仕様車「スイフトRS」が登場しました。
「スイフトRS」は欧州仕様の足まわりを採用し、国内仕様に対して減衰力を高めの設定にしたダンパーと、旋回時の応答性を高めたタイヤを装着することで、コーナーでの安定感が重視されました。
また、アシスト量のチューニングで重めに設定されたパワーステアリングの採用や、フロントスパッツ、リア/サイドアンダースポイラー、ルーフエンドスポイラーなどのエアロパーツが装着され、高速走行時における直進安定性が高められています。
さらに2012年にはスイフトRSの一部仕様変更をおこない、2WD車もリヤブレーキがディスクブレーキにアップグレードされ、CVT車ではパドルシフトを採用するなど装備の充実が図られました。
スイフトスポーツよりもマイルドながらスポーティな味付けのRSは、現行モデルでもラインナップされています。
●トヨタ「ヴィッツRS」
1999年にデビューした世界戦略車トヨタ初代「ヴィッツ」は、日欧で大ヒットを記録したAセグメントのコンパクトカーで、後に同クラスのベンチマークとなりました。
デビュー当初は最高出力70馬力の1リッター直列4気筒Cエンジンのみでしたが、数か月後には88馬力の1.3リッターエンジン搭載車を追加ラインナップ。
さらに2000年には、スポーティグレードの「ヴィッツRS」が登場し、1.3リッター車と1.5リッター車が設定されました。
RSは主に足まわりのチューニングがメインで、ダンパーやスプリングの変更に前後スタビライザーの追加に、4輪ディスクブレーキが奢られています。
1.5リッターエンジンを搭載するヴィッツRSでは、最高出力110馬力を発揮。また、1.5リッター車には185/55R15サイズのタイヤが与えられ、ベーシックカーながら高いコーナーリングスピードも実現していました。
なお、2代目、3代目のヴィッツにもRSグレードが設定され、現行モデルの「ヤリス」では1.5リッター車には6速MTを設定し、「GRヤリス」では272馬力を誇る1.6リッターターボエンジンを搭載するフルタイム4WDのモンスターマシンとなっています。
※ ※ ※
国産コンパクトカーは廉価な価格設定が求められるため、一般的にシャシ性能はあまり高くありません。
そう考えると、今回紹介した5車種くらいのエンジン性能が、バランスの点でちょうど良いといえます。
シャシがファインチューニングされ、過激すぎないパワーのエンジンを搭載することで、日本の道路環境ではもっとも楽しめるクルマなのではないでしょうか。
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みんなのコメント
ハイパワーなエンジンを搭載していなくとも、FRによる素直な挙動、操縦性、軽量コンパクトなボディを利してスポーティな走りを楽しめた。当時、このクルマで運転を覚えたり、モータースポーツを楽しんだ若者は多い。