2023年6月に予定されている株主総会後に現在の中村知美氏から大崎篤氏に社長が交代するスバル。電動化が避けられない今後、スバルのクルマ作りはどう変わっていくのか? キーマンである同社の藤貫哲郎CTOを国沢光宏氏が直撃した!
文/国沢光宏、写真/スバル、STI、ベストカーWeb編集部、ベストカー編集部
スバル新体制でどう変わる? 「新しいスバル車像」は完成ずみ! キーマン藤貫CTO直撃取材
■大崎新社長体制でスバルのクルマ作りの中心となる藤貫CTO
大崎篤取締役専務執行役員は2023年6月の株主総会後にスバルの新社長に就任する
スバルの体制が大きく変わりそうだ。これまでの中村知美社長はスバル社内での評価こそ高かったようだけれど、新型コロナ禍を理由にほとんど顔を見せず。メディア嫌いの内弁慶ということです。
というのも豊田章男さんやトヨタの新社長になる佐藤恒治さんは毎週のように存在感を出していましたから。新型コロナ禍を理由に出てこなかった人や動かなかった人は、やる気がないだけ。
スバルの新社長となる大崎篤さん(現取締役専務執行役員)は、中村さんとまったく違う。社長や役員、主要メディアが数多く顔を見せ、今や自動車業界の社交場のようになっているスーパー耐久レースの開幕戦(2023年3月19日、鈴鹿サーキット)で早くもメディアデビュー。
大崎さんを取材した同業者に話を聞くと、皆さん好評。私もご挨拶させていただいたけれど、明るい。クルマ業界って暗くちゃダメです。
■「名車」4代目レガシィを作ったサムライたちの仕事を目の当たりにしてきた大崎氏
2003年に登場した4代目レガシィ(写真は後期型ツーリングワゴン2.0GT)。歴代モデルでも名車の誉れが高い
大崎さんは直近で品質管理など担当してきたものの、エンジン部門出身のエンジニアだ。我が国の名車という評価になるだろう4代目レガシィを開発したサムライたちの仕事を見てきた。そんな大崎さんがスバルのクルマ作りを任せたのは、藤貫哲郎さん(現CTO「最高技術責任者」技術本部長兼技術研究所長)である。
藤貫さんは2020年から車両開発のTOPだったのだけれど、2023年6月からの大崎新体制で取締役となり、さらに権限が大きくなる。
わかりやすく言えば、今まで藤貫さんが意見を具申しても取締役会で承認されなければ、思ったようなクルマ作りができなかった。2023年6月から藤貫さんの意見はそのまんまスバルのクルマ作りに反映されることになる。
大崎新社長、スバルのクルマ作りは藤貫さんに任せたということ。幸い藤貫さんって現役のエンジニアのなかじゃ私の基準ながら業界で一番クルマを知っていると思っている。
長い前置きになったけれど、藤貫さんに話を聞いてみた。
■北米でスバルブランドのイメージは「楽しくて燃費もいい」
大崎新社長体制下でスバルのクルマ作りの開発を束ねる藤貫哲郎CTO(最高技術責任者)技術本部長兼技術研究所長
国沢光宏(以下、国沢)/現在のスバルはブランドイメージが薄れ、環境対応のパワーユニットも存在しない。ストロングポイントだったアイサイトも他社の猛追を受けるなど、厳しい状況になっていると思います。
藤貫哲郎(以下、藤貫)/今後のクルマは例えば電気自動車ひとつ取っても充電時間とか航続距離など同じような基準になってきます。そんな時代になると自動車メーカーが何を考え、どんな社会貢献をできるかが大切になってきます。
国沢/そう思います。やはりブランドイメージですね。20年前なら走りだったし、10年前だと安全性でした。
藤貫/スバルというブランドの意味や価値をしっかり考えなければなりません。ひと昔前は世界的にニッチブランドだったんですが、今やアメリカだとそうも言えなくなってきました。いいお客さんもついてきており、環境などを重視しなけばならなくなりました。現状は楽しくて燃費もいいというポジションです。
国沢/具体的にどういったスバルを考えているんでしょうか?
藤貫/スバルといえば水平対向+AWDというイメージですが、電気自動車になるとモーターや電池、プラットフォームなどは基本的に同じになっていく。そこでスバルらしさが出せないかとなれば、違うと私は思ってます。
AWDとともにもうひとつのスバルの象徴ともなっているパワーユニット、水平対向エンジン
国沢/水平対向+AWDの呪縛から逃げられるということですね。
■「新しいスバルの味」はすでに完成している!?
藤貫CTOによれば「すでに新しいスバルの味ができています」と力強い言葉が!(写真は2023年2月19日に開催されたスバル技術研究所でのテックツアーで)
藤貫/実はもう新しいスバルの味ができちゃっているんです!(笑)。今ここで言いたいんですが、もう少し待ってください。電気自動車ってどれに乗っても同じような味ですけど、現在開発中の次世代車は違うんです。言いたいなぁ。
国沢/私の予想ですが、コーナーで4つのタイヤにまったく同じ駆動力をかけるということでしょうか。他社のシステムって前後で違う駆動力をかけてます。いずれにしろ楽しみにしたいと思います。
藤貫/現在のスバルのイメージの薄さは人の使い方がうまく行ってなかったように思います。今後ふたつの開発のやり方をします。ひとつは今までどおりの立案した計画に沿うルーティンワーク。これだと硬いクルマしかできない。もうひとつですけど、”変わった人”が活躍できるような方向性を持ちたいんです。変わった人を優遇していきます。そうしていかないと暴れるサムライが出てこない。変わった人ってスバルのなかにたくさんいるんです。
スバルのEV、ソルテラ。EVならではの前後独立型モーター駆動式AWDと4輪制御システムの「X-MODE」を備えている
国沢/過去、レオーネの時にスバルの技術者はみんなライバルに負けたと感じ、意気消沈した。そんな時に初代レガシィを開発した荒沢紘一さん(スバル副社長で勇退)や桂田勝さん(3代目レガシィでは開発責任者でSTI社長などを務めた)のようなサムライが出てきた。
藤貫/レールを引くのが私の仕事です。2年前から改革をスタートしたのですが、まだ変わってないじゃないかと言われる。例えば部の細分化を止めたんです。ドライバビリティと燃費性能って相反関係です。ケンカばかりしていた。でも、同じ部門にまとめたらケンカできない(笑)。
国沢/パワーユニットの将来計画についてスバルは見えてこないですね~。概要くらいはアナウンスしたほうがいいと思います。
藤貫/しかるべき時に言おうと思ってます。2023年に新中期計画を発表する時に言いたい。スポーティなクルマも欲しいと考えます。
国沢/個人的な期待ですが、スバルには新しい価値観の楽しいクルマ、新しい時代のグランドツアラーなんか欲しいな、と。
スバルのグランドツアラーといえば歴代レガシィツーリングワゴン、そして現在はレヴォーグに受け継がれているが、これからの新時代には果たしてどうなるのか?
藤貫/若い世代がどんどん育ってきています。つまらない上司なんかいないほうがいいと思うくらいです。もう少しお待ちください。「みんなでいいクルマ作ろうぜ」と言うとトヨタと同じになっちゃうんですが、昔のスバルってそんだったんです。そんなスバルに戻そうと思っています。
国沢/新しいクルマ作りの方針発表、楽しみにしています!
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みんなのコメント
他社とは明確な差を付けられるスバルの戦略。
これでモーターの弱点を減らせるし乗り味が全然違う。
発売が楽しみでしかない。