南半球では初春を迎える8月31~9月1日の週末に、2019年が初年度となるTCRオーストラリア・シリーズの第5戦がウィントン・モーターレースウェイで開催され、若き選手権リーダーのウィル・ブラウン(ヒュンダイi30 N TCR)が自身初の予選ポールポジションを獲得。日曜の2ヒートでは連勝を飾り、初タイトルに向けランキング首位を独走している。
直前のイベントスケジュール変更により、金曜開催予定だった50分のプラクティスが土曜午前に編入され、2デイ化された第5戦は、ここまでのシリーズ展開どおりHMOカスタマー・レーシングの若手ドライバー、ブラウンが躍動。
TCRオーストラリア:古豪GRMがさらに体制拡大。3台目のルノー・メガーヌR.S.TCRを投入へ
セッション中盤に1分24秒0981の首位タイムを記録し、その後はライバル勢の挑戦を受けて立つ展開になると、ケリー・レーシングのアンドレ・ハイムガートナー(ホールデン・アストラTCR)、そしてタイトルを争うアシュリー・シューアード・モータースポーツのディラン・オキーフ(アルファロメオ・ジュリエッタ・ヴェローチェTCR)らを退け、2019年最初のポールポジションを手にした。
そのまま土曜午後に開催された週末最初のレース1は、グリッドへと向かうウォームアップラップから、ギャリー・ロジャーズ・モータースポーツが走らせるジェームス・モファットとクリス・ピザーの2台のルノー・メガーヌR.S.TCRにトラブルが発生。フォーメーションラップを走行することも叶わずピットへ押し戻されるなど、信頼性の問題に泣かされる厳しい出だしとなる。
これでわずかなディレイを経てスタートしたレースは、フロントロウのハイムガートナーを皮切りにポールのブラウンが3台のマシンに先行され、苦しいオープニングラップに。しかし続くラップには2番手を奪還し、予選3番手発進から首位を行くWall Racingのジョン・マーティン(FK8ホンダ・シビック・タイプR TCR)に挑みかかる。
5周目の最終コーナーで仕掛けたブラウンだったが、その際にマーティンのシビックと軽いコンタクトがあり、コースオフを喫してポジションダウン。代わって予選6番手から浮上してきたMatt Stone Racingの大ベテラン、ジェイソン・ブライト(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR)が2番手を奪い、首位のシビックにチャレンジする立場となる。
するとその直後、先頭を走るシビックの左フロントタイヤが突然、根を上げてパンクチャーに見舞われ、これでブライトが労せずしてレースリーダーの座に。
46歳の元バサースト1000勝者は残るラップで2番手ブラウンとのマージンをきっちり1秒にコントロールし、17周のレースを走破。開幕戦レース1、シリーズ初代勝者の称号も持つ男が5月以来の選手権2勝目を挙げる結果となった。
明けた日曜午後の2ヒートは、前日の惜敗にリベンジを期すブラウンが、レース2からその決意を披露し、スタートでポールシッターのブライトに対しサイド・バイ・サイドの勝負を挑んでいく。そのまま並んで2コーナーシケインを通過したゴルフGTI TCRとヒュンダイi30 N TCRは、続くターン3進入でわずかにノーズを前に出したブライトが首位を堅持し、一歩も引かない勝負を繰り広げる。
しかし2周目の同じターン3で今度はブラウンがやり返し、この週末初の首位浮上に成功。そこからは怒涛のレースペースを披露し、5周目には3秒以上にマージンを広げると、17周チェッカー時点で2位ブライトに対し7.9051秒の大量リードを築いてチェッカー。
続く午後2時20分スタートの決勝レース3もポールから出たブラウンが、決勝ファステストラップを記録し10秒以上のリードを築く完璧なポール・トゥ・ウインを達成。ランキング2位のアルファロメオ、オキーフに対し116点差とする538点までポイントリードを拡大した。
「この週末は最高の気分でドライブできた。マシンはレールの上を走っているようで、その感覚はちょっとF3マシンに近いようなフィーリングさえ覚えたよ」と、今季6勝目を挙げ、決勝全ヒートでファステストを奪ったブラウン。
「レース1を除いて完璧なドライブができたし、チームのみんなには感謝しても仕切れないくらいだ。首位に立った後は“どれぐらいのラップタイムが維持できるか、挑戦してやろう”と考えていた」
「すると、このヒュンダイは予選みたいなラップタイムを連続して維持できるほど優れたパフォーマンスを見せてくれたんだ。マシンは完璧だったし、本当にハッピーな週末になったよ」
TCRオーストラリア初年度シーズンは残り2戦。続く第6戦は9月21~22日にメルボルン近郊のサンダウン・レースウェイで争われる。
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