国内の2.5リッターNAと同等の静粛性
ニュルブルクリンク24時間レースにSUBARU MOTOR SPORT 応援プロジェクトとして現地観戦ツアーに同行した筆者だが、現地で欧州仕様のスバル レガシィ アウトバック ディーゼルに試乗する機会を得た。アウトバックは国内仕様にはFB25型水平対向4気筒 ガソリンエンジンのみのラインアップとなるが、じつは輸出仕様にはさまざまなバリエーションが設定されている。
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たとえば、北米仕様や豪州仕様には先代の国内仕様にも設定されていたEZ36型水平対向6気筒ガソリンエンジンが設定されているほか、中国仕様にはFA20型水平対向4気筒直噴ターボエンジンの設定が存在する。
そして欧州ではEE20型水平対向4気筒2リッターディーゼルターボエンジンの設定があるのだ。もともと欧州ではディーゼルエンジンが主力で、経済的かつトルクフルな走りは、国内のスバル車では味わうことのできない仕様だ。
水平対向ディーゼルエンジンは、その構造からバランサーシャフトが不要。ほかのディーゼルエンジンと比べ、振動が少ないのが特徴だ。
実際に乗ってみると、国内でも普及している直列4気筒のディーゼルエンジンのモデルと比べ、圧倒的な振動の少なさ、ディーゼルとは思えないスムーズな加速を体感することができた。静粛性に関しては、国内仕様の2.5リッターNAエンジンと大差なく感じられるレベルだ。
また、リニアトロニックCVTとのマッチングも抜群で、トルクフルなEE20エンジンの特性を活かせる相棒として、6速MTにも引けを取らないフィーリングをもつ。
国内仕様ではNAエンジンのみの設定だが、欧州仕様のディーゼルターボ、中国仕様の直噴ターボ仕様ではインタークーラーへの冷却のため、フード裏にダクトが設けられる。国内ではフォレスターターボモデルに装着されているものと同じ原理である。
アウトバーンでアイサイトの限界性能の高さを確認
今回試乗させていただいたアウトバックにはアイサイトが装備されており、実際にアウトバーンで試すこともできた。国内では最高設定速度は114km/hまでだが、欧州仕様では180km/hまで設定できるのだ。国内では必要のない領域だが、アイサイトの限界性能という点では超高速でも対応できることに驚いた。
また、アイサイトで追従走行する際、国内仕様のアウトバックやレヴォーグなどではパドルシフトでシフトダウンした際に追従機能がキャンセルとなってしまうが、欧州仕様ではそのまま追従してくれるので、加速したいときに大いに役立つ。ちなみに、この機能は、国内仕様では新型インプレッサから追加され、今後登場するモデルには採用されるものと思われる。
エクステリアは国内仕様のリミテッドに準ずるグレードで同様の装備内容となる試乗車だが、ドアパネルのメッキやフロントバンパーのシルバー塗装華飾などが省略され、ワイルドな印象となっている。インテリアも国内仕様に近いが、ディーゼル仕様にはSIドライブが装着されないほか、タコメーターの目盛りもディーゼルならではの低回転仕様となっている。
国内でもディーゼル仕様を熱望する声が多く上がっているが、実際販売した場合の車体価格や今後厳しくなる排ガス規制の問題などもあり、導入は難しいといえる。水平対向6気筒エンジンと並ぶほどの名機でありながら、国内で試すことができないのは非常に残念でならない。
各国の仕様のアウトバックのなかで、ディーゼル、6気筒、DITの3種類からどれか一つを導入できるとしたら、是非ともディーゼルの導入を熱望したい。それほど完成度が高く、ガソリンエンジンと比較してもポジティブな要素を数多くもつエンジンといえるだろう。
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