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2023年に75周年を迎えたポルシェ! 記念展示を行っているポルシェミュージアムを訪れたら感動と発見の嵐だった

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2023年に75周年を迎えたポルシェ! 記念展示を行っているポルシェミュージアムを訪れたら感動と発見の嵐だった

 この記事をまとめると

■2023年にポルシェは創立75周年を迎えた

100万円前後でポルシェオーナーってマジか! 初代カイエン&ボクスターに安さで飛びつくとけっこうな悲劇が待ち受けている

■75周年記念展示を実施しているドイツのポルシェミュージアムを訪問

■創業時のポルシェを代表するクルマやレースで活躍した車種も展示されていた

 ロナーポルシェも356プロトも見られる充実の75周年記念展示

 2023年が節目の年となる企業、イベントがいくつかあった。そのひとつが、企業創立75周年を迎えたドイツのポルシェAGだ。このポルシェというメーカー、自社にとって節目の年、出来事があると、必ず本社敷地内にあるミュージアムでそれに関する催しを開催することが慣例となっている。そこで、創立75周年を迎えたポルシェミュージアムを訪ねてみた。

 現在のミュージアムは2009年に新築されたもので、本社ビルに隣接した位置に建てられている。ちなみに、それまでのミュージアムは、同社工場内の一角に設置され、車両展示スペースは10台+αといった小規模なもので、ファンにとっては数ある歴史の生き証人とも言えるポルシェ一連の車両を見るには、あまりに不十分、手狭な状態だった。

 ミュージアムが近づくにつれ、外観上の大きな特徴である建屋のガラス側壁面に「75」の数字が大きく描かれているのが見えてきた。日本人の感覚では「75」という数字に大きな意味はないが、欧米圏の原語感覚、英語では2分の1=Half、4分の1=Quarter、ドイツ語では2分の1=Halfte、4分の1=Viertelという表記があるように、100年を基準にした75年という年月は、ひとつの節目にあたると考えてよいようだ。

 1947年、オーストリア・グミュントで起業した自動車メーカー、ポルシェは、翌1948年に同社の量産第1号モデルとなるスポーツカーの356の生産を開始する。この記念すべきポルシェ356の1号車「356ロードスター」が、ミュージアムに展示されていた。

 興味深いのは、この356の1号車、紛れもなくポルシェ356そのものなのだが、量産型のリヤエンジン車とは異なり、鋼管スペースフレームシャシーにアルミボディを架装するモデルとして作られた。エンジンも、VWビートルから派生した1131cc水平対向4気筒OHVをミッドシップマウントする仕様である。

 言ってみれば、356のプロトタイプに相当するモデルで、この車両を使ってワインディング路での走行を主体に開発が進められた経緯を持つ。エンジンはVWビートルの25馬力仕様をチューンして40馬力にパワーアップした仕様だが、最高速度は135km/hをマークする性能を持っていた。戦後間もない時代であったことを考えれば、やはりポルシェらしい性能を持つモデルとして仕上げられていたことになる。

 ちなみに、ポルシェの名を冠した第1号モデルは、フェルディナント・ポルシェ博士が1899年に製作した「ローナーポルシェ」だが、なんとこのクルマ、ガソリン機関と電気モーターを併用したハイブリッド仕様車である。

 ポルシェの起源はEV、ハイブリッドと言い換えてもよいほど時代を先取りする設計思想だった。

 栄光の歴代ルマン優勝車も展示

 開発を終え量産に移された356は、356/2型として鋼板ボディ、リヤエンジンに改められ「プレA型」としてグミュントで生産が始まり、記録によると49台が生産された。さらに1950年になると、本拠地を念願のドイツ本国、シュツットガルトに移し、スポーツカーメーカーとして本格的な生産体制を整えた。以後356は、1965年の356C型まで18年間で約8万台が生産され、スポーツカーメーカー、ポルシェの名を不動のものにしている。

 なお、ポルシェは「スポーツカーはレースで活躍してこそ価値がある」という信念に基づき、創設間もない時期からレースへの参戦活動を始めているが、シュツットガルトに拠点を移した直後の1951年、356SLでル・マン24時間に初参戦し完走、751~1100ccでクラス優勝を勝ち取る快挙を演じている。

 一方、356のモデルライフが10年を超えた1961年、356の後継車となるスポーカーのプロジェクトが始まった。これがポルシェ・タイプ754T7で、その外観から一見してわかるように、ポルシェ911のプロトタイプであることが見てとれる。手がけたのは、フェルディナント・ポルシェの孫、フェリー・ポルシェの息子となるフェルディナント・アレサンダー・ポルシェ、通称「ブッツィ」だった。

 この754T7を経て、1964年に市販されたモデルが、現代まで続く911シリーズである。誰がどう見ても、ポルシェ社の基盤となるモデルであることは間違いなく、ポルシェの伝統となる水平対向6気筒エンジンも、このモデルによってデビューを果たしている。

 以後、911シリーズの発展については、その歴史はあまりに長くなるためまた機会を改めることにしたいが、創業75周年を迎えたポルシェのマイルストーンとして、初代911は、ミュージアムの中でもひと際輝く存在として来訪客の注目を浴びていた。

 2024年は911の60周年。このポルシェミュージアムで、特別な記念イベントが催されることは想像に難くないが、こんなことを考えながらポルシェもうひとつの柱、レーシングモデルの展示にも注目してみた。

 スポーツカーレースでのポルシェの活躍、実績を挙げていくとキリはないが、なんといってもさん然と輝く勲章は、今年で100周年を迎えたル・マン24時間での圧倒的な勝利数、通算19勝を誇ることに尽きるだろう。

 917に始まり936、956、962、911GT1、919と続く歴代ル・マンの参戦車両も展示されていたが、今年は2017年以来、6年ぶりにハイパーカーの963でル・マンに復帰。ポルシェは919で2014年にル・マンに復帰した際、参戦した2台のゼッケンを20号車と14号車とする小粋な演出をしていたが、2023年の今回も、3台目の車両を75周年にちなんだゼッケン75で出走させていた。

 このハイパーカーの963、車両規定はLMDhでペンスキーとマルチマチック社の共同開発、パワートレインのみがポルシェ供給という公式発表だったが、ミュージアムの最上階の片隅に4分の1サイズの風洞モデルの展示を見つけてしまった。

 よく見るとブレーキローターキャリパーも装着された仕様で、車両の空力開発にもバイザッハが関わっていたのではないか、と勘ぐらせる見せ方をしていた。

 クルマ好き、スポーツカーレース好きにとっては、1日中見てまわっても飽きない内容、展示物。それがポルシェミュージアムという印象を、また改めて強く持ってしまった。

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