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1902psでインドの最高速記録へ挑戦 ピニンファリーナ・バッティスタ マヒンドラ・グループの誇り

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1902psでインドの最高速記録へ挑戦 ピニンファリーナ・バッティスタ マヒンドラ・グループの誇り

マヒンドラ・グループにとって誇らしい象徴

アウトモビリ・ピニンファリーナのハイパー・バッテリーEV(BEV)、バッティスタを表現するとき、どんな言葉が適切なのか悩んでしまう。少なくとも、筆者がこれまでに運転したクルマのなかで、最も速く、最もパワフルで、最も高額なことは間違いない。

【画像】1902psのピニンファリーナ・バッティスタ 技術を共有するリマック 超高性能なBEVも 全111枚

2015年、イタリアの名門カロッツエリアは、インドのマヒンドラ・グループ傘下になった。そして「PF0」というプロジェクト名を掲げた、ロードカーの開発へゴーサインが出された。成果として、1902psのバッティスタが誕生した。

それまでのマヒンドラといえば、SUVを主力とするインド市場中心の自動車メーカーだった。しかし、世界屈指の超高性能なBEVを提供する立場へ、バッティスタが一躍踊りだたせた。

彼らは、BEVに強い関心を示している。オープンホイールの電動レーシングカーで競う、フォーミュラEのレーシングチームも運営している。2022年8月には、今後の4年間で5種類の電動SUVを提供するという計画も発表された。

アウトモビリ・ピニンファリーナは、そんなマヒンドラ・グループにとって誇らしい象徴といえる。その存在をアピールしたいと考えている。フォーミュラEのインド・ハイデラバード戦でも、バッティスタは堂々と展示されていた。

この光景を目にし、AUTOCAR INDIAは1つのアイデアを思いついた。せっかくマヒンドラ・グループの拠点があるインドへバッティスタが来たのなら、少し特別なコトをしてはどうだろうと。

肺で普通に呼吸することすら難しい加速力

ハイデラバードから北へ約950km離れた場所に、ナトラックス自動車試験コースがある。インド国内での自動車の最高速記録へ挑むことは、面白いに違いない。

広大な敷地には、アジア圏として最大級を誇る、7マイル(約11.2km)の高速周回コースが整備されている。道幅は4車線あり、2kmの直線2本が緩やかなバンクカーブで結ばれている。インドで、最も高い地上スピードを狙える場所だ。

目標へ据えたのは、当時新設された高速道路の閉鎖区間で、2016年にアウディR8 V10が達成した332.2km/h。その時も、AUTOCAR INDIAのスタッフがステアリングホイールを握っていた。

自動車試験コースが完成したことで、記録への挑戦はずっと簡単になった。最新のバッティスタのローンチコントロールも、一発で身につけられた。

ブレーキペダルを踏み込んだ状態で、アクセルペダルを深く傾ける。すると、カチッと切り替わる音が鳴る。後は、ブレーキペダルを放せばいい。

ドライブモードは、最も過激なフュリオサ。加速力は凄まじい。頭がシートから離れなくなり、頬の肉すら後ろへ引っ張られる。肺で普通に呼吸することすら難しい。今まで経験したことのない、容赦ないロケットダッシュだ。

余りの勢いに、筆者の思考がついていけなくなる。本能的に右足の力を緩めそうになるが、気持ちを奮い立たせ、アクセルペダルを蹴り続ける。バッティスタは、平然とスピードを高めていく。

あっさりバッティスタが成し遂げた記録更新

最初の直線が終わり、先が見えないほど長い、緩やかなバンクカーブの入口で加速を弱める。次のストレート手前で、290km/hに達しているのを確認。再び、アクセルペダルを目一杯倒す。

デジタル・スピードメーターが、勢いよく数字を増やしていく。320、330、340とカウントしていき、360が表示されたところで終了。バッティスタのスピードリミッターに届いた。2kmある直線の、中間辺りだった。

恐らく、さらに加速を続けることはできたはず。しかし、タイヤが耐えられない。データロガーには358.03km/hが記録されていた。インドにおける、自動車での最高速記録の更新を達成した。BEVの最速記録も。

筆者が降りると、AUTOCAR INDIAの女性スタッフ、レヌカ・キルパラニへ交代。彼女は357.10km/hを樹立し、インド人女性としての最高速も更新が叶った。バッティスタは、1日でインドの自動車記録を3つも更新したことになる。

今回の挑戦で示された、0-300km/h加速時間は10.49秒。0-400m加速は8.5秒、0-800mは13.38秒だった。

いずれの数字も感嘆させられるものだが、筆者が何より言葉を失ったのは、あっさりとバッティスタが成し遂げたという事実。極めてソリッドで、不安を感じさせなかった。300km/h以上で走っているという、実感すら薄いほど。

120kWhある駆動用バッテリーの搭載位置のおかげで、重心は低い。エアロダイナミクスも練られ、ボディが地面へ吸い付けられるように走る。一方、ステアリングの反応はダイレクトでシャープ。正確で丁寧な操舵が求められた。

駆動用バッテリーが最適な状態での実行

正直なところ、バッティスタは期待外れなほど簡単にリミッターまで加速してみせた。胸が張り裂けそうな緊張感や、背骨に響くような乗り心地とは、無縁だったといっていい。

二度と忘れることがない異次元の体験ではあったが、終始リニアでスムーズだったことも事実。あっけにとられるほど、300km/h超の世界が身近に感じられた。

ただし、事前準備は簡単ではなかった。駆動用バッテリーを持ち込んだDC急速充電器で理想的に充電し、ベストな状態にある僅かなタイミングで実行する必要があった。

1902psでの全開走行をある程度続けるには、充電量が60%以上あり、バッテリーの温度が55度以下であることが条件。この数字から外れると、マネージメントシステムが介入しパワーが絞られてしまう。

300km/h以上のスピードで走行すると、大量の電力が消費される。それによって、駆動用バッテリーは過剰に加熱してしまう。バッテリーが冷えた状態を見計らって、最高速へ挑む必要があった。

また、最初のバンクまでに充分な速度へ達し、次のストレートの半分で最高速に届かせるという、ペース配分も求められた。その後の、充分なクールダウンも。

執筆:ホルマズド・ソラブジー(Hormazd Sorabjee)
撮影:アクバル・マーシャント(Akbar Merchant )

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