現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 「輸入車はベースグレード最強」説は令和でも通用するのか?

ここから本文です

「輸入車はベースグレード最強」説は令和でも通用するのか?

掲載 6
「輸入車はベースグレード最強」説は令和でも通用するのか?

 クルマを購入するのにあたって、悩ましいのがグレードの選定。もちろん上級グレードになればなるほど、魅力的な装備が満載されていくが、価格も驚くほど高価になっていく。

 ただ、昔から「輸入車は、ベースグレードのほうがいい」ともいわれる。内外装のドレスアップパーツの差はさておき、ベースグレードと上級グレードの大きな違いは、パワートレインや足周りだ。ターボ化やハイブリッド(PHEV含む)でより高出力なエンジンになったり、いかにもグリップが高そうな幅広&扁平大径タイヤや電制ダンパーなど、走りの装備が満載されているほうが、当然、走りもいいのでは?? と思えるが、実は輸入車に限らず、国産車であっても、ある程度の価格帯のモデルとなると、ベースグレードのほうが優れている場合が多い。

「輸入車はベースグレード最強」説は令和でも通用するのか?

文:吉川賢一
写真:NISSAN、BMW、Mercedes-BENZ、Audi、ベストカー編集部

無理のないタイヤサイズによって、快適性に優れる

 ベースグレードのほうが優れている場合が多い理由のひとつは、タイヤサイズだ。日本に導入される輸入車の殆どは、本国で販売される上級グレードであり、大径タイヤ&ホイールが当然のように装着されることになっている。たとえば、メルセデスベンツの現行Cクラス(W206)の場合、最もベーシックなC180は16インチタイヤ(225/55R16)なのだが、C180は受注生産(実質的に受注させない)となっており、その上のC180アバンギャルドの17インチタイヤ(225/50R17)が日本における実質的なエントリーモデル。ちなみに中間グレードは18インチサイズ(フロント225/45R18、リア245/40R18)、AMGは19インチサイズ(フロント225/40R19、リア255/35R19)だ。

 たしかに、17インチ、18インチ、19インチと、大径タイヤ&ホイールになるほど見栄えは立派になるのだが、乗り心地(突起乗り越し時の突き上げ)の悪化は無視できず、ロードノイズも増えるなど、快適性に大きなトレードオフが発生する。燃費悪化するし、交換時の費用も高くなるなど、コスト面での跳ね返りも大きい。

2019年登場のBMW G20型3シリーズ。スタンダードグレードのタイヤは16インチだが、Mスポーツは18インチとなる

 しかし、デザイン的に優れることから、大径ホイールは商品的には外せない必須アイテム。大径ホイール装着によるトレードオフを解消するために、大径ホイールを採用するグレードには、様々な電制デバイスや、高級タイヤ、吸遮音材の追加、車体剛性の向上など、多くの対策を施している。19インチ、20インチを当たり前に装着する高級セダンでは、少なくとも電制ショックアブソーバーは標準装備となっているのは、乗り心地の跳ね返りを少しでも解消しようとしているためだ。

 もしタイヤを昔のように16インチで設定できれば、余計なデバイスを付けなくとも、静かで上質な快適性が(最小限の対策で)手に入るのだが、トレンドから外れるため、製品企画は採用させてくれない。運動性能的には、大径タイヤ&ホイールは、かなりやっかいなアイテムなのだ。

ノートオーラの17インチホイール(6.5J)。タイヤは205/50R17。Bセグメントのコンパクトカーにしては奢りすぎで、特に後席では突き上げが強め

[usedcar-search brand_cd="2025" body_cd="6,11" car_cd="20251503" keyword="Cクラス" limit=30]

重量が軽いことから、いい意味でオーバースペックに

 もうひとつ、クルマの重量の差も、ベースグレードのほうが優れる傾向にある点だ。たとえばメルセデスCクラス(W206)のように、C180、C200、C220dと、同じボディでグレードごとにパワートレインを使い分ける場合(AMGは除く)、一般的には、最も重たいグレードを基準にして、衝突性能や耐久性能などが設計される。Cクラスの比較だと、直4ガソリンエンジンのC180(車両重量1650kg)に対して、ディーゼルターボのC220d(1750kg、AMGパッケージとスライディングサンルーフを付けると1820kg)が最重量となり、これを基準に車体構造や剛性設計がなされることになる。

 こうした場合、ベースグレードのほうがパワートレインは軽くなるため(上記の場合だと170kg差)、いい意味で「オーバースペック」となる。つまりは、重量級グレードを考慮した強靭な車体に、軽量なパワートレインが組み合わされるので、その運動性能の差は歴然。ベースグレードは、もっとも優れた走りとなるのだ。

 この「タイヤ入力の小ささ」と「強靭な車体に軽いパワートレイン」、このふたつのメリットが揃うことで、ベースグレードのほうが優れている、となるわけだ。これはもちろん国産車も同様に当てはまる。

 ベースグレードの話からはすこしそれるが、国産車の大径タイヤ採用に関しては、クルマによっては車格に見合わない大径タイヤを履いていることで、突き上げ感とロードノイズが同カテゴリの他車よりも悪くなってしまっていることがある。Cセグメントへの19インチや、ミニバンへの18インチ、ミドルクラスSUVへの19インチなど、明らかに無理が生じており、たしかにカッコよくはなるのだが、見た目を重視するあまり、まっとうなタイヤ選定やボディ剛性などの対策が十分になされていないよう感じられる(ちなみにカローラツーリングの話。ベースのセダン(15インチ)のよさを17インチタイヤで台無しにしている)。

スカイラインNISMOは、後輪を標準車(400R)の245/40RF19から265/35R19へ20mmワイド化。また前後ウインドウの接着剤を改良し、車体補剛効果は400Rに対して全体捩り剛性値を約15%向上、リアの突き上げ感も解消させている

16インチなのに、18インチに見えるホイールデザインが登場してほしい!!

 昨今はどの自動車メーカーも、上級グレードを推しており、最上級グレードでないと「ダサい」といった雰囲気すらあるように感じる。上級グレードは、全ての装備が豪華仕様になっているので、どうしても魅力的に映る。ハイパワーなエンジンやプラグインハイブリッド(とても重たくなる)、カッコいいエアロパーツを付けたり、大径ホイールで幅太のハイグリップタイヤを履き(これらも重たくなる)、内装もゴージャスに飾ったほうが、商品としては圧倒的に魅力的だ(筆者も、そのほうが好き)。

 その反面、ベースグレードは、タイヤのゴム部がとても厚く、エクステリアやインテリアもシンプル(簡素)で、先進装備もついておらず、「野暮ったくてカッコ悪い」と映るかもしれない。しかし走りの素性は、間違いなくベースグレードのほうが優れている。できることならば、実際は16インチサイズなのに、18インチサイズのように見えるホイールデザインが登場してほしいと思う。

【キャンペーン】マイカー・車検月の登録でガソリン・軽油7円/L引きクーポンが全員貰える!

こんな記事も読まれています

シビック・タイプRが3台も参戦で「タイプR好き」なら注目必至! チーム力とドライバーの腕が勝敗を分けるS耐のST-2クラスから目が離せない
シビック・タイプRが3台も参戦で「タイプR好き」なら注目必至! チーム力とドライバーの腕が勝敗を分けるS耐のST-2クラスから目が離せない
WEB CARTOP
人気モデル研究 グレード選びのポイントはここ!【ホンダ・ヴェゼル編】
人気モデル研究 グレード選びのポイントはここ!【ホンダ・ヴェゼル編】
月刊自家用車WEB
モータースポーツの最高峰『F1』とスパークリングワインの王者『フェッラーリ』の間にある意外な共通点とは
モータースポーツの最高峰『F1』とスパークリングワインの王者『フェッラーリ』の間にある意外な共通点とは
カー・アンド・ドライバー
【ホンダ新型ヴェゼル 三択の方程式:解の壱】新設定の「HuNTパッケージ」は、アウトドアがもっと似合う!ヴェゼルに新風を巻き起こすモデルだ
【ホンダ新型ヴェゼル 三択の方程式:解の壱】新設定の「HuNTパッケージ」は、アウトドアがもっと似合う!ヴェゼルに新風を巻き起こすモデルだ
Webモーターマガジン
マツダの新旗艦『CX-80』、欧州市場に登場…3列シートSUV
マツダの新旗艦『CX-80』、欧州市場に登場…3列シートSUV
レスポンス
いまやその価値5億円!? バブル時代に人気絶頂だった“20世紀最高のスーパーカー” フェラーリ「F40」ってどんなクルマだった?
いまやその価値5億円!? バブル時代に人気絶頂だった“20世紀最高のスーパーカー” フェラーリ「F40」ってどんなクルマだった?
VAGUE
「交差点の中」で信号が赤に! そのまま進んだらNG?「違反」になる可能性は!? うっかり「立ち往生」防止に覚えるべき交通ルールとは
「交差点の中」で信号が赤に! そのまま進んだらNG?「違反」になる可能性は!? うっかり「立ち往生」防止に覚えるべき交通ルールとは
くるまのニュース
開発者に聞いたホンダGB350Cの魅力「外装はほぼ新設計&リアル金属」クラシック感を追求した豪華な作りに注目!
開発者に聞いたホンダGB350Cの魅力「外装はほぼ新設計&リアル金属」クラシック感を追求した豪華な作りに注目!
モーサイ
大型連休に行っておきたい! 都心のオアシスで絶品フルーツティーはいかが?
大型連休に行っておきたい! 都心のオアシスで絶品フルーツティーはいかが?
driver@web
タフさにこだわった DEEN.J × WERA コラボアイテム「電動グリップフィットドライバー」が発売!
タフさにこだわった DEEN.J × WERA コラボアイテム「電動グリップフィットドライバー」が発売!
バイクブロス
SUBARUサンバーを快走仕様!「ワイパーモーター不動からの復活」1
SUBARUサンバーを快走仕様!「ワイパーモーター不動からの復活」1
グーネット
1年以内に発売予定! トヨタが新型BEV「bZ3C」と「bZ3X」を北京モーターショーで世界初公開
1年以内に発売予定! トヨタが新型BEV「bZ3C」と「bZ3X」を北京モーターショーで世界初公開
THE EV TIMES
ハースF1の“持病”タイヤ問題、2024年シーズンで大きく改善も小松代表は「まだ完全には解決できていない」
ハースF1の“持病”タイヤ問題、2024年シーズンで大きく改善も小松代表は「まだ完全には解決できていない」
motorsport.com 日本版
三菱自動車、フィリピンで2023年度の販売台数大幅増加。新型トライトンの投入も後押し
三菱自動車、フィリピンで2023年度の販売台数大幅増加。新型トライトンの投入も後押し
driver@web
国道沿いのコンビニかと思ったら「高速道路PA」だった!? 一般道と“ほぼ一体化” 背景にある“方針転換”
国道沿いのコンビニかと思ったら「高速道路PA」だった!? 一般道と“ほぼ一体化” 背景にある“方針転換”
乗りものニュース
マツダ新型「SUV」世界初公開! 進化した“魂動デザイン”に「カッコよすぎる!」と反響!? 25年に中国で発売
マツダ新型「SUV」世界初公開! 進化した“魂動デザイン”に「カッコよすぎる!」と反響!? 25年に中国で発売
くるまのニュース
【ゴールデンウィーク渋滞予測2024】全国の道路別・渋滞予測まとめ!
【ゴールデンウィーク渋滞予測2024】全国の道路別・渋滞予測まとめ!
くるくら
アニメ『MFゴースト』相葉瞬×GT-Rのマンホールカードが小田原城で配布中! GWは小田原でマンホールめぐりだ!
アニメ『MFゴースト』相葉瞬×GT-Rのマンホールカードが小田原城で配布中! GWは小田原でマンホールめぐりだ!
くるくら

みんなのコメント

6件
  • kan********
    日本に入ってきている輸入車は、大概が本国では豪華仕様あるいはセカンドグレード以上を持ってきていることが多く、本当の意味でのベースグレードじゃないことが多いのです。
  • mn5********
    大きいタイヤはカッコいいけど冬タイヤのセット買うとき 夏タイヤを買い替えるとき「うーん…」ってなるよね しかもここ数年の物価上昇…
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

210.9256.8万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

119.0359.8万円

中古車を検索
カローラツーリングの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

210.9256.8万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

119.0359.8万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村