11代目となる新型シビックが2021年8月5日に発表となった。グローバル展開をする車種となっているシビックだが、11代目の日本仕様では先代で設定された4ドアセダンは廃止され、5ドアハッチバックのみの設定となった。
ゆくゆく設定されるであろうタイプRも想定して作られたシビックだけに、11代目は大きな進化があるはずだ。しかしベースグレードの価格は319万円と、先代(276万円~)を考えるとかなりの価格アップ。
本当の本当に本気なのか!? ホンダ、エンジン全廃の衝撃と可能性
今回は実車撮影会での撮影カットとともに、「爽快シビック」を標榜する11代目シビックの詳細に迫っていこう。
文:永田恵一/写真:成田颯一
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■5ドアハッチバックのみの設定
デザインは先代からキープコンセプトながら一層「キリっと」した11代目
6月にフルモデルチェンジが公表され、11代目モデルとなったホンダの基幹車種の1台であるミドルクラスカーのシビックが2021年8月5日に発表され、9月3日(金)に発売される。
日本仕様の新型シビックは既報の通り、ボディタイプは先代モデルの4ドアセダンと5ドアハッチバックから5ドアハッチバックのみとなった。
現時点でのパワートレーンは先代モデルのものを改良した1.5リッターターボ+CVTと6速MT、気になる価格はCVT、6速MTともに標準グレードのLX/319万円、上級グレードのEX/353万9800円である。
リアは少し丸みを帯びた。「爽快シビック」らしい躍動感もある
全体的に先代型10代目モデルのキープコンセプトとなる新型シビックではあるが、「爽快シビック」のコンセプトのもと、ドライバーとパッセンジャーという乗員全員が楽しく、快適に気持ちよく過ごせるクルマを目指して開発された。
なお、先代シビックの5ドアセダンはイギリス工場生産の輸入車だったが、新型シビックはイギリス工場の閉鎖もあり、日本の寄居工場での生産となる。
■エクステリアとインテリアも新型は迫力あり
フロントノーズが伸び、リアオーバーハングが縮まったことで数値以上にフロントが長く見える。FR車のようないで立ちだ
ボディサイズは全長4550mm(先代+30mm)×全幅1800(先代±0)×全高1415mm(先代-20mm)、ホイールベース2735mm(先代+35mm)と、数値では先代より僅かに大きくなった。
しかし、実車を見ると全高が下がったのと、フロントオーバーハングが15mm拡大(リアオーバーハングは-20mm)されたせいもあるのか、ボディサイズの拡大分以上にボリューム感がある印象だ。
インテリアは水平基調のダッシュボードやハニカムパターンのメタルハンチングとなるエアコンの吹き出し口、液晶メーターが目立つインテリアは、前方視界の良さやスポーツ性も持つシビックのキャラクターにふさわしい低めのドライビングポジションが好印象だった。
ただ、ペダルレイアウトがやや中央寄りだった点が先代モデルから改善されていなかったのはちょっと残念である。インテリアの質感は同クラスの水準以上ではあるが、価格を考えると相応といったところだ。
また実車確認で高く評価できたのがリアシートである。まず乗降性はルーフがボディ後方に行くに従って傾斜するクーペルックながら、足元の通過性も含め良好だ。
コックピットは水平基調で非常に視界がクリア。エアコン吹き出し口なども斬新で質感は上質だ
リアシート自体も足元空間の広さをはじめ、頭上と側頭の空間も十分に確保されているのに加え、座ってみた居心地がよく、リアシートは「爽快シビック」というコンセプトがよく分かる部分だった。
5ドアの魅力でもあるラゲッジスペースだが、高さがあるためか、車格や5ドアハッチバックというボディタイプを考えると広く、先代モデル同様ゴルフバッグ3つが収納可能だという。
さらに床下収納も42リッターと大容量で、ラゲッジスペース自体との合計は452リッターと、先代モデルに対し32リッター拡大されている。また、バックドアの開閉軌跡も37mm短縮されているので、車両後方が狭いところでの荷物の積み下ろしのしやすさが向上している点も評価できる。
ちなみに先代モデルでちょっと話題になった、横方向に開閉する面白い形状のトノカバーも継続されている。
■高い走行性能を予感させるテクノロジー
ハイオク仕様のエンジンは先代モデルからの正常進化。「EARTH DREAM」などの化粧プレートなどがなくなってかなりサッパリした印象
●プラットホーム
クルマの土台となるプラットホームは先代モデルと共通だが、ボディ剛性の向上と軽量化に注力されている。具体的には、前者はフロントバルクヘッドやサスペンションが付くストラット周り、フロア、リアシートとラゲッジスペースの境目周辺などに補強により、ボディ剛性の1つであるねじり剛性は19%向上。
さらにドア開口部周りをはじめとしたボディパネル接合部への構造用接着剤の適用が先代モデルの9.5倍に拡大されている点もボディ剛性の向上に大きく貢献している。
後者はアルミ製ボンネットの採用やバックドアの樹脂化などが行われ、車重は先代モデルのCVTの1350kgに対し新型のLX(CVT)は1360kgと、プラットホームを変えずにボディ剛性や衝突安全性の向上といった重量が増える要素ばかりのなかで車重をキープしたことは高く評価できる。
●パワートレーン
冒頭に書いた通り、現時点で搭載される1.5リッターターボはハイオク仕様で182馬力の最高出力は先代モデルと同じ、CVT/22.4kgm、6速MT/24.5kgmだった最大トルクもCVTの大容量化もありCVT、6速MTともに24.5kgmになったくらいで、スペック的な変更はほとんどない。
しかし、ターボチャージャーの見直しやエキゾースト側にもVTEC(可変バルブタイミング機構)が加わったことなどによるレスポンスの向上をはじめとした、主にフィーリングの改善が行われている。
タイプRやe:HEVを考慮してかエンジン前には担当編集の大きな拳(約10cm)も入るスペースが。デザインのためだけとは思えないが……
なお、カタログに載るWLTCモード燃費も先代モデルの16.4km/Lに対し、新型は16.3km/L(数値はすべてCVT、6速MT共通)と同等だ。
トランスミッションはパドルシフト付CVTに加え、先代モデルで約30%を占め、シビックを選ぶ大きな理由の1つとなっていた6速MTも継続された。筆者個人は先代モデルの6速MTに対し、クラッチフィールとアクセルレスポンスが今ひとつな点を主な理由にシフトの楽しさが期待値に届いていないという印象だった。
しかし、新型は適度な剛性感などシフトフィールの向上は確認でき、数少ないMT車だけに走らせた際にも楽しいMTになっていることを期待したい。
■先進安全装備の拡充と価格のバランス
●先進安全装備の進化
LX、EXともに装備される自動ブレーキやCVTでは停止まで対応する先行者追従型のアダプティブクルーズコントロールなどから構成されるホンダセンシングも進化している。
ハードウェアが単眼カメラとミリ波レーダーを使ったものから、現行フィットやヴェゼルといった最新のホンダ車同様の単眼カメラのみを使うものとなった。主な進化としては65km/h以上での作動だった操舵支援が、65km/h以下でも一定条件が揃うと渋滞中などでも作動するトラフィックジャムアシスト付となった点が挙げられる。
●グレード構成、価格の妥当性
BOSEのスピーカーなどもオプションで用意される
価格は先述したとおり、LX/319万円、EX/353万9800円である。車格やシビックというイメージを考えると高くも感じるが、先代モデルの5ドアセダンの294万8000円からLXの価格を考えてみよう。
新型シビックのLXの装備内容は一般的なフル装備に加え、カーナビや斜め後方を監視し、進路変更の際などの事故防止に絶大な効果を持つブラインドスポットインフォメーションも標準装備されており、この点を加味すると、相対的というかシビック同士での24万2000円の値上げは妥当ではある。
上級のEXにはLEDフォグランプ、アクティブコーナリングライト、フロント左右のパワーシート、7インチから10.2インチとなる液晶メーター、12スピーカーのBOSEオーディオ、ウルトラスエード地となるプライムスムースとのコンビシート、ホイール(18インチのサイズ、デザイン自体は同じ)やドアモールといった内外装の各部の加飾が加わる。
EXに加わる装備内容は約34万円高額になるのに対し微妙にも感じるのに加え、353万9800円という絶対的な価格がシビックの標準車に見合うものなのかという疑問もあり、LXで十分に感じる。
ただ、ライバル車の価格を新型シビックのLXと装備内容を極力揃え何台か挙げると、インプレッサSTIスポーツ2WD/約300万円、マツダ3Xプロアクティブ(スカイアクティブXエンジン搭載車)/約337万円、ゴルフeTSIアクティブ(1リッター3気筒エンジン搭載車)/約350万円だ。
トランクルームは後席を倒さなくても圧倒的な容量。後席を倒せばコストコやIKEAでの買い物も怖くない!?
今のところ新型シビックは強いパンチを感じないのもあり、このクラスは激戦区だけに良し悪しはあるにせよ個性的なモデルが揃うのを考えると、現時点では新型シビックの価格競争力は弱いと言わざるを得ない。
実車確認まででは「買いたくなるひと押し」のようなものに欠けるというのが率直な印象の新型シビックだが、乗ってみたら「価格も納得できる楽しいクルマだった」などのサプライズ的なものがあればいいと思う。
また、新型シビックには2022年に2モーターハイブリッドとなるe:HEVとタイプRが追加される予定だ。新型シビックにe:HEVがあるとなるとインサイトとの関係も気になるところで、今揺れているホンダのラインナップの再編成のひとつにも感じるが、ラインナップも含め新型シビックが新生ホンダの序章のようなクルマとなることを期待したい。
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みんなのコメント
これでは勝負になりません
世界ではカローラの7〜8割くらいの台数が売れているんですけど日本ではカローラの1割も売れないでしょう