新型車比較・ライバル車対決 [2022.06.11 UP]
三菱&日産・新型軽EV見くらべガイド
ついに軽自動車にもBEVの流れが一気押し寄せてきた!
日産と三菱から2台の新型モデルが同時に登場したのだ。
ベースは同じながら驚くほど異なる個性。
高い性能を秘めているにもかかわらず、
補助金を考慮すれば実質190万円弱で手に入るというから、
これは見逃せないぞ。
●文:川島茂夫 ●写真:奥隅圭之
個性は相当異なるけれど
共に次世代を牽引する存在
ニッサン版の「サクラ」、ミツビシ版の「eKクロスEV」はプラットフォームやパワートレーンを共用する姉妹車の関係にあるが、立ち位置は結構異なっている。
サクラは車名が示すとおりデイズ/ルークス系と別系統モデルとして開発。プラットフォームなど共用部もあるが専用開発の内外装を採用。外装はフロントウインドウ以外が専用に起こされ、光沢仕上げのフロントマスクはアリアと似たデザインだ。
内装ではインパネ周辺が見所。センターディスプレイを一体化したメーターなどもアリアと同系統デザイン。また、助手席前面を連続する棚状造形にするなど、デイズ系とは見た目の印象も雰囲気も大きく異なる。木目調加飾や色調など、煌びやかさや古典的コックピット感を抑えて上質な味わいとしているのもアリア的である。
一方、eKクロスEVはeKクロス系の最上位に位置するBEVとして開発されている。もっとも、eKクロスのコンセプトがハイト系ミニでもプレミアム志向が強く、サクラと車格的キャラ付けにおいては少し似たところもある。
内外装は内燃機車のeKクロスとほぼ共通。とくに外観は一目でEVと識別するのは難しいほど。内装もシフトと空調関連の操作パネルの形状や加飾が異なるが、インパネの基本デザインやレイアウトも共通している。
なお、キャビンユーティリティはサクラとeKクロスEVともに同じ。後席は左右独立スライド&リクライニング機構を備え、4名乗車でも荷室容量は十分だ。
装備面では両車ともに全車に緊急停止支援システム等を備えた最新のプロ(マイ)パイロットを設定するが装備設定が異なり、サクラの最上級グレードのみ標準装備。その他はOP設定となっている。また、新規採用となった半自動駐車システムのプロ(マイ)パイロットパーキングは両車とも最上級グレード限定のOP設定だ。
車載IT及びオーディオ関連は両車の相違点の一つ。共に自社展開のコネクティッドサービスを採用するが、サービス内容が多少異なっているのも注意点だ。
別項で解説するが、走行関連のハードは共通。居住性や使い勝手もほぼ同じ。内外装の印象が随分と違った両車だが、BEVらしい先進性とハイト系ミニとしての実用面のまとまりのよさなど、基本の部分の完成度の高さは同等。内外装の好みで選べば、どちらを選択しても軽乗用では最良の走りとプレミアム感を得られる。タウンカーに先進とプレミアムを求めるなら、筆頭候補になるはずだ。
NISSAN SAKURA(サクラ)
●発表日:'22年5月20日
●価格:233万3100~294万300円
●問い合わせ先:0120-315-232(日産自動車お客様相談室)
日産EVシリーズのエントリーモデルとしての立ち位置
コンセプトは……
“これからの未来”を予感させる
洗練された佇まいがとてもモダンだ
アリアとともにニッサンBEVシリーズのエントリーラインとして開発されたモデル。先進感やプレミアム感も十分な内外装が品良くまとまっている。洗練感と安心感の走行性能等々が長い付き合いを予感させるタイプ。航続距離から短中距離用途向けになるが、室内の雰囲気はモダンリビングそのもの。ついつい長居したくなる居心地の良さだ。
グレード G ●車両本体価格:294万300円 ●ボディカラー:ホワイトパール/チタニウムグレー 2トーン(有料色)
アリアに通ずる艶やかなフロントフェイスが先進感たっぷり。驚きなのは、贅沢にもフロントウインドウ以外の外装がすべて新規に作られていることだ。
グレード G ●車両本体価格:294万300円 ●ボディカラー:ホワイトパール/チタニウムグレー 2トーン(有料色)
左右を一直線につなぐリヤコンビネーションランプ。アリアやノートのガーニッシュデザインにも似ている。
ベーシックグレードのX。最上位グレード“G”との外装の差異はほぼない。車名にピッタリなブロッサムピンクの2トーンカラーが似合う。
標準装備の14インチアルミ。上級のGグレードには15インチもオプションで設定。
フラッシュサーフェスされたフロント回り。Vモーションを新しいアプローチで表現。
充電口キャップにも“和”を感じさせるデザインが施されている。下側が急速充電用。
バックドアにはSAKURAのエンブレム。ちなみに書体はアリアと同じなのだとか。
●ボディカラー
※1:7万7000円高 ※2:6万6000円高 ※3:3万3000円高
ブロッサムピンク/ブラック 2トーン(有料色※2)
ソルベブルー/チタニウムグレー 2トーン(有料色※1)
暁-アカツキ-サンライズカッパー/ブラック 2トーン(有料色※1)
ホワイトパール/チタニウムグレー 2トーン(有料色※1)
スパークリングレッド/ブラック 2トーン(有料色※2)
チタニウムグレー/ブラック 2トーン(有料色※2)
フローズンバニラパール/ブラック 2トーン(有料色※2)
ソルベブルー/ブラック 2トーン(有料色※1)
ホワイトパール/ブラック 2トーン(有料色※1)
ブラック
スターリングシルバー
スパークリングレッド
アッシュブラウン(有料色※3)
ソルベブルー(有料色※3)
ホワイトパール(有料色※3)
MITSUBISHI eK X EV(イーケー・クロス・イーブイ)
●発表日:‘22年5月20日
●価格:239万8000~293万2600円
●問い合わせ先:0120-324860(三菱自動車お客様相談センター)
eKシリーズのひとつのグレードとしてEVが選べる!
コンセプトは……
ベースとなる「eKクロス」の
個性を保ちつつBEVモデル化
見た目の通り、eKクロスをBEV化したモデルだ。試乗前なので走りの評価はできないがサクラと同レベルとすれば、内燃機車に比べて走りの質感も余裕も向上。軽乗用にプレミアム性や個性を求めてeKクロスを考えているユーザーにとってBEV化は魅力大幅アップ。精悍なeKクロスのイメージを尊重するユーザーにとくにお勧めだ。
グレード P ●車両本体価格:293万2600円 ●ボディカラー:ミストブルーパール×カッパーメタリック(有料色)
BEVは特別なモデルではなく、グレードのひとつとして選んでほしいというメーカーの想いから、敢えて内燃機車と同じ外装が採用されている。
グレード P ●車両本体価格:293万2600円 ●ボディカラー:ミストブルーパール×カッパーメタリック(有料色)
ラギッド感溢れるアクティブなフォルムがeKクロスの魅力。こんなアクティブなルックスのBEVってなかなか無いよね!?
ミニマムサイズにもかかわらず、強い存在感のフロントフェイス。内燃機車と共通だ。
数少ない外装上の特徴がフロントフェンダー脇にある「EV」エンブレムだ。
上級のPは15インチアルミを標準装備。ベーシックグレードのGは14インチになる。
リヤゲートにEVのエンブレムを装着。ベースモデルとの差異は驚くほど控えめだ。
アクティブイメージを印象付けるルーフレールはOP設定。アウトドアフィールドが似合いだ。
車体右後方に充電口を備えるのはサクラと同じ。上が通常のAC200V充電口だ。
●ボディカラー
※A:8万2500円高 ※B:6万500円高 ※C:3万3000円高
オリーブグリーンメタリック(有料色※C)
ナチュラルアイボリーメタリック(有料色※C)
ミストブルーパール×カッパーメタリック(有料色※A)
ホワイトパール×ブラックマイカ(有料色※A)
ミストブルーパール(有料色※3)
レッドメタリック
ブラックマイカ
レッドメタリック/ブラックマイカ(有料色※B)
ナチュラルアイボリーメタリック/カッパーメタリック(有料色※A)
オークブラウンメタリック/ナチュラルアイボリーメタリック(有料色※A)
インテリアを比較
外観以上に印象が異なる!
見た目の違いに注目しがちだが、実はサクラとeKクロスEVは内装の方向性も面白いほど異なるのだ。選び分けのポイントともなるだけにじっくり観察していただきたい。
NISSAN SAKURA
モダンリビングのような開放感
ノートオーラにも近い価値観だ
アリアにも似たツインパネル。モニターがつながっているように見えるのが面白い。
上級グレードのGなら本革巻ステアリングもOP選択可能。上質感をさらに高める。
カジュアルシックなモダンファニチャーデザインと優しいファブリックが心地いい。
ベンチタイプの前席だがサポート性は良好だ。後席は前後独立スライド機構も備えており、足元スペースも脚が組めるほど十分。
センターコンソールのドリンクホルダーには遊びゴコロを感じさせる桜のモチーフ。
メーターパネルには高機能な大型7インチのTFTディスプレイを備える。
X、Gグレードともに標準シート地はトリコットだ。GグレードのみOPで合皮コンビも選択可。
左右独立前後スライド機構を備えた後席。格納時にやや段差ができてしまうのが惜しいところ。省スペースながら床下収納も備える。
MITSUBISH eK X EV
“気負い”させないのが好印象!
BEVが普通になったらこうなる?
Pグレードは9インチセンターディスプレイを標準装備する。スマホナビ連携機能付き。
eKクロスと異なるのが空調の操作パネルだ。ヒドゥンタイプの表示になっている。
夜間でも視認性に優れたデジタルミラーをG、PグレードともにOP設定している。
たっぷりとしたシートで座り心地は良好。後席にはリクライニング機構も備える。
7インチ大型カラー液晶メーターがBEVモデルの特徴。視認性に優れ、高機能だ。
BEVモデルならではの電制シフト。クリック感もわかりやすく、操作性に優れている。
後席乗員に配慮したシートバックポケット。スマホ用の小さいポケットがあるのが嬉しい。
サクラと同様のラゲッジユーティリティ。普通のハイト系軽自動車として使える利便性を備える。床下には充電ケーブルを格納可。
注目メカニズム&先進機能
BEVモデルへの変更点が意外と多い
急速充電に対応している点にも注目
基本車体骨格やフロアパネルはデイズ系/eK系と共通。バッテリーパックは強固な鉄製格納ケースに収納され床下に置かれる。バッテリー冷却には最近のBEVで採用車が増えている冷媒併用式を用い、充放電効率向上を図った。なお、フロントサスは内燃機車と同じストラットを採用するが、リヤサスはバッテリーパックのスペース確保のために3リンク式に変更。フットブレーキは回生協調型電子制御式を用いる。駆動モーターはBEVやハイブリッド車では標準的な永久磁石を用いた同期型を採用している。充電方式はAC200V普通充電とチャデモ式DC急速充電を標準装備。200V14.5Aの普通充電による満充電までの充電時間は約8時間だ。
軽とは思えない、モーターならではの大トルク
SAKURA
eK X EV
両車ともに最高出力47kW、最大トルク195Nmの交流同期型モーターを採用。出力こそ軽自動車の自主制限値だが、ターボ車をはるかに凌駕するトルクを発生。正直、速い!
EV用に最適化されたパワートレーン配置
※画像はSAKURA
※画像はeK X EV
軽自動車というミニマムな車体スペースの中で駆動用バッテリーの搭載スペースを確保するために考え抜かれたレイアウト。パワートレーンもコンパクトにまとめられている。
軽自動車初! 半自動駐車機能
※画像はeK X EV
両モデルともに上級グレードでのOP設定となるが、先進運転支援機能として注目が高まっている半自動駐車機能を装備可能。縦列駐車にも対応しており、使い勝手がいい。
高速道路での運転支援機能も充実
※画像はSAKURA
サクラは上級のGグレードに標準装備(XグレードにはOP設定)。eKクロスEVは全グレードでOPとなるが、先進運転支援機能のプロ(マイ)パイロットも搭載可能だ。
街乗りラクラク! 1ペダルドライブ
※画像はSAKURA
若干の慣れは必要だが、アクセルペダルの操作だけで思い通りに加減速が行えるのも魅力。ゆっくりと動き出すクリープ機能も備えているため、慣れればラクラクドライブが楽しめる。
SAKURAとeK X EV「選び分けのポイント」
想像以上に個性が異なる姉弟モデル!
サクラとeKクロスEVとの選び分けは内外装の好みでいい。両車ともにコスパ面で悩ましいのがプロ(マイ)パイロットをどうするかだ。ACCとLKA以外の安全装備の大半は全車標準装着。一般道を主とする短中距離用途ならACC/LKAの必要度は低め。予算に余裕があれば装備した方がいいが、コミューター用途限定ならベーシック仕様でもいい。
おすすめグレード
NISSAN SAKURA X 価格:239万9100円
MITSUBISHI eK X EV G 価格:239万8000円
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みんなのコメント
他社の軽自動車担当でしょうか?
それにしてもカラーリングが高額過ぎると思いました。