一般道走行とサーキット走行で特性を切り替え可能
新型「シビック タイプR」が発表されました。タイプRというと、とにかくサーキットベスト、速さだけを極めたメーカーチューンドカーというイメージが強いのですが、新しいシビックタイプRは違います。ターボエンジンや電子制御サスペンション、電動パワーステアリングの特性などをスイッチひとつで切り替えることにより、市街地走行での気持ちよさとクローズドコースでの限界性能を両立させることを目指しています。
世界トップレベルの速さと日常での快適性を両立するというのは、初代NSXの掲げた「エブリデイ・スーパーカー」というコンセプトにも通じます。シビックタイプRは完全にひとつ上のフェイズに進化したといえそうです。
ホンダ、新型シビックタイプR発表。“ピュアエンジン・タイプRの集大成”として速さと走りの喜びを追求
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スペックは非公表だが最高速は現行型を上回る
そんな新型シビックタイプRですが、現時点では各種スペックは発表されていません。パワートレインについては従来型から進化したVTECターボエンジンや6速MTの採用が注目されますが、排気量や最高出力は未公表。最高速が従来のタイプRを超えることは明言されているので、最高出力や変速比が変わっている可能性は十分にあります。
一方、いかにもタイプRらしいレーシーな雰囲気は不変。「洗練と機能の一体化」を意識したというデザインは、ロー&ワイドなスポーツカーらしいたたずまいで、ハイパワーエンジンに対応する大きなバンパー開口部と、熱抜きのために新設されたボンネットダクト、フロントフェンダーダクトやサイドシルスポイラーを備えます。
また、265幅のタイヤを飲み込むワイドなリヤフェンダーに大型リヤスポイラーといった空力デバイスもタイプRらしいディテールといえるでしょう。
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JASモータースポーツの空力ノウハウも採用
筆者のプロトタイプへの印象は「シーズン前の初期テストに持ち込まれたレーシングカーのようだ」というもの。空力パーツやスポンサーロゴをつけていないプレーンな状態に、かつてシビックが参戦していたツーリングカーのレースWTCCのようなカテゴリーのマシンに通じる凄味を感じたのです。
そうした印象を開発者に伝えると、「WTCCでシビックを走らせていたヤスレーシングにも相談して、空力セッティングには彼らの知見も取り入れています」ということでした。こうしたエピソードからも徹底的に速さを追求していることがうかがえます。
インチダウンの理由はタイヤ幅を広くしたかったため
新型シビックタイプRのボディサイズ(メーカー測定値)は次のようになっています。
全長:4595mm(+35)
全幅:1890mm(+15)
全高:1405mm(-30)
※()内は先代シビックタイプRとの差
先代でも十分にワイドだったボディが、さらに幅広くなっているのは、まさに機能が生んだシルエットです。注目したいのはタイヤサイズの違い。先代は245/30R20でしたが、新型では265/30R19と、幅広いタイヤを収めるためにワイドボディが必須になったのです。
興味深いのは、いまどきのスポーツカーとしては珍しくタイヤをインチダウンしていることで、タイヤの幅を広くすることが最優先したため、という説明がありました。タイヤの幅を広くしつつ内径を維持するとタイヤ外径が大きくなってしまいます。ホイールハウスに収めるためにはインチダウンが必要だったということのようです。
新型シビックタイプRではリバースリム(ホイールのリムの外周部分=フランジに段がなく、ホイール径が大きく見える特徴がある)を採用しているため、インチダウンしたとは思えないほどホイーに存在感があります。
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伝統のインテリア。ターボはハイブースト仕様か?
レーシングな雰囲気はコクピットに存分に展開されています。シビックタイプRの伝統ともいえる赤いセミバケットシートに腰を下ろし、アルカンターラ巻きのステアリングホイールを握った先には、タイプR専用にデザインされたフル液晶メーターが確認できます。もっともレーシーな「+Rモード」にすると、かつての「S2000」を思わせるようなバーグラフタイプのタコメーターやレブインジケーターによって情報が見やすく整理されているのは好印象。レブリミットは7000rpmとなっていました。
インパネ中央のナビ画面に6連メーターを表示できるのもスポーツカーらしい部分。筆者がちらりと確認した限り、メーターの表示項目は水温/油温/油圧/スロットル開度/舵角/過給圧となっていました。そして過給圧は最大200kPaまで表示できるようになっているのは意味深です。かなりのハイブースト仕様になっているのかしれません。
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データロガーアプリ「Honda LogR」にも注目
また、こうした画面表示の中には街中での上手な運転の参考になるランク&アドバイス機能が備わっているのもユニークです。標準装備のデータロガーアプリ「Honda LogR」によって走行データを自動解析してスコア化。サーキット走行だけでなく、日常のドライビングでも運転スキルを高めていくことができるわけです。
シビックタイプRオーナー同士で情報共有することも可能。たとえば、サーキット走行において納得いく走りができたときは、アプリの連携機能を使って情報共有すれば、他のオーナーがスキルアップを図るといったこともできます。ラップタイムも車両側が自動的に計測するので、計測装置を別途購入する必要もないとのこと。
また、新型シビックタイプRにはスピードリミッターの解除機能が標準装備され、GPSの位置情報に連動してサーキット内においてのみリミッター解除が可能になるという仕様なるということです。
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文:山本晋也
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みんなのコメント
まあ、この2車種に共通点はないが、スポーツカー好きとしては少し悩ましい。
シビックタイプRに凄みはあっても、フェアレディZの魅力もすごい。
シビックタイプRは4ドアで便利で速くて維持費も安いだろうが、フェレディZ(特に標準モデル)のスタイルは素晴らしい。