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ベン・スレイエムFIA会長がF1新チームの受け入れを推し進める理由「上限は12チーム……我々はルールに従っているだけだ」

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ベン・スレイエムFIA会長がF1新チームの受け入れを推し進める理由「上限は12チーム……我々はルールに従っているだけだ」

 今年の初め、FIAはF1に新規参入することを希望するチームを選ぶための入札の受付を開始した。この新規チームの選定作業は現在も進められており、アンドレッティ・キャデラックやハイテック、クレイグ・ポロック率いるフォーミュラ・イコールなどが手を挙げたとされている。

 しかしF1に参戦するチーム数を増やすことについては、現在参戦中のチームやFOM(フォーミュラ・ワン・マネジメント)は否定的。F1のCEOを務めるステファノ・ドメニカリも、10チーム以上を参戦させる必要性については懐疑的だ。

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 彼らが否定的なのは、チーム数が増加するとサーキットの設備が狭くなってしまうこと、そして物流の面の影響を考慮したからでもあるが、最大の理由は商業的な影響にある。

 しかしFIAのモハメド・ベン・スレイエム会長は、新チームを受け入れることに対して疑念が寄せられているものの、それには動じておらず、より多くのマシンをグリッドに並べることは正しいことだと考えている。

 motorsport.comの姉妹サイトであるMotorsport-Total.comの独占インタビューに答えたベン・スレイエム会長は、「我々には契約があり、その契約には最大で12チームと書かれている。我々はルールを破ったわけではなく、むしろルールを遵守しているんだ」と語った。

「規制当局であるFIAとしては、全てのリクエストを検討する必要があるため、我々はそうしたまでだ。興味を示したのは正しいことだった。一部のチームが満足していないのは承知している。チームに経済的な影響があるのは、目に見えているからね」

「チームを追加するのか、それとも既存のチームを買収する必要があるのか、それは私がビッグチームに押し付けるようなことではない。しかし我々がしなければいけないのはプロセスであり、財務面と技術面の調査を行なうことだ」

■決断が遅れている理由は?

 申請の際に提出された書類の審査期限は当初は6月末であったが、FIAはその分析を確実に行なうため、結果の発表が後ろ倒しされている。しかしながら、F1の夏休みが明けた直後には発表される可能性もある。

「一部のチームが、時間を延長するよう求めたため、(審査期限を)延長させている。我々は彼らを排除するべきじゃないのだ」

 そうベン・スレイエム会長は付け加えた。

「柔軟でなければいけない。決断には細心の注意を払う必要があるため、まだ終わっていないのだ」

「これは重要なプロセスだ。決断は非常に明確でなければいけないので、急ぐのはよろしくないと思う」

 最終的な決断はいつ下されるのか? そう尋ねられたベン・スレイエム会長は、「そう遠くはない。4~6週間程度だと思うと答え、次のように続けた。

「その作業を正しく行なう必要があるのだ。我々は、人々が巨額の投資を行なうモノについて話しているのだからね」

「計画がどうなるかを確認するために、今は6週間ほど待つ必要がある。FOMが正しい決定を下してくれることを、私は信じている。彼らも、どうすることがより良いのかを理解しているはずだ」

 ベン・スレイエム会長によれば、全部で5~6件の新規参入を希望する申請があり、そのうち3~4件は「非常に現実的」な内容であったという。

■法的な問題がある?

 FIAがF1新チームの選定を進めていく上で、法的なリスクも存在すると言われる。

 情報源が示唆するシナリオのひとつは、1~2チームがFIAによってF1参入を承認されたものの、FOMと既存のF1チームを満足させる商業的な契約を結ぶことができず、参戦を実現させることができないということだ。

 新チームの承認において重要なのは、同チームが参入することで損なわれることが予想される既存チームの損失を穴埋めするために支払われる”補償金”の額である。

 現在のコンコルド協定では、この金額は2億ドル(約285億円)と設定されているが、将来的にはこの金額が最大3倍に引き上げられる可能性があると見られている。

 FIAによって承認されたにもかかわらず、この商業的契約の面でF1参入が認められなかったチームが出てきた場合には、法的措置に発展する可能性もある。ベン・スレイエム会長もその可能性を認めている。

「申請したチームのひとつが、法廷での争いに持ち込んだらどうなるだろうか? 我々がその段階で参入を拒否すれば、彼らはそうすることができる」

 ベン・スレイエム会長はそう語った。

「それは私についてではない。私はルール通りに動いているだけだ」

■参戦が認められても、十分な”場所”がない?

 新チームを受け入れた場合の現実的な問題のひとつが、現在F1を開催しているサーキットの多くが、新チームを収容するだけのガレージを持っていないということだ。また20台以上のマシンが一度にコース上を走れば、特に予選で安全上の問題が生じる可能性があるとの主張もある。

 しかしベン・スレイエム会長は、特定のレースでは今年、ブラッド・ピット主演の映画撮影用のガレージが設けられていることを挙げ、そういう問題を軽視した。

「ハリウッドのおかげで、我々はすでに”11番目”のチームを迎え入れている」

 そうベン・スレイエム会長は言う。

「そしてコースは改善されている。FIAは常にサーキットに寄り添い、常に改善する方法を模索している」

 現在のサーキットの大きさは十分だと思うかと尋ねられたベン・スレイエム会長は、次のように語った。

「100%そうだ。10~12チームである場合、彼らはそれに従わなければいけない。我々のサーキット委員会は常にそこにおり、そしてプロセス全体をチェックし、実行している」

「全ての人が満足するレギュレーションを設けることなどできない。結局のところ(2026年からの)パワーユニットのレギュレーションについて、全員が満足したかい? それはノーだ。しかし、最終的にはまとめることに成功し、全員がサインしたんだ。そして、新しいチームも賛同した」

「ルールを破棄することはできない。私は、それについてのアイデアを申し上げるつもりはない。しかし申請があり、それを収納するのに十分なスペースがあるのならば、その申請を検討する必要がある」

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