フォーミュラEに創立1年目から参戦しているルーカス・ディ・グラッシは、シーズン11(2024-25年)からシリーズに参入するヤマハ/ローラのパワートレインを搭載したマシンのテストで良い感触を持ったようだ。
アウディとタッグを組んでいたアプトで計7シーズンに渡ってフォーミュラEを戦い、シーズン3のチャンピオンに輝いたディ・グラッシ。アウディの撤退後はベンチュリ、マヒンドラを経由し、シーズン10(2023-24年)にアプトへ復帰した。
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シーズン10はクプラと組み、マヒンドラのパワートレインを使用していたアプトだが、シーズン11からはヤマハとローラが共同開発したパワートレインを搭載したマシンでシーズンを戦うことになる。
2012年に経営破綻し、2022年にイギリス人実業家ティル・ベヒトルスハイマーによって復活したローラにとっては、復活後初の大規模なモータースポーツプロジェクトとなる。MotoGPなど主にバイクの世界でモータースポーツに挑戦し続けてきたヤマハにとっても、全く新たな挑戦となる。
ヤマハとローラのフォーミュラE参戦初年度となるシーズン11は簡単な戦いにはならないと予想されるが、motorsport.comの取材に応じたディ・グラッシは、6月の最初のシェイクダウンで始動したプロジェクトは「非常に印象的な形で誕生した」と語り、12月7日にサンパウロで開幕するシーズン11に向けて準備を進めていると話した。
「パワートレインをゼロから開発し、ソフトウェアをゼロから開発し、チーム全体をゼロから開発することがいかに複雑な作業であるかを考えると、現段階でのチームの組織レベルや位置づけには非常にポジティブに驚いている」とディ・グラッシは言う。
「マシンの信頼性は高く、2000~2500kmは走った。多くの進歩がある。クルマはとてもスムーズに走っている。僕の目から見ると、とても効率的に見えるし、とてもいい感じだ」
「バレンシアのテスト(11月4~7日)に行ってみないと、他のマシンと比べてどの程度いいのかは分からない」
「だけど走行距離の面でも、人の面でも、みんながどのように関わっているかという面でも、(状況は)ポジティブだ」
シーズン11から、フォーミュラEはマシンがGen3”Evo”に進化する。技術的に最も注目すべき変更点は、アタックモードや予選デュエル、レースのスタートで4輪駆動となることだ。
ディ・グラッシは、これがテストにおける重要な焦点だったと説明し、フロントアクスルに50kWのパワーを送ることでパフォーマンスが向上することにすでに衝撃を受けていると語った。
「フロントに50kWのパワーが伝達されるだけで、それほど大きな変化はないように聞こえるが、マシンは完全に変わり、1.5秒から2秒速くなるんだ」
「4輪駆動になることで、アタックモードを使ったレース戦略のダイナミックさが大きく変わり、クルマをどう走らせるか、どのラインを取るか、どうアプローチするかも大きく変わるだろう」
ニコ・ミューラーがアンドレッティに移籍することになったため、ディ・グラッシのアプトでのチームメイトが誰になるかは発表されていない。一方で、テクニカルディレクターにはピーター・マックールが起用された。
マックールはスーパーアグリでチーフデザイナーを務めた後、2009年から2012年までローラに在籍。古巣に戻る形となる。また、同じくスーパーアグリでテクニカルディレクターを務め、現在はローラでモータースポーツディレクターを務めているマーク・プレストンとも再会することとなった。
ローラはすでに、2030年までのフォーミュラE参戦継続を確約。技術提携するヤマハとしても、Gen4以降の参戦継続について「前向きに検討していく」という。
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