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カスタムカー「HOTROD」は禁酒法が由来!?「警察を振り切れ!」運び屋の道楽、いまやアメリカ文化の代名詞に

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カスタムカー「HOTROD」は禁酒法が由来!?「警察を振り切れ!」運び屋の道楽、いまやアメリカ文化の代名詞に

禁酒法による混乱の「落とし子」として誕生

 大排気量のV8エンジンの心臓を持つアメリカ車をベースに、皆を振り返らせるように派手に内外装をドレスアップしたうえで、スピードと加速性能を追求した改造を施したカスタムカーのジャンルを「HOTROD(ホットロッド)」と言います。

【え、日本円で買えるの!?】驚きの値札が掲げられた「ホットロッド」も(写真)

 HOTORODは、アメリカのモーターカルチャーを語るうえで欠かすことのできないものであり、その語源については、エンジンパーツのコンロッドもしくはプッシュロッドが改造によって焼けるように熱くなるからという説や、ロードスター(2人乗りのオープンカー)がベース車に選ばれることが多く「HOT ROADSTER」を略してHOTRODになったなど諸説あり、正確なことはわかっていません。

 ただ、語源についてはともかく、HOTRODの起源についてはハッキリしています。その始まりは1920年1月にアメリカで施行された禁酒法が深く関係しているのです。

 飲酒運転が犯罪とされていることからもわかる通り、酒とクルマほど相容れないものはありません。では、なぜ禁酒法がHOTROD誕生に関係しているのでしょうか。その前に禁酒法とはどんな法律だったのか、簡単に解説しておきましょう。

 禁酒法とは米国禁酒協会や宗教団体、女性団体などが世論を後押ししてできた法律で、アルコールによる健康への影響や飲酒による犯罪、そして家庭内暴力の根絶を目的に成立しました。この法律は一般に飲酒を禁じた法律と思われがちですが、じつはアルコール飲料全般の製造、販売、輸送、輸出入のみを禁止しており、飲酒行為そのものについては違法とされませんでした。

 そのため法の抜け道として酒の入手手段はいくつもあり、需要はいささかの衰えも見せなかったことから、ギャングによる密輸や密造酒作りが横行しました。しかも、巨額の酒税を失った政府は弱体化し、警察による犯罪摘発の手が緩んだことで犯罪組織が勢力を伸ばし、各地で縄張りを巡ってギャング同士の抗争が激化、治安まで悪化しています。

スピード自慢の「運び屋たち」の非合法レースが競技化

 人里離れた場所にある醸造所から街にある秘密酒場まで密造酒を運ぶのは、スピード自慢の運び屋たちです。彼らは警察や保安官、FBIなどの取締りを逃れ、密かに素早く密造酒を運ばなければなりません。

 もしも途中で捕まれば、彼らを待っているのは高額な罰金と自由を奪われた刑務所での生活です。彼らは運び屋として高収入を得るために、日々ドラテクを磨き、愛車をチューニングしてパトカーよりも速いマシンに改造したのでした。

 もともと彼らには走り屋が多かったこともあり、仲間内での関心事といえば「同業者の中で誰が一番速いのか?」ということでした。実力を示す単純かつ明快な方法はレースです。運び屋の仕事がないとき、彼らは自慢の愛車を持ち寄ってレースに興じていたようです。

 そのスタイルは、俗に4分の1マイル(402m)のタイムを競うドラッグレース、ドライレイク(乾湖)でのスピードトライアル、空き地を囲った即席のコースによる草レースとさまざまでした。

 こうした非合法レースは人気の高まりとともにやがてモータースポーツとしてルール作りと組織化が行われ、NHRA(National Hot Rod Association)主催のドラッグレースやNASCAR(National Association for Stock Car Auto Racing)主催のストックカーレースへと発展して行きました。

 ちなみに、禁酒法自体は1933年に廃止されています。

レースカーと袂を分かち公道走行を前提したカスタムカーに

 その後、アメリカは第2次世界大戦へと参戦。1945年に戦争が終わると、平時体制への切り替えとともに大勢の若者が復員して故郷へと戻って行きました。

 そのようななか、若者の中にはスピードへ情熱を燃やす者も少なくはなく、彼らは廃車寸前の中古車を手に入れては、自宅のガレージや納屋を整備工場代わりにDIYで修理し、フォードが大衆車用に量産した3.6L「フラットヘッド」V型8気筒エンジンへ載せ替えるなどの改造を施すことで、最新モデルをも凌ぐ高性能車を作り上げたのです。

 彼らは手塩にかけて仕上げたマシンを平日には仕事や日常のアシとして使い、週末になるとスピードトライアルやドラッグレースの相棒としました。運び屋出身のベテラン勢に加え、若者たちが参入したことにより、アメリカのモータースポーツは活況を呈して行きます。

 しかし、1950年代に入ると競技の先鋭化に伴って、ほとんどのレース参加者は公道走行ができない専用のレースカーで参戦するようになりました。

 その一方、クールなカスタムカーで公道を飛ばしたいという需要も依然旺盛だったため、ここでレース車両と公道を走る改造車とに分岐するようになります。この公道を走る改造車こそHOTRODの原点となるSTREETROD(ストリートロッド)です。

 なお、現在ではSTREETRODという言葉は、HOTRODの1ジャンルであり、1949年以前のクラシックカーをベースに製作された公道走行可能なマシンのことを指すようになっています。

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みんなのコメント

4件
  • nut********
    70年代 田舎者は(自分も)クルマのケツ持ち上げたらホットロッド
  • 矢風太郎
    やっぱりHotrodが一番カッコイイ。
    1/4マイルの数秒の勝負。
    この数秒のタイムと闘う為に、セッティングは入念に行い、ツリーのランプを見つめる。
    これで、ほぼ勝負は決まる。漢の数秒に掛ける闘い。Hotrodは漢のスポーツだな。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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