そもそもパイクカーとは
日産の歴代ラインアップのなかに、「パイクカー」と呼ばれる一群があります。初代「マーチ」をベースとした「Be-1」(1987年)、「パオ」(1989年)、「フィガロ」(1991年)の3車種が有名ですが、丸みを強調したボディラインや、インパネのスイッチ類、シフトレバーまで徹底してレトロ調のスタイリングに仕上げられたこれらの車種は、それぞれ限定販売ながら大きな人気を得ました。
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日産は、1980年代から90年代にかけてのおもにバブル期に登場したこれらの車種をウェブサイトで振り返り、「少量生産で遊び心を尖らせたパイクカー」としています。「パイク」は「槍」の意味です。同社ではほかに、カタツムリのようなライトバンの「エスカルゴ」(1989年)や、「パオ」の流れを組んだSUVの「ラシーン」(1994年)をパイクカーシリーズとして位置付けています。このほか、たとえばスバル「ヴィヴィオ ビストロ」(1995年)といったレトロ調の軽自動車や、トヨタが2000年代に発表したヴィッツをベースとする「WiLL」シリーズなども含め、レトロあるいは先鋭的なデザイン性を強調した車種を総称して「パイクカー」と呼ぶこともあります。
「Be-1」「パオ」「フィガロ」といった日産のパイクカーシリーズは、30年前後を経てもなお、これらを専門的に扱う中古車店もあるほどです。長年にわたりこれら車種のレストアや販売を手掛け、3車種の車体を生産した高田工業(横浜市戸塚区)とも業務提携を結んでいるオレンジロード(横浜市都筑区)に、パイクカーの現状について聞きました。
――日産のパイクカーは現在、どのような人に人気なのでしょうか。年齢の傾向などはありますか?
興味を持った方しかパイクカーにはたどり着かないでしょう。年齢は若い方から年配の方まで様々です。世の中にあるパイクカーの中古は、それこそ何万円台から、新車に近い価格までピンキリですが、古い車なのでキリは文字通りボロボロです。当社はこれをしっかり整備して販売するというやり方を数十年来続けています。
パイクカーの誕生背景と、作られなくなったワケ
――どれほどの流通量があるのでしょうか?
一時は当社でも2店舗展開で常時パイクカーを30台程度取り扱っていましたが、2018年現在は1店舗に集約しており、店頭在庫としては4台程度です。一方で、当社はモータープールに部品取りのため10数台を保有しています。こうして部品を確保しているからこそレストアと販売ができるのですが、流通量は年々少なくなっていて、ビジネスとしては成り立ちにくくなっているのが現実です。
――なぜメーカーは、このようなパイクカーをあまり作らなくなっていったのでしょうか?
このことは以前、日産で開発を担う方々にもお聞きしたことがあります。「マーチ」のようなベース車があったとしても、ボディやスイッチ類ひとつひとつが特別仕様なので、売値が400万円を超えてしまい現実的ではないとのことでした。
※ ※ ※
「日産さんのパイクカーシリーズが生まれたのは、バブル期という時代背景もあるでしょう。クルマに限らずすべてのモノが満たされた時代、そのなかで、人とちがったものが欲しいという思いに支えられていたのだと思います。しかし、その後は販売価格や燃費といった節約志向、あるいは環境性能を重視する時代へと向かっていきました」
このようには話すのは、レトロ調のパイクカーを現在も造り続けている光岡自動車です。歴代「マーチ」をベースとする「ビュート」、マツダ「ロードスター」ベースの「ヒミコ」など、ベース車のリニューアルとともに変化はあるものの、存在感のある大きなフロントグリルや、丸みを帯びたヘッドライトなどが印象的な、そのデザインコンセプトの大枠は変わっていないといいます。
「いまやパイクカーのようなクルマを愛好する方は確かに少なく、マーケットとしては小さいでしょう。しかしゼロではありません」(光岡自動車)。同社ユーザーの多くはリピーターで、別のクルマに「浮気」したものの満足できず回帰する人も多いとのこと。一方で、若い人にももっとアピールしていきたいと話します。
技術的にもハードルが上がったパイクカー作り 今後はどうなる?
光岡自動車によると、このようなパイクカーの製作は技術的にもハードルが高くなってきたといいます。
「日産さんがパイクカーを出していたころと現在とで、車両の保安基準も大きく異なります。前照灯ひとつとっても、光の照射角度や距離などが厳しく規定されていますし、車両外部の突起については、何度以上の鋭角になってはならないといった基準があり、極力角を丸くしなければなりません。レトロとは真逆の制約があるなかでデザインする必要があるのです」(光岡自動車)。
ちなみに、前出のオレンジロードによると、日産パイクカーのなかでも「フィガロ」は、日本よりもイギリスのほうが熱心なオーナーが多いといいます。「コンディションのよい『フィガロ』はイギリスに渡っているでしょう」とのこと。
「イギリスは、たとえば古いクルマは税金が免除(1973年以前のもの)されるなど、古いクルマを大切にしようという文化があるのですが、日本は政府の方向性として『古いクルマを捨て新しいものに乗り替えよう』です。日本では、古いクルマを所有するのはお金のかかる道楽になってしまいがちです」(オレンジロード)
光岡自動車も海外に展開していますが、「自動車産業が成熟したヨーロッパが中心です」とのこと。「アジアでは『同じお金をかけるならば最先端のものを』という傾向があり、クラシックなものが受け入れられず中国などからは撤退しています」といいます。
【写真】贅沢すぎるレトロ? 「パオ」の室内
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