■MotoGPに参戦するファクトリーマシンGSX-RRのテクノロジーとデザインを反映
ちょっと昔、フルカウルのレーサータイプの公道仕様モデルは「レーサーレプリカ」と呼ばれていました。市販レーサーが由来の「スーパースポーツ」とはちょっと異なりますが、1980年代のバイクブームを知っている人だったら、つい「レプリカ」って言っちゃうんじゃないでしょうか? 大型のロードスポーツモデルは憧れのカテゴリーです。
GSX250R なら最近囁かれる「バイク=250ccで充分」説に異論ナシ!
そんな私が今回体験するのはスズキのスーパースポーツGSX-R1000R ABS。最高のパフォーマンスを発揮するために「走る」、「曲る」、「止まる」の基本性能の向上を追求。軽量でコンパクトなエンジンと車体、軽快で扱いやすいハンドリング性能、スズキの先進の電子制御技術が落とし込まれ、高いトータルパフォーマンスを発揮するんだとか。
昔は英語のエックスがバツ印に見えることから「ジスペケアール」なんてと呼ばれていましたが、今でも通用するんでしょうか? いつか乗りこなしたいと思って若い頃にはサーキットを走ったこともありましたが、年齢を重ね、出産・育児を経てリーターンしたママライダーに、果たして乗れるものなのでしょうか? さまざまな思いが胸に迫ります。加齢による衰えを考えると無茶はできませんが、ドキドキ体験試乗させていただきます!
■風を感じるフォルムとレーシングカラーにレプリカ世代は胸がトキメキます
フロントフェアリングはライダーの手と腕に当たる風を流すような形状。フェアリングノーズの突き出た部分には、スズキラムエアダイレクト(SRAD)と呼ばれる吸気ダクトが設置されていて、吸気効率をアップしているのだそう。MotoGPマシンをモチーフにしたボディデザインに気分が盛り上がります!
また、フロントフェンダーはダウンフォースを増加させる設計で、タイヤのグリップ力の向上だけでなく、ラジエターへの冷気導入やフロントブレーキキャリパーの冷却にも貢献しているんだとか。走行風と仲良くなって、「風」そのものになれちゃいそうなデザインです。
カラーリングは2020年に創立100周年迎えたスズキの特別カラー仕様。1960年代のレースマシンに採用されていたブルーにスレートシルバーを組み合わせた美しいカラーリングが施されています。2020年シーズンのMotoGPファクトリーマシンGSX-RRにも同じカラーを採用。レプリカ世代の私には心躍るモデルです。
■コンパクトさと足つきのよさ、ポジションのハマり具合に好感!
ちなみに私は女性ライダーが一番多いといわれるアラフィフ。身長は同世代の平均身長である158cmで、体重は若干重めです(笑)。世にいる女性ライダーの量産型といっても過言ではありません。またがってみると、両足のつま先が接地。国産スーパースポーツモデルの中でも、比較的低めな825mmのシート高で安心感があります。シート前方が細く絞られているので足は着きやすく、片足でも支えることができます。
ライディングポジションは前傾ですが、コンパクトにまとまっていて動きやすい感じ。タンクの形状が、シート側が細めになっており、ハンドル側に向けて徐々に横に張り出していく感じで、ニーグリップしやすくなっています。タンクは結構ボリュームがあるので、長時間ニーグリップしてるいと太ももが鍛えられそうです(笑)。
メーターはフル液晶ディスプレイで、スピード、タコ、オド、トリップ、燃料のほか、ドライブモードやトラクションコントロール、ローンチコントロールのモード設定など、さまざまな情報が表示されています。慣れていないので「なんか、わかんないけど、いっぱい表示されてる!」と謎に感動します(笑)。
情報量が多いですが、スピード、タコ、ギアポジションなど、必要な情報は見やすいのでひとまず安心。デジスプレイパネルの左右にはカラフルなLEDのインジケーターランプが配置されていて、こちらもわかりやすくなっています。ライディングポジションでまたがっているだけでも楽しくなってきます。
■扱いやすさと信頼感が、チャレンジする楽しさを引き出してくれます
まず、イグニッションキーをオンにしてメーターのディスプレイを起動。一度すべての表示が点灯し、通常表示になるのを待ちます。それからセルボタンを押してエンジンスタート。このルーティンはいつでもワクワクします。セルが回るとゴロゴロとした低いエンジン音がうなりだし、まるで大型ネコ化の猛獣がご機嫌にノドを鳴らしているようです。アクセルをあおるとエンジンがレスポンスよく応えてくれて、思わずテンションがアガってしまいます!
試乗するのはサーキットのミニコース。コースインしてアクセルを開けると、スロットルは軽く、トルクフルかつスムーズに加速していきます。シフトタッチも軽快。スーパースポーツといえばドッカンパワーで扱いにくいイメージがありますが、中低速でも扱いやすくスムーズです。
というのも、軽量コンパクトな直列4気筒DOHCエンジンには、低速域から高回転域まで強力な加速性能を発揮するブロードパワーシステムを採用。また、発進時や低回転走行時、エンジン回転の落ち込みを緩和してくれる「ローRPMアシスト」が備えられているんだとか。中低速での扱いやすさのおかげで、グッと緊張が解けます。
クラッチやスロットル操作をせずにシフトアップ、ダウンができるクイックシフターも扱いやすく、ショックが少なくてスピーディかつスムーズ。クラッチを握らなくていいと、ライディング操作に集中できる気がします。初めて乗るのに、新しい機能を試してみたくなるのは、扱いやすさからくる安心感もあるのかも。車体の大きさをあまり負担に感じないので、コーナリングもちょっと攻めてみたくなります。
試乗コースは中低速コーナーメインのミニコースでしたが、アクセルの絶妙な開け方にも繊細かつスムーズに対応してくれてコントロールしやすく感じます。アクセルを大きく開けるとリニアにグワっと加速してくれるので、テンションがアガってヨダレと笑いが込み上げてきます。パワーには余裕があって、まだまだできるゼ!って感じで頼もしいです。
そしてブレーキがしっかり効いてくれる感じがさらに頼もしい。パワフルなのでアクセルを開けるとすぐコーナーにたどりついてしまうのですが、接地感と安定感を保ったままグーっと減速していける感覚があって、自分のできる範囲の中で運転にメリハリをつけることができている気がします。ブレーキの圧力を最適化してライダーをサポートしてくれるという「モーショントラックブレーキシステム」が装備されているおかげなのかも!
電子制御メニューも豊富で、3つの走行モードが選べるスズキドライブモードセレクター(S-DMS)があり、10モードあるモーショントラックTCS(トラクションコントロールシステム)と合わせると、出力特性のバリエーションは30も! デジタルの設定と自分の感覚を確かめながら走るのも楽しそう。攻略してみたくなります。
あっという間に幸せな試乗時間は終了。かなりのビビリなので周囲は気づいていないと思いますが、自分の中ではそこそこ頑張った走りができたと思います(笑)。バイクに乗るために体力と若さを保ちたい! ジスペケアールくんのおかげで生活へのモチベーションまで上がった気がするのでした。
■GSX-R1000R ABS 2020年モデル全長×全幅×全高:2075×705×1145mm軸距:1420mm最低地上高:130mmシート高:825mm車両重量:203kg最小回転半径:3.5mエンジンタイプ:水冷4ストロークDOHC4バルブ直列4気筒総排気量:999cc内径×行程:76.0×55.1mm圧縮比:13.0:2最高出力:145kW(197PS) / 13200rpm最大トルク:117N・m(11.9kgf・m) / 10800rpm燃料タンク容量:16Lタイヤ:前120/70ZR17M/C(58W)、後190/55ZR17M/C(75W)ブレーキ形式:前 油圧式ダブルディスク(ABS)、後 油圧式シングルディスク(ABS)懸架方式:前 テレスコピック式、後 スイングアーム式フレーム形式:ダイヤモンド ■メーカー希望小売価格:215万6000円(消費税10%込)
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みんなのコメント
20年ぐらい前かな。懐かしいモデルです。