もくじ
どんなクルマ?
ー 3900台に対して77台のRC
どんな感じ?
ー リフレッシュ中心のマイナーチェンジ
ー 乗り味にも大きな変化はなし
「買い」か?
ー ハイブリッドだけでは物足りない
スペック
ー レクサスRC300hのスペック
コンパニオン大特集(13) 東京オートサロン2019 画像72枚
どんなクルマ?
3900台に対して77台のRC
レクサスから目を引く4シーター・クーペ、RCが登場してから3年が経つが、モデル中期のマイナーチェンジがこの度施された。このレクサスRCの存在感は小さくはないものの、販売台数は決して多くはない。
同クラスのプレミアムクーペを見てみると、ドイツ御三家が80%以上のシェアを占めている。なにしろ、BMW 4シリーズの場合、2018年11月だけでも3900台を販売している中で、レクサスがRCを同時期に販売した数は77台。プレミアムクーペというだけでもニッチモデルなのに、その中でもかなり小さな割合となっている。
一方でスタイリングは特徴的なもので、4シーター・クーペに先進的なハイブリッドシステムが搭載されたモデルは他になく、ユニークな存在ではある。レクサスはハイブリッドを搭載しない、ターボエンジンを採用したRC200tを主力モデルに据えようとしたが、運転する楽しさという点で及ばず、今回のマイナーチェンジを機に廃止されることになった。結果、このハイブリッドを搭載したRC300hの一択となり、新しく3種類のグレードが用意されている。
どのようなアップデートを受けたのか、詳しく見ていこう。
どんな感じ?
リフレッシュ中心のマイナーチェンジ
読者の中には、われわれのお墨付きを期待するひともいるかもしれない。しかし、今回のアップデートはあくまでもマイナーチェンジであり、主要部分にまで大きな変化は及んでいない。
エクステリアデザインの変更点を見てみると、複雑な造形のLEDヘッドライトが搭載され、テールライトとバンパー周りのデザインが変更された程度と、極めて限定的。デザインの変更によって、空力的に向上したとは謳われてはいないものの、スタイリングは元々魅力的なものだったと思う。今回のマイナーチェンジでは、それを引き立てる鮮やかなボディカラーを複数選択することができるようになった。
インテリアデザインも、局部的な変更に留まる。表面の素材では、上質なものが用いられている面積が増え、豪華さは増しているが、安っぽい感じの部分も残ってはいる。反面、技術的なアップグレードは幅広く、高機能な運転支援システムが実装されたほか、17本のスピーカーを採用したマーク・レビンソン社製のサウンドシステムなど、豪奢なオプションは充実している。シートは従来通り、上質で座り心地も良い。
そうだとしても、運転中に操作することがはばかれるほど使いにくい、タッチパッド式のインフォテインメント・システムや、閉所恐怖症のひとは座ることができないほど窮屈なリアシートなどに、変更はない。
乗り味にも大きな変化はなし
走りの面では、ショックアブソーバーやステアリング・システムなど、シャシーセッティングが見直されているが、ダイナミクス性能を大きく引き上げたというわけではない。深く集中すれば、低速域での乗り心地は向上していることに気付く。しかし、ペースを速めた走りを楽しめるクーペというわけではない。ステアリングフィールは、不思議なことに、前輪駆動のESよりも緩慢にすら感じてしまう。
フロントタイヤのグリップ力は不足気味で、1775kgというボディ重量もあり、運動性能的には期待値には達していない。このRC300hは同じレクサスのミドルサイズサルーン、ESより重量があるほどだから、もちろんライバルとなるクーペモデルと比較しても明らかに重いのだ。
走行スピードを落とせば、快適性能は期待レベルで、優れた遮音性と滑らかな乗り心地を楽しむことはできるだろう。このクラスのオーナーなら、タイヤをきしませて走りたいと思う場面は限定的だとは思う。だが、BMWやアウディのクーペと乗り比べてみると、快適性の面でもRCの劣勢は明らかで、路面状況が悪化するほどに、その差は大きくなってしまう。
ガソリンエンジンと電気モーターを組み合わせたパワートレイン自体には変更がなく、パンフレットに踊るようなスポーティーなキャッチコピーとは、残念ながら反する仕上がり。しかも、ひとつ前の3代目ESに搭載されていたものと同じ仕様となっている。
確かに街乗りでは、ディーゼルエンジンよりも遥かに静かで滑らかだし、クルージング時のマナーも良好ではある。だが一度、今回のスペインの試乗コースのような山道に踏み込み、スピードを高めていくと、意に反してCVTはエンジンの回転数を高めてしまい、レクサスが発する音量は一気に大きくなってしまう。
「買い」か?
ハイブリッドだけでは物足りない
レクサスRCは依然として、あたかも積極的に運転されることを拒んでいるかのように、パワートレインやダイナミクス性能の鋭さで不足しているが、大目に見る必要もある。スタイリッシュなクーペでありながら、経済性や環境性能は優れており、マーケットでも独自のポジションに位置している。15.9km/ℓという好燃費も、現実的なものだ。
また、優れた環境性能のおかげで、通常のガソリンモデルやディーゼルモデルと比較すると、税金面での優遇も小さくはない。会社から貸与されるカンパニーカーなどではメリットとなる。しかし、プライベートで乗る場合、その経済性のトレードオフとして、イニシャルコストに出鼻をくじかれることになる。RCはベースグレードでも3万8000ポンド(524万円)を越え、ドイツ勢のライバルと比較すると、数千ポンド(数十万円)ほど高く設定されているのだ。
エントリーグレードの標準装備を見比べると、RCの価格設定もうなずけなくはない。でも、4万6000ポンド(634万円)に迫る価格となる今回のテスト車両、トップグレードの「タクミ」の場合は特に、同価格帯のライバルが持つパフォーマンス性能を比較してしまうと、その魅力は霞んでしまうのだった。
レクサスRC300hのスペック
■価格 4万5800ポンド(632万円)
■全長×全幅×全高 4695×1840×1395mm
■最高速度 189km/h
■0-100km/h加速 8.6秒
■燃費 16.8km/ℓ
■CO2排出量 114g/km
■乾燥重量 1775kg
■パワートレイン 直列4気筒2494cc+電気モーター
■使用燃料 ガソリン
■最高出力 223ps/6000rpm
■最大トルク 22.3kg-m/4200-5400rpm
■ギアボックス CVT
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