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インプレッサ22Bが3300万円 80スープラが1080万円! 販売店に直撃してわかった高騰中古車の真相

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インプレッサ22Bが3300万円 80スープラが1080万円!  販売店に直撃してわかった高騰中古車の真相

 「ちょっと古い国産名車スポーツカー」の相場高騰がとどまるところをしらない。10年ほど前なら100万円台か200万円台あたりで買えた車種が、いつの間にか400万円あるいは500万円レベルに達し、そして1000万円の大台を突破する……という例が後を絶たない。

 そのような形で価格が「成層圏」に達した物件というのは、どのように仕入れられ、どんな人がそれを買っているのだろうか?

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 そこで、中古車事情に詳しい自動車ライター、伊達軍曹が高騰している中古車を販売している中古車店に直撃し、生の声を聞いた。

文/伊達軍曹
写真/スバル フェニックス長野篠ノ井店 林オート

【画像ギャラリー】博物館級のコンディションにつき価格暴騰中!! 専門店に佇む極上の国産スポーツカーをじっくり見る

インプレッサ22B-STIバージョンが3300万円!!!

 まずは「3300万円」というド級のウルトラプライスで展示されているスバル インプレッサ22B STiバージョンについて、販売している『フェニックス 長野篠ノ井店』に聞いた。

――激レアなインプレッサ22Bが高いことは知っていましたが、3300万円というのはさすがに驚きました。最近の22Bはこのぐらい=3000万円オーバーが“相場”なんですか?

フェニックス 長野篠ノ井店 久保田さん(以下、久保田さん) うーん、ご承知のとおり非常に数が少ないクルマですので“相場”というのはわかりにくいのですが、以前当社が販売した22Bは走行約9万kmで1600万円ほどでしたので、実走わずか0.6万kmとなる今回の物件は、それを考えれば「妥当な線」なのではないかと思っています。

こちらがフェニックス長野篠ノ井店が販売している1998年式スバル インプレッサ22B STiバージョン。メーター交換車ではあるが実走0.6万kmで(交換前36km、交換後5789km)、車両価格は3300万円。もちろん修復歴なしである

フェニックス長野篠ノ井店のホームページはこちら!

1998年式インプレッサ22B STiバージョンのエンジンルーム。「……新車か?」と言いたくなるぐらいにビカビカである。

インプレッサ22B STIバージョンの中古車情報はこちら!

――そういえば何の説明もなしに「22B」の話を始めちゃいましたが、読者の方のために一応22Bについての解説を入れておきますね。すみませんがフェニックスの久保田さんは少々お待ちください。

 スバル インプレッサ22B STiバージョンというのは1998年に400台のみ発売されたインプレッサの限定車で、世界ラリー選手権のWRカーカテゴリー3連覇を達成した「Impreza World Rally Car 97」のイメージを再現したロードモデルです。

 大きく張り出した前後ブリスターフェンダーやフロントグリル一体型バンパー、ブレースグリル付アルミ製ボンネット等々を装着し、ボディカラーはイメージカラーの「ソニックブルーマイカ」に統一。2212ccにボアアップした「EJ22改」水平対向4気筒ターボエンジンは最高出力こそあえて280psにとどめましたが、2800~5200rpmまでのフラットな高トルクと7900rpmまでストレスなく吹けあがる特性を実現――といった感じの、超スペシャルかつ超希少な一台です。

 その中古車はほとんど出回っていませんが、たまに出てくると、普通に1600万円とか1800万円ぐらいの値が付きます……ということですみません、お待たせしました。

久保田さん 今、「その中古車はほとんど出回っていない」とおっしゃいましたが、そうでもないですよ。もちろん数は極端に少ないのですが、弊社には先日まで2台ありましたしね。

――そのうちの1台が先ほどおっしゃった「約9万kmで1600万円ぐらい」というやつですね? もう1台のやつは?

久保田さん もう1台は走行17万kmで、正確な価格はすみません、ちょっと失念しちゃいましたが、1000万円は超えていましたね。

――17万kmで1000万円超なら、走行0.6万kmの22Bが3300万円というのは、おっしゃるとおり「妥当」としか言いようがありませんね……。こういった希少車って、オートオークションで普通に出てくるものなんですか?

久保田さん もちろん頻度は高くありませんが、出てくることはありますよ。この0.6万kmの物件もオークションで買い付けたものですしね。そしてインプレッサ22B STiバージョンみたいなクルマは今、海外で非常に人気が高いため、オークションでの価格もどうしても高くなってしまうんですよね。

2007年式のシビックタイプR 無限RRが1199.9万円!

――なるほどぉ……。そういえばもう一台、2007年式ホンダ シビック タイプRの無限RRが1199.9万円というのも、なかなか強烈ですね。

フェニックス長野篠ノ井店が販売中の2007年式ホンダ シビック タイプR 無限RR。2007年9月に、無限が初めてのコンプリートカーとして限定300台で発売したうちの1台である。走行9.2万kmの修復歴なし車で、価格は1199.9万円

フェニックス長野篠ノ井店のホームページはこちら!

無限RRのエンジンルーム。専用カムプロフィールや、低排圧を達成するデュアルエキゾーストシステムなどにより、NA 2Lながらノーマル比で+15psの240psを発生する

3代目シビックタイプRの中古車情報はこちら!

久保田さん シビック タイプRも最近は海外で大人気となっているので、その関係で相場がかなり押し上げられちゃったんですよねぇ……。

――海外というと、やはり北米ですか?

久保田さん いや、北米よりも香港での人気が高いようです。日本のお客様からの問い合わせももちろんありますが、それ以上に香港からの引き合いが強いというのが最近の印象です。

――なるほどそうでしたか。いや本日はお忙しいところ突然問い合わせちゃってすみませんでした!

久保田さん いえいえ、どういたしまして。

 急速な「中国化」が進んでいることで物事の先行きが不透明になってしまった香港ゆえ、現地のお金持ちは「買えるうちに買っとけ!」みたいな感じで、インプレッサ22B STiバージョンやシビック タイプRの無限RRに代表されるような希少日本車を買い急いでいるのかもしれない。

ついに80スープラが1000万円オーバー!

 そして「海外で人気が高い」といえば、80スープラこと先代のトヨタ スープラである。

 これも、10年ほど前までは200万円か300万円もあれば買えていたような気もするが、2021年3月上旬現在の最高値物件は、なんと「1080万円」である。……それはいったいどんな物件なのか、販売している鳥取県の『林オート』に電話をかけてみた。

――もしもし? ベストカーwebですが、こちらの1080万円の80スープラってぶっちゃけどうなんですか?

林オートさん ……これはですね、正直すごいですよ。間違いなく「博物館級」です!

――博物館級ですか!

林オートさん はい。私も長いこと車屋をやってきて、昨年も走行1.6万kmの白いRZを「1000万円を切るぐらいの価格」でお売りしたのですが、それよりも断然イイですからね。もうね、いわゆる“新車感”が強烈なんですよ。1994年の日本からタイムスリップしてきたのか? っていうぐらいに。

――どれどれ、グーネットに掲載されてる写真を拝見しますと……すみません、グーネットの写真はハレーションが強くて、正直「もっと上手く撮ればいいのに……」と思うのですが、大変失礼ながら「そんな写真」であってもビンビンに伝わってくる“新車感”はものすごいですね! 特にこのエアコン&オーディオ付近のパネルおよびボタン類の質感と、シフトノブのレザーと金属部分の“新車感”はなんですか!

鳥取県鳥取市の林オートが販売中の1994年式トヨタ スープラ RZ。走行1.0万kmの車庫保管車で、ディーラー記録簿も多数。車両価格は1080万円

林オートのホームページはこちら!

1994年式スープラRZのインパネまわり。写真はハレーションを起こしていて今ひとつ伝わりにくいかもしれないが、たしかにこれは博物館級のコンディションかも……!

80スープラの中古車情報はこちら!

林オートさん でしょ? 超低走行な個体であっても、やっぱり乗られてないクルマって、例えばエンジンルーム内に白い粉がふいてくるものなんです。昨年お売りした1.6万kmのやつもそうでした。でもこの赤いRZは、それもないんですよ。

――拭き上げたから、とかではなく?

林オートさん そうではなく「もともと粉がふいてない」という感じなんです。いやほんと、コレを見つけたときは私もびっくりしました!

こちらの写真がそのエンジンルーム。塩粉がない。なるほど!

仕入れ先は? 海外に持ってかれてしまう危機感

――こちらの仕入先は買い取りですか? それともオークション?

林オートさん オークションですね。競争相手とかなり競りましたよ(笑)。頑張って競ったから、結果として高くなっちゃいましたが、「ニッポンの宝を海外に流出させてなるものか!」という気合で頑張りました。まぁ競った相手が海外の人かどうかはわからないのですが。

――やはりこういった物件は海外の人に人気なんですね?

林オートさん そうですね。今現在も、海外の人からガンガン問い合わせが入ってます。英語で電話してくるんで、そして私は英語がぜんぜんできないので、日本語でなんとなく返答してお断りしていますが(笑)。

――しかしコレの海外流出を阻止した林さんは偉大ですね。素晴らしいと思います。もしも私が首相なら、日本国を代表して勲章を差し上げたい!

林オートさん やっぱりね、こういうモノは外国に出しちゃいたくはないし、日本の中で大切に乗ってほしいですよね。そして私、この物件のために車庫を建てちゃいましたから。

――へ?

林オートさん いや、こんなにも素晴らしい80スープラを野ざらしにするわけにはいかないですから、「この80専用の車庫」を作ったんですよ。

――す、素晴らしい! 先ほど言った勲章というのはもちろん冗談ですが、トヨタ自動車の豊田章男社長から感謝状が授与されてもおかしくないですね!

林オートさん まぁ感謝状はさておき(笑)、トヨタ博物館さんに置いていただいてもいいかな? とは思っています。

――こういったクルマっていうのは、やはり“当時”を知る人、つまり現在のおじさんが買われる場合が多いんですか?

林オートさん いや、そんなこともないですよ。ここ1年ぐらいはお若いお客様、20代ぐらいの方が非常に多いですね。

――そうなんですか! 株とかビットコインとかでひと山当てた若者ですかね?

林オートさん いやいやいや! そうではなく「このクルマがどうしても欲しくて、頑張って頭金を貯めて、頑張ってローンを組んで」みたいな方ばかりです。

――そうでしたか……、いや涙が出ますね。「車庫を建てた」というお話も含め! やー、本日は突然の電話にもかかわらず貴重なお話をお聞かせいただきまして、誠にありがとうございました!

林オートさん いえ、どういたしまして!

 これらのほか、注目の超高騰物件として「厳しい排ガス規制をクリアするためのNAPSエンジン(←あまり走らない)搭載の1976年式ケンメリ スカイラインGT-XEが、価格は2000万円近く」という、関西の某ショップが販売中の個体についてもお話をうかがいたかった。だがそちらについては残念ながら、締め切り日までに連絡を取ることができなかった。

 しかしいずれにせよ、国産名作スポーツの相場高騰の陰にはやはり「海外勢」がいて、それと戦う(?)ニッポンの販売店、そしてそれを頑張って購入するニッポンのカーガイたちがいることは、よくわかった。

 筆者もお金さえあれば、0.6万kmのスバル インプレッサ22B STiバージョンを買い取り、そのための「専用車庫」を自宅に建立したいものである……!

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  • 業者⇔業者で行ったり来たりして吊り上げてるだけ。この恐慌時代にこんな車こんな値段で買う奴はいない。
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