3月12~15日に開催される2020年のWRC世界ラリー選手権第3戦メキシコに向けて、参戦するドライバーたちからコメントが発表された。
2020年シーズンのWRC第3戦は、南米大陸のメキシコが舞台のラリー・メキシコ。メキシコ中央高原にあるグアナファト州の都市、レオンが中心となる今シーズン最初のグラベル(未舗装路)イベントだ。
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大会の初開催は1979年で、1998年から現在のレオンを中心とした形態に移行。WRCのシリーズ戦に組み込まれたのは2004年のことだ。
ラリー・メキシコ最大の特徴は、その標高の高さ。大会の中心であるレオンも標高1800メートル以上の位置にあり、大会期間中に走行する最高度地点では2737メートルまで到達する。
大会期間中、マシンはつねに高地を走るため、空気が薄いことからエンジン出力が通常大会より20%ほど低下する。また、この時期のメキシコは気温が30度前後まで上昇することから、高い冷却性能が求められるなど、エンジンにとって過酷な1戦と言える。
もちろん厳しい暑さや薄い酸素はドライバーやコドライバー、チームメカニックなどにとっても難敵だ。
2020年大会は12日(木)の現地10時1分(日本時間13日1時1分)にシェイクダウンが行われて走行がスタート。同日夜にグアナファトの街でセレモニアルスタートが行われた後、20時8分(日本時間13日11時8分)にSS1、20時31分(日本時間13日11時31分)にSS2が行われ、開幕を迎える。
競技2日目となる13日(金)はSS3~12までの10SSで構成。この日最後のステージであるSS12はシリーズ史上最短の0.91kmで争われる超スプリントステージだ。
競技3日目の14日(土)はSS13~21までの9SSが行われる。このうちSS14/17のアルファロ、SS15/18のデッラマデロは数年ぶりに使用されるルートで争われる。
最終日の15日(日)はSS22~24までの3SSで構成。最終ステージのSS24“エル・ブリンコ”はステージ上位5名にボーナスが与えられるパワーステージだ。このSS24は現地11時18分(日本時間16日2時18分)にスタートが切られる。
全24SSの合計距離は324.85km、リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は959.25kmだ。
シリーズ最上位クラスを戦う3チームはすべて3台体制でエントリー。ヒュンダイはティエリー・ヌービルとオット・タナク、ダニ・ソルドの3名を、Mスポーツ・フォードはエサペッカ・ラッピ、テーム・スニネン、ガス・グリーンスミスの3名を送り込む。
2017年のシリーズ復帰以降、このラリー・メキシコでは勝利のないTOYOTA GAZOO Racing WRT勢はセバスチャン・オジエ、エルフィン・エバンス、カッレ・ロバンペラの3名にトヨタ・ヤリスWRCを託し、悲願の初優勝に挑む。
そのほか、下位クラスのWRC2にはペター・ソルベルグの息子であるオリバー・ソルベルグ(フォルクスワーゲン・ポロGTI R5)、ナショナルクラスにはケン・ブロック(フォード・エスコート)がエントリーしている。
■ヒュンダイ・シェル・モビスWRT
●ティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC)
「ラリー・メキシコはモンテカルロやスウェーデンよりも気温が高い、シーズン最初に行われる“夏”のイベントだ。また高地にあるステージは長くて過酷でもある。特に出走順が早いと難しいコンディションに直面する」
「メキシコには素晴らしい思い出がある。ヒュンダイ・モータースポーツでの初表彰台を獲得したし、その前年にはWRCで自身初めてのトップ3フィニッシュを飾ったんだ」
「この大会は、僕がつねに優勝したいと望んでいるラリーのひとつだよ。これまでなかなか達成できなかったけれど、今年はその状況を変えられるといいね」
●オット・タナク(ヒュンダイi20クーペWRC)
「スウェーデンではヒュンダイ加入後、初の表彰台を獲得できてとてもうれしかった。でもメキシコはこれまでと異なる場所で、独特のチャレンジが待ち受けている。暑さと高度のせいで、シーズン中でも特有のラリーになるだろう」
「ファンの存在も素晴らしい要素だよ。多くの人たちが熱狂的に観戦してくれている。そのおかげで僕たちドライバーは他にない特別な感動を感じることができるんだ」
「ただ体力的には非常に過酷だ。高地での戦いで酸素量も少なくなる。ドライビングスタイルはスムーズで流れるようなものである必要がある。一方でエンジンパワーが減ってしまうから効率的に走らないといけないんだ」
●ダニ・ソルド(ヒュンダイi20クーペWRC)
「ラリー・メキシコでヒュンダイi20クーペWRCのコクピットに戻ることができて、とても興奮している。ラリー・メキシコは、とても楽しめるイベントだし、僕はここではいつもいいパフォーマンスを出せているからね」
「シーズン序盤2戦はチームと近いところで行動していたし、先週末はラリーセラス・デ・ファフェに参戦したから、調子もよく準備ができていると感じているよ。メキシコで本当に優勝したいと思っているし、またチームに勝利をもたらしたい」
「僕たちにとって、競技初日の出走順は有利なものだが、それだけでは十分ではない。高地で行われることが、このイベントを難しいものにしている。身体面の準備を整えなければならないし、同様にマシンもケアしなければならない」
■TOYOTA GAZOO Racing WRT
●セバスチャン・オジエ(トヨタ・ヤリスWRC)
「メキシコに行くのを、いつもとても楽しみにしている。ラリー・メキシコには多くのいい思い出があり、2008年に初めてWRCに出場しジュニアカテゴリーで優勝したのもメキシコだった」
「そして、それ以降何度もいい結果を残している。このラリーのために、最近スペインで2日間のテストを行なったが、グラベルでのクルマのフィーリングはとてもいいものだったよ」
「開幕2戦はそれなりにいいペースで走ることができたが、まだ勝利を手にしていないから、メキシコでの目標はもちろん優勝だ」
「走行距離を重ねて、ヤリスWRCがどんどんと自分のものになってきていると感じている。3番手というSSの出走順は悪くないから、優勝を目指し全力で戦いたいと思う」
●エルフィン・エバンス(トヨタ・ヤリスWRC)
「チームが素晴らしい1年のスタートを切ったのは明らかだし、シーズン最初のグラベルイベントに臨むのがとても楽しみだ。ある点において、メキシコは開幕2戦とよく似ている。なぜなら、それぞれ固有の難しさがあり、それにうまく適応しなければならないからだ」
「そして、今回に関しては、新しいクルマで走る最初のグラベルラリーとなる。それでも、開幕2戦ではクルマにとてもいいフィーリングを感じたから、メキシコでもそうなることを期待している」
「ドライバーチャンピオンシップをリードする立場になったことで、金曜日のステージでは出走順が1番になる。そのため簡単には行かないとは思うが、そのことはあまり考え過ぎず、ただ自分がすべき仕事に集中しなくてはならない」
●カッレ・ロバンペラ(トヨタ・ヤリスWRC)
「スペインでのプレイベントテストは、自分にとってヤリスWRCでの初グラベル走行だったが、さらにクルマに慣れ、フィーリングを掴むことができた。いくつか異なるセッティングを試し、いい妥協点を見つけられたと思う」
「ラリー・メキシコには2年前に出場したが、標高が高い環境にドライビングスタイルを適応させなければならないことが、もっとも難しく感じたよ」
「スウェーデンは自分にとって本当にいいラリーになったが、経験があまりないメキシコは今季最大の難関ラリーになると思うから、様子を見ながら戦う必要がある」
■Mスポーツ・フォードWRT
●エサペッカ・ラッピ(フォード・フィエスタWRC)
「フォード・フィエスタWRCのステアリングを握るたび、より僕のドライビングスタイルにあったセットアップのチューニング法などを学ぶことができている」
「前戦のラリー・スウェーデンでもいくつか収穫があったし、事前テストでも作業を続けることができた。表彰台への挑戦はそれほど遠い目標ではないから、メキシコでは表彰台獲得を狙っていかなくてはならないと思う」
「フィエスタWRCには、ますます馴染んできている。ただラリー・メキシコはトリッキーで他に類を見ないイベントだ。必ずクリーンで効率的なドライビングをする必要がある」
「また、高度が高いということは、走行中のパワーが減るということだ。だから小さなミスを挽回するのに長い時間がかかる。でもフィーリングはいいから、何ができるか楽しみだ」
●テーム・スニネン(フォード・フィエスタWRC)
「僕はこのイベントをいつも楽しんでいるし、ラリー・メキシコのステージも走っていて素晴らしいと感じるところばかりだ。ただ気温の高い高地が舞台だから、非常に難しいものになる可能性がある」
「WRカーのパフォーマンスをもってしても空気が薄いと感じるし、ここについては準備しておかなければならない。ドライビング面と肉体面の両方でね」
「僕たちは最高の形でシーズンをスタートできたわけではないが、それでもすでにラリー・メキシコに向けて集中を高めている。大会前の事前テストを終わらせたが、そこでいいセットアップを見つけることができた」
「それに過去の経験から、フィエスタWRCはラリー・メキシコでも高い信頼性とスピードを発揮すると知っている。多くのポイントを獲得できるようベストをつくすよ」
●ガス・グリーンスミス(フォード・フィエスタWRC)
「僕はラリー・メキシコの大ファンで、世界ラリー選手権に組み込まれているイベントのなかでも、ここは僕が訪れたいと思っていた場所なんだ。グアナファトの風景と色彩、そしてファンたちの熱意は、全員に特別な経験をさせてくれる。あそこへ戻るのが待ち切れないよ」
「僕は2018年の大会に参戦したけれど、今年はまったく異なる挑戦になるだろう。ラリー・メキシコを想定し、暑さのなかと高地でのトレーニングを積んできたから、肉体的な調整は問題ない」
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みんなのコメント
その方がモータースポーツのイメージも良くなるんだが。