小型クロスオーバーに得意のハイブリッド
text:James Attwood(ジェームス・アトウッド)
【画像】高い総合力 トヨタ・ヤリス・クロス 欧州で競合の小型クロスオーバーと比較 全163枚
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
最近のトヨタのモデル名は、あまり面白みがない謎掛けのようだ。トヨタ・ヤリスのクロスオーバーとかけて、売れ筋モデルと解く。その心は、トヨタ・ヤリス・クロス。
ヤリス・クロスの成り立ちは想像通り。コンパクトカーのヤリスのシャシーとハイブリッド・パワートレインを持ってきて、サスペンションを再設計し車高を上げて、RAV4のようにボクシーなボディを載せる。オプションで四輪駆動も選べるようにしてある。
真面目な内容ともいえる。トヨタがヤリス・クロスを開発した理由は簡単。日産ジュークやフォード・プーマが競い合うコンパクトSUVの市場は、拡大する一方にあるのだから。
トヨタは以前から、小型ハッチバックを手掛けてきた。四輪駆動モデルでも定評がある。そこへ得意のハイブリッドを組み合わせれば、コンパクト・クロスオーバー市場で際立つ1台が誕生する。トヨタの考えは理解しやすい。
日本では既に人気を獲得しているヤリス・クロスだが、欧州市場へはこれから。英国編集部が今回試乗したのは、一部がカモフラージュされた左ハンドルのプロトタイプだった。
最終的な仕上がり前で、英国や欧州の道路に最適化させたサスペンション設定を詰めている段階だという。デリバリーが始まるのは、9月からが予定されている。
英国へ導入されるヤリス・クロスのうち、ダイナミックと呼ばれる上級トリムグレードの価格は2万6465ポンド(407万円)から。エントリーグレードは、2万2515ポンド(346万円)が予定されている。
個性的な見た目に、質感の良いインテリア
見た目は通常のヤリスとの共通性を匂わせつつ、オフローダー風の角張ったスタイリングが与えられている。四角いホイールアーチには樹脂製のフェンダーカバーが付き、ルーフレールも載っている。
TNGA-Bというプラットフォームもヤリスと同じ。ホイールベース長は変わらないが、全長は240mm伸ばされ、最低地上高は30mm持ち上げられた。荷室は通常のヤリスが286Lなのに対し、397Lと大きい。
全体的なデザインは、日産ジュークほどの奇抜さはなく、フォード・プーマより無骨さがある。かといって、充分な個性も備わっている。
インテリアは、ヤリスがベースとなっていることが明確。硬質なプラスティックが目立つが、全体の質感は悪くない。デザインも上品に整った印象を受ける。ステアリングホイールは握りやすく、ダッシュボードには9.0インチのタッチモニターが載っている。
車内には、フォルクスワーゲンTクロスほどの華やかさはない。でも、プーマより訴求力はあるだろう。
ヤリス・クロスが搭載するパワーユニットは、4世代目の1.5Lパラレル・ハイブリッド。英国仕様では最高出力115psを発揮し、0-100km/h加速は11.2秒でこなす。数字的には通常のヤリスと変わらないものの、クロスオーバー用にチューニングしてあるそうだ。
カタログ燃費は23.3km/Lで、このクラスのモデルとしてはかなり優秀。今回の試乗では、非現実的な数字ではないことが確かめられた。
好感触なステアリングとシャシー・バランス
駆動用のAC同期モーターが備わり、ハイブリッドのヤリス・クロスは低速域では電気の力だけで発進する。一般的なトヨタのハイブリットと同様に駆動用バッテリーは小さく、6kmほど走るとエンジンが始動する。
トランスミッションはCVT。アクセルペダルを深めに踏み込むと、少しざらついたエンジンノイズが聞こえてくる。
惰性走行時にはエンジンを積極的に停止することで、車内の静けさや燃費効率のバランスを取っている。一般的なユーザーが利用するであろう、交通環境に適した設定に感じた。
開けた道へ出れば、ヤリスの良い面が受け継がれているとわかる。ステアリングはダイレクトで反応が良い。市街地で扱いやすいだけでなく、郊外の流れの速い道にも問題なく対応できる。
シャシーのバランスも良好。箱型のボディが高めの位置に載っているにも関わらず、姿勢は常に安定している。クロスオーバーといえば、だらしない印象が付きものだったことを考えると、目覚ましい進歩だといえる。
とはいえ、ヤリス・クロスの設定は動的特性を高める方向ではなく、安定性を求めたもの。ドライバーの充足感でいえば、フォード・プーマに明らかなアドバンテージがある。
路面の凹凸などを通過した時の乗り心地は、少々硬め。舗装の剥がれた穴や隆起部分を乗り越えると、しっかりした揺れが車内へ伝わってきていた。今後、サスペンションの設定が煮詰められれば、改善される可能性はある。
カテゴリーで最も説得力を持つ1台
試乗車のヤリス・クロスは前輪駆動で、18インチホイールを履いていた。英国のユーザーの多くは、16インチか17インチを選ぶだろうとトヨタは予想する。タイヤが肉厚な方が、乗り心地の面では有利になる。
コンパクト・クロスオーバーが市民権を得た現在、ヤリス・クロスは買いの1台だといえる。最も魅力を感じるモデルではないかもしれないが、全体的な能力は高く、このカテゴリーで最も説得力を持つ1台であることは間違いないだろう。
トヨタは、単にハイブリッドのヤリスとクロスオーバーを掛け合わせただけではなかった。シリアスな競合モデルとして、万全に仕立ててあると感じた。
トヨタ・ヤリス・クロス 1.5ハイブリッド・アドベンチャー・プロトタイプのスペック
英国価格:2万6465ポンド(407万円)
全長:4180mm
全幅:1765mm
全高:1560mm
最高速度:164km/h
0-100km/h加速:11.2秒
燃費:23.3km/L
CO2排出量:98g/km
車両重量:1170kg
パワートレイン:直列3気筒1490c自然吸気+AC同期モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:115ps/5500rpm(エンジン)
最大トルク:−
ギアボックス:CVT
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