■最適化したe-POWERを搭載した新型キックス
2020年6月に発売された新型「キックス」は、日産としては10年ぶりの新規車種であり、「ジューク」のポジションを担う新たなコンパクトSUVとなります。
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すでに「ノート」や「セレナ」で一定の評価を集めている「e-POWER」をSUVに初搭載する点や、駆動方式は2WDのみということも話題となっています。
もともとキックスは、海外で先行して販売されていた世界戦略車であるだけに、さまざまニーズをカバーする実力を兼ね備えているといえるでしょう。
そんな新型キックスの気になる燃費性能について、さっそくテストしてみました。
日本仕様のキックスはe-POWER専用車となっており、搭載されるエンジンはノートやセレナと同じく1.2リッター直列3気筒ガソリンエンジンで、こちらは発電専用です。
駆動用としては、既存のe-POWER車と同様のEM57型モーターが搭載されていますが、新型キックスの出力は129馬力/260Nmとノートよりも強化され、力強い加速を実現しているとされています。
WLTCモード燃費は21.6km/L、市街地モードが26.8km/L、郊外モードが20.2km/L、高速道路モードが20.8km/Lとなっています。
今回は神奈川県横浜市をスタート地点とし、首都高、保土ヶ谷バイパスを経由して東名高速道路に入り、小田原厚木道路の小田原西インターまでの高速道路区間。
そこからターンパイクを上り、大観山スカイラウンジを経由し、箱根新道を通って西湘バイパスまで下るワインディング区間、そして、国道134号線から国道246号線などを経由し横浜市へ戻る一般道区間を経由し、約170kmの道のりを走破しています。
その結果は、170.5kmの走行で燃費は19.31km/Lという数値でした(車両の燃費計の数値から計算)。
カタログ上での燃費数値はWLTCモード燃費で21.6km/Lですから、カタログ燃費に届かない数値となりましたが、テスト日は酷暑の真っただ中で、エアコンがフル稼働だった点を考慮するとそこまで悪い数値とはいえないかもしれません。
なお、テスト時の走行モードはアクセルオフで回生ブレーキを使用することができる「e-POWER Drive」を活用するために「ECO」モードとし、プロパイロットは未使用、エアコンは24℃のフルオートとしました。
●高速道
走行距離:67.7km
実燃費:21.7km/L
横浜市の日産グローバル本社を出発し、首都高から保土ヶ谷バイパスを経由して東名高速に入り、小田原厚木道路を通る今回のルート。
猛暑のなかということでエアコンはほぼフル稼働で、さらに横浜町田インターから海老名ジャンクション付近までは渋滞が続くという状況での走行となりました。
エンジンが駆動に繋がっていないe-POWERは高速巡行が苦手という弱点がありますが、今回は渋滞があったことが逆に功を奏したのかカタログ値の20.8km/Lを超える21.7km/Lをマーク。
また、発電用エンジンの制御を最適化した結果か高速巡行時でもエンジン音はほとんど気にならず、タイヤのパターンノイズの方が目立つほどで、新型キックスの静粛性の高さが際立っていました。
■新型キックスは上り坂での燃費がちょっと厳しい!?
●ワインディング路
走行距離:41.5km
実燃費:15.6km/L
ワインディング路は、小田原西インターを降りてターンパイクを駆け上り、箱根新道を経由して一気に下るというコースです。
もともとハイブリッド車にとって延々と上り続けるというシチュエーションは燃費的に非常に不利ですが、とくにエンジンが駆動に繋がっていないe-POWERは絶えずバッテリーに電気を供給しなければならないため、15.6km/Lという実燃費になりました。
郊外モードが20.2km/Lであることを考えると、少々残念な結果だといえます。
とはいえ遮音性が格段に向上した新型キックスは、このようなシチュエーションでもエンジン音はかなり遠くで回っているかのようで、そこまでの不快感はありません。
バッテリーへの電力の供給も十分で出力制限が出ることもなく、ワインディング路でモーターの力強い走りを楽しむことができました。
●一般道
走行距離:61.3km
実燃費:20.1km/L
一般道、国道134号から国道246号、そして横浜市内を経由して再び日産グローバル本社に戻ります。
本来であれば交通量も多く、信号も多いためにストップ&ゴーが多いルートですが、この時は比較的交通量も少なく、信号で引っかかることも少なかったため、スムーズに走行することができました。
そのため、燃費はカタログ値の26.8km/Lには届かない20.1km/Lとなりましたが、それでも20km/Lを下回らない数値は及第点といえるのではないでしょうか。
市街地の走行では「ECO」か「S」モードで走行することでアクセルオフで回生ブレーキを使うことができる「e-POWER Drive」を活用することができます。
ブレーキペダルへの踏みかえの回数が減って疲労の軽減に繋がるほか、回生ブレーキで電力を回収することで燃費も伸びるという一石二鳥の機能です。
さらに新型キックスには電動パーキングブレーキのオートホールド機能も備わっているため、停止後に一旦ブレーキを踏むだけで停止保持もしてくれる点も長距離ドライブではありがたいところです。
※ ※ ※
新型キックスの燃費テストを実施し、最終的には19.31km/Lという数値となりました。
今回の走行では箱根の上りでかなりロスをしてしまいましたが、このような極端なシチュエーションがない限り、普段乗りで20km/Lを下回ることはないかと思われます。
e-POWERの持つモーター駆動での爽快な走りはもちろんですが、意外だったのはそのハンドリングです。
SUVというボディタイプからそこまで期待せずに乗っていたのですが、ワインディングでの身のこなしなどは軽量なノートを凌ぐものがありました。
その一方で、ワンペダル走行ができるe-POWER Driveでは、完全停止や停止保持機能がない(一旦ブレーキペダルを踏まないとホールド機能がONにならない)ことや、フットブレーキを踏んでも電力が回生できない点などがやや残念ではありましたが、これらは次世代のe-POWERで解消されていることを期待したいところです。
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