スーパーバイク世界選手権(WSBK)で6度王者となったジョナサン・レイは、現在のMotoGPに向けられている悲観論を否定しており、新世代のライダーがまた歴史を作っていくだろうと考えている。
MotoGPは2020年代に入り新たな時代に突入しつつあったが、2021年限りでバレンティーノ・ロッシが引退したことで、いよいよ新しい時代に移り変わったという感覚が強くなりつつある。
■バレンティーノ・ロッシ、第一子女児誕生を報告。奇しくもMotoGP新シーズン開幕日に
ダニ・ペドロサ、ホルヘ・ロレンソ、バレンティーノ・ロッシそしてマルク・マルケスという4強……”エイリアン”や”ファンタスティック・フォー”などと呼ばれてきたトップライダーが、2022年現在は姿を消している。
彼らの中でマルケスのみ今も現役なのだが、そのマルケスは2020年から続く怪我に苦しんでおり、今年5月末には再び手術を受けて現在は休養中だ。
現代のMotoGPは、2020年にジョアン・ミル(スズキ)が王座を獲得し、2021年にはファビオ・クアルタラロ(ヤマハ)がチャンピオンとなるなど序列に変化。今年もクアルタラロを筆頭に、フランチェスコ・バニャイヤ(ドゥカティ)やアレイシ・エスパルガロ(アプリリア)、エネア・バスティアニーニ(グレシーニ)など多くのライダーが優勝を争う群雄割拠の時代となっている。
この2年間、MotoGPは新型コロナウイルスの影響で大きな制限のもとでレースを行なってきた。しかし今年は制限が大きく緩和……ただそのいくつかのイベントでは観客動員が大きく低下してしまった。中でもムジェロでのイタリアGPはそれが顕著だった。
イタリアGPの観客動員の現象は主催者、そしてファンも心配するほどのモノだ。一部からは「MotoGPの黄金時代は終わったのか?」という声すら聞こえてきた。
MotoGPへのワイルドカード参戦の経験もあるレイは、この問題について見解を求められると、「見かけほどは劇的ではない」としつつも、やはりロッシの不在は関係があるだろう見ている様子だ。
「バレンティーノは偉大な貢献をしてくれたライダーだ。彼が引退していても、スタンドはイエローで埋め尽くされる。彼はミスター・MotoGPだ」
レイはMotorsport-Total.comに対し、そう語った。合わせて、彼は関心が低下している理由について現世代のライダーのライバル関係が希薄になっているという点を示唆している。
「僕は旧世代、つまりニッキー・ヘイデンやケーシー・ストーナー、ダニ・ペドロサ、ホルヘ・ロレンソ、そしてバレンティーノ・ロッシとマルク・マルケスの時代のファンだ。でも新世代のほうが遅いだとか、悪いだとかは言えないね」
「今のライダー達は本当に速い。クアルタラロ、アレックス・リンス(スズキ)、ジョアン・ミルそしてバニャイヤの世代が、自分たちのレガシーを残すことになるだろう」
「ライバル関係の問題がこれまではあった。ロッシだけじゃなく、マルケス、シュワンツ(ケビン・シュワンツ)、ロレンソ、ケーシーといったようにね。今のMotoGPではライバルの間にも平和と静けさがあるようだ。それが以前よりもドラマを少なくしている」
なおレイはスズキのMotoGP撤退検討については、大きく問題視はしておらず、それよりもロッシ引退の方が重大だと考えている。
「スズキの撤退で、レースやショーが変わることは無いと思う。最大の要因は、バレンティーノ・ロッシが引退したことだ」
またレイは最近のMotoGPで各レース毎に上位が入れ変わることについては「説明が難しい」と感じている。
2022年の前半11戦ではバスティアニーニ、クアルタラロ、バニャイヤ、アレイシ・エスパルガロ、ミゲル・オリベイラ(KTM )と5人が優勝している。
「クレイジーだよ。説明ができない」
あるレースで優勝したライダーが、次戦でトップ6に入れないような状況について、レイはそう語っている。
「ライダーが違いを生じさせていなくて、バイクがより重要なんだという感じがある。パフォーマンスのウインドウが凄く狭いんだ。あるレースでクアルタラロが10秒先行していても、後の別のレースでは、トップ6を争うために頑張らないといけないんだ」
「KTMもそうだ。彼らは勝っているのに、急にタイムシートの下のほうに落ちてしまう。説明するのが難しいし、僕もよく分からないんだ。でもこれは良いことなのかもしれない」
「僕はそういうのはあまり好きじゃないけど、テレビの前で熱くなるには良いだろう。友人とビールを飲みながら、レースに賭けることもできる。マルケスやロッシがいないと悲しむ必要はない。誰が勝つかを楽しめるんだ」
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一人のライダーが勝つにはダイレクトなアナログにしなければならない・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・