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【純EVへのゲートウェイ】トヨタ・カローラ(6) 英国の2035年問題 長期テスト

掲載 更新 3
【純EVへのゲートウェイ】トヨタ・カローラ(6) 英国の2035年問題 長期テスト

積算9157km 純正ナビのテンキー

text:James Attwood(ジェームス・アトウッド)

【画像】トヨタ・カローラ・スポーツ 全111枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


英国の場合、ナビの目的地設定に便利で速いのが郵便番号。だが、トヨタ・カローラ・スポーツの英国仕様の場合、テンキーは別のキーボードメニューを選ばないと表示されない。文字種類の変更ボタンを押す必要がある。

数字を入力した後、アルファベットを入力するにも、切り替えが必要。なかなか面倒だ。

積算9499km カローラへの控えめな反応

トヨタ・カローラ・スポーツに乗った後の感想を聞くと、多くの人が「うーん、良いですね」 といった反応をする。同時に、丁寧に少し頭をうなずかせる。即答するわけでもない。

家族や友人、同僚が初めてカローラ・スポーツに乗った後の反応も薄かった。しばらく待って、色々確かめるようにしたあと、「うーん、良いですね」 というような言葉が出てくる。

自動車の評価が仕事のわれわれは、感情の変化を求めがち。カローラ・スポーツのようなクルマの場合は、相応しい反応なのかもしれない。特にエキサイティングでなくても、とても心地よく、好感が持てるクルマだ。

熱烈な賛辞や、目を見開くほど感心するクルマに出会うことはある。でも多くの人が、自然に肯定的な反応をするクルマは多くはない。

ただし、すべての人がカローラ・スポーツ、あるいは搭載するハイブリッドを好意的に受け止めているわけではないことも確か。英国政府はハイブリッドモデルを、ガソリンやディーゼルエンジンと並んで、環境的に今後推奨できないクルマに含めたのだから。

EVを購入する準備は整っている?

内燃エンジンを搭載したクルマの販売禁止は、2035年までに導入される予定で、英国が排出するCO2をゼロとする計画の1つ。確かに、ハイブリッドであっても走行すればCO2を排出するから、理解はできる。

CO2を排出するクルマを国民が買わなければ、CO2の削減は容易になる。だが、それは難しい問題に対する、狭い視点での表面的な解決手段だとも思う。

純EVが、走行中にCO2を排出しないことは間違いない。ただし、どれだけ環境に優しいのかは、生産方法や発電方法に大きく依存する。非常に多岐に及ぶ課題だといえる。

昨今の純EVの発売ラッシュを見れば、内燃エンジンの新車販売が禁止される前に、多くの英国ドライバーがEVへ乗り換える可能性は高そうだ。同時に、いまクルマの購を考えている人にとっては、悩ましい移行期でもある。カローラ・スポーツに対する反応も、それに表れているのかもしれない。

わたしの家族や親戚にも、来年頃には新しいクルマを購入しようと考えている人が数名いる。案の定、彼らは混乱している。

ボディサイズやクルマの種類を選ぶだけでなく、パワートレインの選択肢も多岐にわたる。ガソリンやディーゼルエンジンに加えて、ハイブリッド、プラグイン・ハイブリッド、純EVとが並ぶ。

それぞれに長所と短所がある。現実的な利用と今後の推移とで、疑問や懸念は少なくない。AUTOCARの熱心な読者なら違うかもしれないが、多くの人にとって、純EVは別世界の未来的な乗り物にも思えることだろう。

急進的な変化についていけるのか

わたしの親戚にも、自宅に充電器を設置する手間を理由に、充電が必要なクルマを買う準備は整っていない、と話す人がいる。公共の充電ポイントに対しての理解も、充分ではないようだ。

純EVやPHEVなら、安い電気代による燃料費の節約と、CO2の排出量削減というメリットがある。一般的なハイブリッドであっても、差は違っても同じようなメリットがある。

内燃エンジンのクルマのように乗れ、ある程度のメリットが得られるクルマ。カローラ・スポーツは、そんな1台だ。だから買い替えを考えている人には、「うーん、良いですね」 という反応を期待してしまう。

控えめな賛同が生む、小さなうなずき。ハイブリッドは自分の役にも立つ技術だ、といううなずき。そして、ハイブリッドを搭載した他のモデルへと、興味が広がる。そうなればこの長期テストも成功だ。

ハイブリッドは、多くの人々を電動化技術に慣れさせ、純EVへの入り口を切り開く役目も担っている。純EVへのゲートウェイなのだ。

その後、感心を寄せていた親戚だが、ハイブリッドは選択肢から外した様子。新しいクルマを買うかどうかも、まだ決めかねている。純EVへの決心も付いていない。

結果として、英国政府の急進的な意向とは裏腹に、従来的な内燃エンジンのクルマにこだわり続けるドライバーが少なからず残る可能性もあると、考えてしまった。

テストデータ

気に入っているトコロ

燃費目標:今日のクルマには、ほとんどすべてに燃費計が付いている。カローラの場合は青色でシンプルで、とてもわかりやすい。

気に入らないトコロ

青いディスプレイ:同僚は、ディスプレイに青色の光が多用されていることが好まないらしい。筆者も同感だ。

テスト車について

モデル名:トヨタ・カローラ(カローラ・スポーツ)・エクセル2.0ハイブリッド(英国仕様)
新車価格:2万9075ポンド(386万円)
テスト車の価格:2万9870ポンド(397万円)

テストの記録

燃費:16.7km/L
故障:なし
出費:なし

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みんなのコメント

3件
  • カローラの名にはふさわしくないくらいスタイリッシュだよね
    中身は知らないけど個人的にはセダンも含めて外見は好きです
  • 英国の2035年問題は考え直す必要があるかもしれませんね。
    ライフサイクルアセスメント(LCA)という考え方、つまり生産から廃棄(再利用)までのCO2排出量も含めて減らさなければ意味がないからです。
    再生可能エネルギーが安価な一部の国はBEVがマッチするけど、化石燃料発電がメインの国はCO2を排出して作り出した電気を使うという事になる。
    トヨタ、ホンダのストロングハイブリッドはLCAで考えるとまだまだ戦えるのです。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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