サーファーのニッキ・ファン・ダイクも見る、ポルシェの75年目の夢。それは母なる自然を愛することに情熱を注ぐこと。

ポルシェのスポーツカー誕生75周年。この創業者と同じく夢を現実にする、プロサーファーのニッキ・ヴァン・ダイクにスポットライトを当てる

ニッキ・ヴァン・ダイクは、そのスムーズなスタイル、環境への配慮、水中でのパワフルなトランジションで知られるプロサーファーだ。彼女は若い頃から先駆者であり、同世代の男性サーファーを凌駕し、第一線で活躍する道を歩んできた。この世界的なアスリートにとって、波をつかむことではなく波を"創り出す"ことは、75年前にフェリー・ポルシェが夢見たスポーツカーを見つけることができず、自分で作ったのと同じアプローチだった。

「4歳のとき、父にサーフィンを教わりました」とヴァン・ダイクは言う。「サーフィンができると知ってから、迷うことなくこれが自分のやりたいことだと思いました。サーフィンは私の人生そのもの、自分の一部なの」。初めて乗った海は、現在28歳の彼女をいまだ虜にし、その魅力は今も心の底に強く残っているという。

実は海は、彼女の家族全員を虜にしている。姉のニーナと弟のジョーも熱心なサーファーで、ニッキーをスポーツの頂点に押し上げる競争心に火をつけたのは、彼女の家族だった。「私は姉との競争心が強かったんです。そしてさらに弟がサーフィンに夢中になったとき、それからはまさにゲーム感覚でした！　この2人のおかげで、いまの私があるんです」

【写真24枚】オーストラリアの強いオフショアの風を感じながら疾走！ 

8歳で初出場
しかし20年前のある出来事が、彼女の闘志を燃え上がらせ、ワールドサーフィンリーグの高みへと導くきっかけとなった。「8歳のとき、初めてコンテストでサーフィンをしたんです。その少しあと、豪・フィリップ島で女性だけのサーフイベントが開催されました。そのとき、女性プロサーファーが集まっているのを見て、サーフィンは長続きする職業だと実感しました」

「10歳ごろから、コンテストのためにオーストラリアを旅するようになりました。その後、国際的に活躍するようになり、高校生のときにはフルタイムの"仕事"になりました」

ヴァン・ダイクの水中での才能は、技術への集中力と勝利への深い意志を混ぜ合わせた、仕事への姿勢に匹敵するものだった。彼女のアプローチは、フェルディナンド・ポルシェを感心させたことだろう。このように、自分の技術を磨くことに深いこだわりを持つ彼女は、熟練したサポートに支えられながら、達人への道を歩んでいった。「多くのことを経験しました}と、彼女は話す。

「ボードシェイパーからトレーナー、理学療法士まで、すべての人が私の技術を形成するのに役立ち、そのすべてが私の創造的表現であるサーフィンに表れているのです」と、彼女の努力は多くの人が夢見るような結果で報われたと、自身を評する。「高校最後の年だった2012年に、世界ジュニア選手権で優勝しました。その翌年にはワールドツアーへの出場権を獲得し、すべてがあっという間でした。7年間ツアーに参加しましたが、当時を振り返ると、クレイジーだと思います」

2017年に初優勝
2013年、ヴァン・ダイクは「Association of Surfing Professionals (ASP。アソシエーション・オブ・サーフィン・プロフェッショナルズ)」の「Qualifying Series (クオリファイシリーズ)」に出場し、スペインで開催された「Pantin Classic Galicia Pro (パンティン・クラシック・ガリシア・プロ)」で優勝し、その年を終えた。翌年、彼女はワールドサーフリーグのツアーに参加し、毎シーズン着実に順位を上げていった。

2015年には6回連続でクォーターファイナル出場を果たし、翌年にはトレッスルズで3位入賞、ブレイクを果たした。2017年にはポルトガルの「カスカイス・ウィメンズ・プロ」で初優勝し、ワールドサーフィンリーグのリーダーボードで7位でシーズンを終えている。また、2019年にはワールドツアーイベントでも優勝している。

それはワイルドな乗り物である一方で、ニッキ・ヴァン・ダイクに公正な挑戦のシェアを提示したものでもある。「私は過去2年間、怪我の管理に費やしてきました」と彼女は言う。「今年はWSLチャレンジャーシリーズに復帰した最初の年であり、これらのコンテストの準備、コンデイションを整えることに多くの時間を費やしてきました」

母なる自然の代弁者になることに情熱を注ぐ
ニッキ・ヴァン・ダイクは、療養期間を利用して、もうひとつの個人的な情熱を追求した。「怪我をしている間、私はサーフヨガリトリートを始めました。このリトリートを通じて、環境に対する愛と知識を共有することができました。私はずっと前に、気候変動の影響と、私たちの選択が環境に与える影響に気づきました。私は毎日海にいるので、それを目の当たりにしているのです」

「私は、母なる自然の代弁者になることに情熱を持っています。私の人生は海のおかげであり、私はここで大きな責任を担っています」。第二の故郷である海は、ヴァン・ダイクにとって特別な場所である。しかし、この20年間で彼女が目の当たりにしたもうひとつの変化があり、それは彼女の心を温かくしてくれるものだという。

「フィリップアイランドで育った私は、男の子たちとよく一緒に遊んでいました。私は男子の部に出場していましたが、長い間、『ここで何が起こっているのだろう』と思っていました。ただ、海と自分がやっていることが好きで、女性であろうと男性であろうと、そこが自分の居場所だと感じていたのです。サーフィンがいかに男性優位の世界であるかを知ったとき、さらに私を突き動かしたのです」

「今日、私が海にいるときは、おそらく男性よりも女性の方が多いでしょう。彼女たちがいなければ、そして私が10歳のときにフィリップアイランドにやってきた彼女たちの活躍を見ていなければ、私のキャリアはなかったかもしれないのですから」

"電気自動車がスタンダードになった"
「ポルシェ・タイカン 4クロスツーリスモ」でフィリップアイランドに戻ったニッキーは、サーフィンの旅の始まりとなったこの地に浸る。多くの素晴らしい思い出が詰まったこの場所は、曲がりくねった道はいつもと同じだが、タイカンのおかげでさらに楽しくなった、と彼女は話す。「電気自動車は今やスタンダードです」と彼女は言い、窓を開けてバックビーチロードを加速していく。

「私の住んでいる町にも、EVや充電器がいくつもできています。長年ハイブリッド車に乗ってきた私は、ポルシェがタイカンで成し遂げたことを深く理解しています。まさに、今と未来の世界が必要としているものです」

慣れ親しんだ故郷の波を楽しんだ後、ヴァン・ダイクはサン・レモに向かい、お気に入りのカフェでコーヒーを飲みながら「タイカン 4クロスツーリスモ」を充電する。「この世界で夢見ることは何でもできる」と、彼女は強いオフショアの風を感じながら言う。「あなたには、自分の運命を切り開く力がある」と。

Comments

海水と砂がついたボードを平気でトランクに投げ込む潔さ。日本人にはおらんばい。

Siriに聞いてみよう 誰のケツか