10月6日、2024年MotoGP第16戦日本GP Moto2クラスの決勝が栃木県のモビリティリゾートもてぎで行われた。不安定な天候のもと、小椋藍(MT Helmets – MSI)はスリックタイヤでレースに臨み、戦略を活かして見事2位表彰台を獲得した。
不安定な天候により1周のみのアタックとなった土曜日の予選。小椋はトップと1.201秒差で9番グリッドを獲得したが、ポイントリーダーであること、そしてプレッシャーを感じることのない位置からのスタートということもあって「9番手はちょうどいい」と口にしていた。
小椋藍、2位表彰台を獲得!【順位結果】2024MotoGP第16戦日本GP Moto2 決勝レース
そんな小椋は決勝に向けて「ドライの方が確実に自信がある」と意気込みを語っていたが、決勝日を迎えたもてぎは徐々に暑い雲が上空を覆っていく。さらに、Moto2クラスの決勝が12時15分に幕を開けたが、開始と同時に大きな雨粒が落ち始め、赤旗中断と波乱のスタートとなった。
この時、抜群のスタートを切った小椋は、すぐに赤旗になることも想定しており、「転倒するとダメなのでまったく攻めませんでした。きっと赤旗になるとわかっていたので……」とその時の状況を振り返った。
しかし、リスケジュール中に雨は弱まり、路面もそれほど雨量が多くない状態となる。難しいコンディションで、レインタイヤを選択するライダーが多いなか、小椋はスリックタイヤでコースイン。
小椋自身過去2年間で功績を残しているサーキットということもあり、大きな賭けに出た。このスリックタイヤで走ることは、小椋本人の意思ではなく、チームの判断だったという。
その時のことを小椋は「僕は結構恐れていました。本当にまったくわからなかったので、チームのなかでいちばん自信のある人の意見を信じました。サイティングラップでは祈るしかなく、出てすべてが決まると思っていましたが、そこまで降っていなかったので、まだ大丈夫かなと思っていました」とコメント。
リスタートしたレースでは、オープニングラップで一時16番手まで順位を下げてしまう。厳しい展開かと思われたが、小椋は早々に2周目には一気に順位を上げて7番手に浮上する。路面状況も味方に完全な無双状態の小椋は、3周目にはついに表彰台圏内に姿を表し、その後ついにトップへと躍り出た。
トップの小椋は一気にジェイク・ディクソン(CFMOTO Polarcube Aspar Team)を引き離し、独走体制へと持ち込む。ところが、次第に路面も乾き始めたことで、スリックタイヤを履いたライダーたちが次第に順位を上げ始める。すると、トップの小椋にマニュエル・ゴンザレス(QJMOTOR Gresini Moto2)が襲いかかる。
3秒ほどあったリードはじわじわと詰め寄られ、残り4周でなんとゴンザレスに先行を許してしまう。ただ、小椋の背後のフィリップ・サラック(Elf Marc VDS Racing Team)とはかなりのギャップがあったため、小椋は落ち着いて最後の周回数を走り抜き、見事2位でフィニッシュした。
優勝にはわずかに届かなかったものの、大きな賭けに出たことが功を奏した。ただ、優勝も見えていただけに小椋にとっても少し悔しさも残るレースとなったようだ。そんな彼は次のように振り返った。
「スリックを履いているライダーがほぼいないことはウォームアップでわかっていました。ほとんどのライダーが僕を抜いていったので、全員のタイヤを見て、ほぼウエットだと感じました。雨が止んだ瞬間に攻められる!と思いましたが、また雨が降ってきたらリスクも負えないので、ウエットのライダーからできるだけリードを広げておきたかったです。ラスト4周までは怖かったですが……」
「(ゴンザレスは)には追いつかれ方で気づいていました。抜かれて彼の走りを見て、もし何かできれば良いなとも思っていましたが、2位も受け入れるしかないと思いました。2位でいいとは考えませんでしたし、優勝しなければならなかったレースだと思います。結果としてはチャンピオンシップのためにはとても良かったのですが、レース自体に対しては100%では喜べるものではありませんでした」
小椋はすでに2025年からMotoGPクラスへの昇格が決まってるため、Moto2クラスで戦う母国GPは最後となるが、見事2位表彰台で締めくくって見せた。またレース終了後には加藤大治郎の国旗も掲げ、集まった多くのファンを沸かせた。
さらに今回の2位獲得により20ポイントが加算され、ランキング2位のセルジオ・ガルシア(MT Helmets – MSI)とは60ポイント差に広がり、次戦オートストラリアGPではチャンピオン獲得の可能性も浮上。また一歩チャンピオンへと近づいた小椋の日本GP以降における終盤戦の走りに期待したい。
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