約2億6892万円のレストモッド
現代の技術でクラシックカーを蘇らせる、超高額なレストモッドの世界は市場規模を拡大している。多くの企業が独自の技術力を活かし、様々な傑作モデルをベースに展開されている。特に空冷のポルシェ911は、格好の素材になっている。
【画像】フェラーリ550マラネロがベース RMLショートホイールベース 再現される名車は他にも 全125枚
その一方で、今回のRML社のように違うプロセスを選ぶ企業もある。クラシックカーをアップデートするのではなく、過去に敬意を払いながらも完全に異なるモデルが生み出されている。
思わず振り返りたくなるほど美しいボディは、1960年代のフェラーリ250 SWBに似ている。しかし、その内側は比較的新しいフェラーリの部品で構成されている。もちろん、イタリアのマラネロは一切関わりを持っていない。英国で仕上げられた特別な1台だ。
AUTOCARでは2022年の春にプロトタイプへ試乗しているが、今はほぼ完成した状態にあるという。ショールームでのプライスタグは、162万ポンド(約2億6892万円)に及ぶらしい。
ちなみにオリジナルの250 SWBは、6000万ポンド(約9億9600万円)で落札された例もある超希少車だ。
驚くほどの価格だが、RMLショートホイールベースの内容を知るとある程度は理解できる。ボディはカーボンファイバー製で、深い艶を湛える塗装で仕上げられている。その曲線美は見る人の心を動かすはず。
アルミホイールは、往年のスポークホイールを模したデザインで少々好みがわかれるだろう。それでも、クルマの雰囲気には合っている。
エンジンは550マラネロ用5.5L NA V12
ドアを開くと、上質なダッシュボードにずらりとアナログメーターが並んでいる。センターコンソール上の滑らかに磨かれたオープンゲートからは、球形のシフトノブが低い位置に伸びている。
インフォテインメント用のタッチモニターはない。だが、走行中にスポティファイの音楽を聞きたいと思うドライバーは、少ないのではないだろうか。
妖艶なカーブを描くボンネットの内側には、フェラーリ550マラネロ用の5.5L自然空気V型12気筒エンジンが収められているのだ。最高出力は485psを発揮する。
ベース車両を探し出し、丁寧にリビルトされている。大排気量の自然空気ユニットらしく壮大なサウンドを撒き散らし、新車時のように活気に溢れている。アクセルペダルへの反応も、即時的で痛快だ。
RML独自の4本出しエグゾーストは、フルボリュームでノイズを奏でる。7000rpmへ向けて上昇する過程で、バリトンボイスから高めのテノールまで音色が変化する。時々、燃え残ったガソリンによるパラパラというパーカッションも交えて。
今回の試乗では、0-100km/h加速4.8秒を記録した。不足なく速いが、パワーデリバリーは滑らかで線形的。現代モデルのデジタルチューニングされたターボ付きユニットほど、鋭くは感じられない。
そのかわり、ストロークの長いアクセルペダルを思い切り踏み込むことを許してくれる。ショートホイールベースが秘めた可能性を探るべく。
うれしいオールドスクールな運転体験
オープンゲートにレバーを当てつつ、6速MTを右手で操る。シームレスなデュアルクラッチATが登場する以前の記憶が蘇る。慎重かつ正確に両足と両手を動かす必要はあるものの、油脂類の温度上昇とともに滑らかさが増し、扱う喜びも増していく。
右足でブリッピングしながら、ヒール&トウでシフトダウン。ペダル配置や重み付けは完璧だ。思わず笑みがこぼれる。
ショートホイールベースは、スチール製のバックボーンフレーム・シャシーやサスペンション、ブレーキなども550マラネロのものを受け継いでいる。うれしい、オールドスクールな味わいを残している。
アンチロールバーやスプリングは独自開発され、調整式ダンパーはオーリンズ社製が組まれる。公道用のセッティングでは、路面へしなやかに追従していた。それでいて、動的能力は素晴らしい。
アスファルトの欠けた穴などを通過すると、鋭い衝撃が伝わる。酷いバンプではサスペンションが縮み切る場面も稀にあったが、乗り心地は基本的にはマイルドだ。
ステアリングホイールはやや重めで、反応はクイック。上質に仕立てられた細身のリムを通じで、充分な感触が手のひらへ伝わってくる。短いホイールベースを活かし、鋭く回頭していく。
V12エンジンが生み出すトルクは太く、アクセルペダルの加減でコーナリングラインの調整も簡単。比較的柔らかいサスペンションと抑制されたボディロールが相まって、挙動は漸進的で予想しやすい。シャシーのバランスは秀逸だ。
普段使いできるグランドツアラー
トラクション・コントロールが備わるが、スタビリティ・コントロールなはい。フィードバックが豊かだから、限界領域に迫っても扱い難さはない。ブレーキも550マラネロ譲りで、制動力は充分。ペダルの踏み心地も安定していた。
サーキット向けにダンパーを数段階引き締めると、ショートホイールベースは一体感が増し、操縦性にも一層の幅が生まれた。ロードホールディング性が高まり、コーナリング時の安定性も明らかに増す。
サーキットをカリカリに攻め込むタイプではないが、非常に面白い。控えめな限界領域とアクセルペダルによる調整域の広さのおかげで、ステアリングホイールの舵角とバランスさせながらコーナーをクリアできる。
1960年代のスポーツカーを操る体験と重なるようだった。250 SWBと同じく颯爽とサーキットのパドックへ乗り付け、そのままコースインしていく。そんな週末の過ごし方も悪くない。
もちろん、夏の休暇で欧州大陸を疾走するのも一興だ。だが、近場のワインディングを楽しめる普段使いできるグランドツアラーでもある。
最終的な仕上げが残っているとRMLの担当者は説明するが、ほぼ完成した状態にある。超高額なレストモッド市場に、魅力的なドライバーズカーが加わったことは間違いない。
僅か30台が製造されるそうで、この希少性や排他性も訴求力を一層高める要素の1つだ。ただし、1台のショートホイールベースが作られる毎に、1台の550マラネロが失われることも意味する。
RMLショートホイールベース(英国仕様)のスペック
英国価格:162万ポンド(約2億6892万円)
全長:4150mm(フェラーリ250 SWB)
全幅:1690mm(フェラーリ250 SWB)
全高:1260mm(フェラーリ250 SWB)
最高速度:289km/h(予想)
0-100km/h加速:4.8秒(予想)
燃費:−
CO2排出量:−
車両重量:1700kg
パワートレイン:V型12気筒5474cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:485ps/7000rpm
最大トルク:57.8kg-m/5000rpm
ギアボックス:6速マニュアル
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